河童 かっぱ カッパパ

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私が子供の頃 近所のおじさんが「この前の雨の日の夜 家に帰る途中 
川ん所に河童がいてさ『おいちゃん オラと相撲取らんかい?』って
言うんだよ 参ったねー」と言った。
私は凄く怖かった。だから小学生の頃は一人で下校しなかった。
特に遅くなった日や雨の日は。
 私の子供たちは三人とも男の子だ。元気がいい。けれど母としては
心配が絶えない。 ある日親子で小貝川の堤防へ散歩に行った。
子供たちはすぐ水辺へ行きたがる。
ふと見ると草むらに猫の白骨死体があった。
妙案が浮かぶ。早速子供達を呼び寄せる。
「よく聞きなさい。川や池や用水路には 河童がいる。
大人の人間は食べないけど 子供は柔らかいから 
河童は水に引き込んで食べる」
子供たちは怪訝な顔で私を見上げる。
「これを見ろ!河童に襲われた白骨死体だ!」
何せ動かぬ証拠があるのだ。
「だから決して子供だけで 川や池や用水路で遊んではならない!」
子供達は恐怖の表情で頷いた。
今は 彼らは成長して「お母さんは昔 僕たちに河童がいると嘘をついた」
などと言う。ごめんね。
近くにある牛久沼にも河童伝説で有名な所だ。小川芋銭(おがわうせん)という画家が河童の絵を何枚も残しアトリエが残っていて公開されている。

家から駅まで距離があるので よく車で家族を送り迎えをする。
駅に行く途中 小野川という目立たない川があって
その橋の袂の木の下の茂みに
特に雨が降っている夜なんか
湿った小さい生き物が 膝を抱えて
相撲の相手を待って
うずくまっている。
今でも そんな気がしてならない。


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