電子書籍(一冊分)の校正をしました

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コラム
今年に入ってから続けて2件ほど、
「電子書籍を出版するので校正をお願いしたい」
という依頼が入りました。(※別所での受注)

1つ目は、保育関係の自叙伝的なもの。
2つ目は、カウンセラーの相談ノウハウ的なもの。

どちらも内容が興味深く、非常にやりがいのあるお仕事でした。
非常にありがたいお話です。


以前初めて書籍一冊分の校正依頼を受注した時は、
クライアント様が出版社の方でしたが、
校正範囲の把握不足により、互いの校正範囲が食い違ったり、
作業中に原稿を差し替えたりと、いろいろトラブルの原因があったので、
その経験を踏まえたところ、今回はどちらもスムーズにお取引が進みました。

書籍一冊分という長めの文章校正では、
やはりPDFよりWord文書でのご依頼の方が間違いありません。

以前トラブルになったケースはPDFでのご依頼でしたが、
PDFだとクライアント様が文字数を把握できていない可能性が高く、
修正箇所の指摘も、PDFに直接修正が出来ないので大変な作業となります。

文字数で報酬金額を算出している関係上、こちらとしては、
双方食い違いが起こらないように、クライアント様には是非とも
ご自身の依頼原稿の文字数を把握しておいて頂きたいです。

Word文書であれば、当然最下部に総文字数が表示されるので、
作業範囲の食い違いが起こり難いですし、こちらとしても
PDF原稿で作業するより、Word文書で直接作業する方が
とても作業がしやすいです。


今回の修正方法としては、
1つ目の自叙伝は、頂いたWordを直接修正してそのまま納品、
2つ目のノウハウ本は、頂いたWordを直接修正し、
修正部分を分かりやすくマーカーしたり、コメントを残して納品、
でした。


1つ目のクライアント様は普段文章をあまり書かれない方のようで、
ご自身の文章に自信がなく、電子書籍にして読みやすくなるよう
徹底的に修正して欲しいということで、
かなり私に大胆な修正を任せる形でのご依頼でした。

これが非常にやりがいを感じ、とても嬉しいご依頼となりました。
こちらとしては、「とりあえず誤字脱字だけお願いします」と
依頼されるよりも、「読みやすくなるようお願いします」と言われた方が、
俄然やる気がみなぎります。

実際のところ、「誤字脱字だけ」と言われて作業を始めても、
誤字脱字だけで終わった試しはありません。
私自身は大手出版社で校正を専門に仕事をしていたとか、
ちゃんと校正のための勉強やノウハウを授けて貰ったというプロでは
ありませんが、そんなセミプロの私が読んでも、
ご依頼の文章が読みやすかった試しが無いのです。

依頼する側としては、そんなセミプロの私がどこまでちゃんと校正出来るのか博打のような感覚でのご依頼だとお察ししますが、
私としてはこの歳(現在43歳)まで読んできた書籍や文章の経験と、
日々の執筆や校正スキルを総動員し、丁寧かつ迅速に、
誠心誠意お仕事をすることで報いるしかありません。

そんな私に「お任せします」と言って頂けるクライアント様には
本当に感謝しかなく、クライアント様の伝えたいことが余すことなく
伝わるよう、読みやすくする校正に俄然力が入ります。

依頼された自叙伝の文章は、全部で2万字弱の文章で、
作業内容としては、文章から伝えたいことを読み取り、
それを一番伝わる形に修正していくというものです。

文章データには、初めにちゃんと目次があるものの、
その目次に沿った見出しがちゃんと付いていないところがあり、
内容文章に見出しをお付けするという多少の体裁も整えました。
体裁については、挿入された空行の数も全体的に乱れていれば統一し、
ご要望があれば、段落ごとまとめ直したりも致します。

大胆に修正と言っても、基本的な構造(章や内容の順番など)は
殆ど変えません。
他の章で一度説明している重複した文章を削ったり、
見出しとそぐわない浮いてしまった内容を、「削った方が良いのでは?」と
指摘したり、主語が不明による文章のねじれや、てにをは、
形容部分の順番を整えるといった修正で、大分読みやすくなります。

納品後にはクライアント様に大変喜んで頂き、
最後に「あとがきが暗いので全部差し替えようと思うのですが…」という
お話を伺ったので、文章の差し替えをこのまま承る場合の変更金額と、
一旦お仕事を終了してからの追加依頼としての報酬金額をお伝えし、
お取引は終了となりましたが、その提案についても
丁寧な対応で有難いと喜んで頂けました。


2つ目のクライアント様は出版社ということもあり、
7万字を超える文章で、出版日が決まっていることもあり、
急ぎでのご依頼ということで、オプションで2倍での校正をし、
修正箇所をわかりやすく表示して、各章ごと五月雨式の納品となりました。

