中小企業経営のための情報発信ブログ316:ココイチ流「行き当たりばったり」経営論

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さて、世界展開するココイチが成功したワケは、創業者の「『行き当たりばったり』経営論」にあるのです。ココイチの創業者宗次徳二氏の著書「独断」を基に、ココイチ創業者宗次氏の独特の経営法について書いていきます。中小企業経営者にとって参考になると思います。
宗次氏は非嫡出子として生まれ、施設を経て3歳で養父母に引き取られ、極貧の幼少期を過ごし高校卒業後不動産会社に就職します。結婚を機に不動産業を開業しますが、妻が始めた喫茶店を手伝って飲食業に目覚め喫茶店業に転身します。
宗次氏は、「経営は行き当たりばったりが一番いい」と言っていますが、これは「いい加減でいい」という意味ではなく、「考えすぎず目の前のことに集中し、全力で取り組む」という意味です。
そして宗次氏が重視するのが本のタイトルにもなっている「独断」です。名古屋では、喫茶店には「モーニングセットは絶対必要」と言われていましたが、宗次氏は喫茶店開業に当たり全く導入しませんでした。また、ココイチでは外食産業の低価格競争の中でも一度も値下げは行っていません。「人に頼らない方が上手くいく」と言ってコンサルタントの助言は受けていません。
こうした「独断」ともいえる経営で、ココイチが成功したのは「現場主義」「お客様第一主義」「率先垂範」の3つにこだわったからです。
経営のヒントはすべて現場にある」と言って、宗次氏は一店舗でも多くの店を回りスタッフの働きぶりを自分の目で見て改善点を見出し、フィードバックするということを繰り返していました。
また、「経営は継栄である」という信念で「継続して栄え続けることが本当の経営であり、太く短くでは意味がない」と、業績よりも「お客様のために最善を尽くす」ことが継栄につながるというのです。
先ほど述べましたが、ココイチは一度も値下げを行っていません。「お客様第一主義」から言えば値下げはその一つの手段ですが、顧客満足は価格だけではありません。「安かろう不味かろう」では客は寄り付きません。値下げを行わなくても味やサービス面で顧客満足が高ければ客は離れていきません。
「現場主義」「お客様第一主義」を徹底し、それを社長自らが実践していく、これが「率先垂範」です。リーダーや経営者は、率先垂範、背中で自らの行動を示さなければなりません。部下はリーダーの背中を見て、それを信じ従います。
宗次氏は53歳の若さで経営から身を引きます。後継者は息子ではなく、19歳の時にアルバイトとして入社して以来のたたき上げの副社長にスムーズにパトンタッチしています。引退後は、立ち上げたNPO法人で社会福祉活動などを行い、地域社会活動を通じて利益を社会に還元するという宗次氏流のスタイルが貫かれています。
宗次氏のココイチ流経営法を「『行き当たりばったり』経営論」と銘打っていますが、全く行き当たりばったりではありません。経営の本質に「現場主義」「お客様第一主義」「率先垂範」という3つの柱がしっかりとしているので、目の前のことに集中できるのです。傍から見れば「行き当たりばったり」に見えても、本質がブレていないので「いい加減」とならず、その時々の状況に合わせ適切な判断が出来るのです。
経営にとって必要なのは、そのブレない本質的な部分をしっかりと作り上げることではないかと思います。それさえしっかりと確立できていれば、状況に合った適切な判断ができるはずです。

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