修正箇所にはマーカーと、マーカーが引けないような削除部分には
コメントで対応したため、PDFでのご依頼と似たような作業量になりますが、
やはりWordで直接修正できる方が、最後に修正済み文章を読み返すことが
出来るので非常に有難いですし、クライアント様側にとっても、
指摘するだけよりはその後の作業が楽になるのではないかと推測します。

こちらの出版社の方は、
「誤字脱字を見て頂くだけでも構いませんが、余裕があれば読みやすく修正を…」
という依頼でしたが、前述したように決して読みやすい文章では無いので、
読みやすくなる修正もしっかりとさせて頂きました。

私は日常的に校正をしているので、もはや目が“校正する目”となっており、
読みやすくない文章を誤字脱字だけ指摘する方が難しいというか、
気持ち悪い性分となっています。

例えて言うなら、誤字脱字=ミカンの皮や紙くずだとすると、
部屋に落ちているミカンの皮や紙くずだけ拾って、
よく見えているモコモコの埃を掃除しないという感じです。
校正する目は、その埃がよく見えるということで、
あまり文章を読まない(&書かない)人ならば、その埃はあまり
気にならないのでしょうが、校正する目を養った人にとっては、
非常に目立つ埃としてよく見えてしまうのです。

ノウハウ本については、執筆者がカウンセラーということもあり、
難しい内容を分かりやすく書いておられる印象でしたが、
そういう文章によく見られるのが、「という」と「ということ」の乱用です。

ノウハウ本なので仕方ないとは思いますが、
殆どこの言葉を削っても内容は理解できます。
この言葉があると文章が回りくどくなり、かえって内容が分かりづらいので、
私は殆ど削除させて頂きました。

おそらくですが、筆者がこの言葉を使いたくなる時というのは、
“自分が苦労して見つけた凄いこと(事実)”に、台座や額縁のような感覚で
付けたくなるのだと思います。
でもそこには読者との温度差があり、残念なことに大概の場合、
そんなに大したことは言っていません。

本一冊の中で4~5個あるだけなら見逃しても良いかとは思いますが、
1段落に1つ以上必ずあるような乱用をしている場合、
本当に邪魔な言葉となります。先ほどの例えで言えば、凄い埃だらけです。

ですがやはりこういった温度差は、作者本人には気づきにくい点ですし、
違う目を持った校正者の出番かなと思います。
読者に近い視点で、読者と筆者との温度差を埋める作業も、
校正者の仕事だと思います。


これら2件の仕事を受ける上で、校正作業として非常に悩んだ点は、
丁寧語(尊敬語・謙譲語含む)の部分です。
こちらも「という」や「ということ」と近く、文章を回りくどくさせて、
本来の伝えたいことがわかりにくくなるのですが、
全て杓子定規に取り払ってしまうと、筆者が尊大な印象になりかねません。

1つ目のお客様は、保育の仕事をしている筆者が、
育児に困っているお母さま方へアドバイスをするための文章ですし、
2つ目のお客様は、カウンセラーの筆者が、
誰にも相談が出来なくて、相談する勇気もなく困っている相談者に、
より良い相談の仕方を教える文章です。

どちらも困っている方へ手を差し伸べる文章ですので、
相手の方を大切に思う優しい心が、丁寧語の中に含まれております。
なので私的には、そのような気持ちが文章から感じられるよう、
全てそぎ落としてしまわないよう細心の注意を払いつつ、
読みやすく伝わりやすい文章へと校正したいと考えております。

そのあたりのさじ加減が非常に難しいのですが、
そこがまさに校正力の見せ所でもあるのかなと感じました。
以前レギュレーションのメリットデメリットの記事でも伝えましたが、
何でも杓子定規に校正すると、かえって文章がおかしくなることもあるので、
やはり校正というのは知識だけでするものではなく、
経験からくる文章力スキルが大きくものを言うのかなと思います。


私の校正スキルは、簡単に手に入れたものではありません。
日夜小説やブログを書き続け、毎回誤字脱字が無いと感じるまで
しつこく校正し、それを長年積み重ねた結果、少しずつ見つけてきた
テクニックや気づきです。

その中にはレギュレーションや、どこかのWEBページにさらっと書いてある
とても手軽に手に入れられる校正ポイントもあるでしょう。
しかし“校正の目”というのは、そう簡単に易々と手に入るものではないと
私は長年の経験で知っています。そしてそれを上手に修正するのも、
一夜漬けで出来るものではないことも。


電子書籍にする文章も承っております。

文章にもよりますが、基本的に1日7500字までチェック出来るとしており、
もし出版日が決まっていて急いでいるお客様には、
1日15000字(2倍)まで対応可としております。
(※こちらの場合、私の時間と相応のお支払いの都合がつけばという条件付きですが)

ご不明な点があれば、事前メッセージだけでの問い合わせも可なので、
まずはお気軽にご相談ください♪
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