中小企業経営のための情報発信ブログ281:怒りの管理能力

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ビジネス・マーケティング
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経営者には様々な資質が求められます。経営者やリーダーに必要な資質についてはこれまでもいろいろと書いています。特に謙虚さと自制心は必要な資質です。
怒りの管理能力」は経営者に必要な資質と言えるほど重要であると言われています。謙虚さがなく、自制心もなく、怒りに任せて言動を行う経営者が失敗することは言うまでもありません。
1.たった一言で会社が傾くことも
 現代ビジネスの記事で挙げられているケースですが、ある経営者(46歳)は、10年以上誠実に働き会社を支えてくれていた営業部長(38歳)に対し、買ったなって暴言を吐いたために会社が傾きました。その営業部長の営業成績は群を抜いてよく、会社の売り上げの半分近くを稼いでいました。部kぁの面倒見もよく部下からの人望も厚く、社内でもリーダー的存在でした。そんななく大口の取引先からクレームが入ります。営業部長が対応しますが、千歩イウの意図を誤って解釈したために、問題がさらに大きくなり、社長のところに報告が来ます。事の重大さに気が動転した社長は、かっとなり、一時の感情に任せて営業部長を怒鳴りつけ、「何ということをしてくれたんだ!すべてお前の責任だ!お前にお責任がとれるのか!」と言ってしまうのです。
 社長自らが先方に謝罪に行き、問題は解決しますが、社長と営業部長との関係はぎくしゃくし、数か月後に営業部長は辞表を提出します。社長も意固地になり慰留することもなく、営業部長は退職しました。
 売上の半分近くを稼いでいた営業部長がいなくなり、会社の売り上げは半減し、人望の厚かった営業部長に対する会社(社長)の仕打ちに失望した社員も会社を辞めていきます。
 この社長は、今でも2つの後悔を引きずっています。
①かっとなったとはいえ、あんな暴言を吐くべきではなかった
②営業部長が辞表を提出したときに、素直に謝って引き止めればよかった
2.メール1本で事業拡大の可能性が
 また、ある経営者(51歳)は。やっとの思いで大手企業との業務提携が決まり、それにより大幅に顧客が増え、事業が急拡大していきました。さらなる事業拡大に向けて採用やインフラの整備を行い、さあこれからというときに先方から一本のメールが届きます。その内容は、業務提携の条件を見直すというもので、これによれが相手が断然有利になってしまいます。
 提携先からの条件変更のメールを見た社長は、「話が違うだろ!」と怒りを覚え、怒りに任せて深夜にメールを返信しました。翌朝冷静になってメールの文面を見て、あまりにも失礼な内容に血の気が引きます。そのメールが原因で、業務提携策との関係は悪化し、業務提携は解消します。さらなる事業拡大の可能性が一夜にして消えてしまいました。
 社長は、今なお「なんであんな失礼なメールを送ったんだろう」と後悔しています。
3.人間は感情の生き物
 合理的に考えれば、上述のケースのように怒りに任せて暴言を吐いたり、メールの返信をしたりすることはしてはいけないことです。しかし、人間は感情の生き物です。この感情があるから人間は進化・成長してきたともいえるのです。感情を消し去る必要は全くありませんし、豊かな感情がビジネスに有利に働くこともあります。しかし、感情的になって合理的な判断ができなくなることがあるのも事実です。特に、怒りの感情は経営上間違った判断をしてしまうことになります。
 経営者の資質には謙虚さと自制心が必要です。怒りに任せて相手に感情をぶつけるのは絶対にしてはいけません。怒りが沸き起こることは人間だれしもありますが、これをうまくコントロールできなければなりません。いったんお沸き起こった怒りの感情を飲み込んで、しばらく時間をおいて冷静になってから振り返るのです。いったん冷静になって怒りの感情を鎮めることができれば、怒りの原因となった事態に冷静に立ち向かうことができます。
 怒りに任せてその場ですぐに怒りをぶちまけていれば、これまで努力して築き上げてきたものが一瞬に失われます。営業力や業務処理能力が高くても、信頼関係が失われれば、事業は成長しませんし、ジリ貧になるだけです。
4.怒りを覚えたときの対処法
 怒りとうまく付き合うためには次の3つのポイントが大切です。
⑴ 期待を確認する
 怒りが生じたときには、その背後に、何らかの「期待」が存在します。「きっとこうなる」「こうすべき、こうあるべき」という期待を抱いているのに、その通りにならなかったときに怒りが生まれます。
 「きっとこうなる」「こうあるべき」という期待が強い人ほど怒りが生じお安く、逆に、そういった期待が強くない人は怒りが生じにくいのです。
 怒りを覚えた際は、その背景にある自分の期待を観察することです。その期待に固執すると怒りは継続し、その期待を手放すことができると怒りは薄れていきます。
⑵ コミュニケーションをやめ、時間を置く
 怒りだけでなく、感情は時間とともにそのエネルギーが失われていくものです。そのため、怒りを覚えた瞬間が最もエネルギーが高く、その瞬間にコミュニケーションをとってしまうと最悪の結果となり後悔することになります。
 怒りを覚えた際はすぐにコミュニケーションをとることを辞めることが大切です。時間の経過とともに怒りのエネルギーは薄らぎ、冷静に対処できるようになります。
 対面のコミュニケーションであれば、いったん席を外したり、「ちょっと待って、考え理から」とすぐに発言しないことです。メールであれば、1日置いてから文面を作り返信するのです。仮にすぐに文面を作成しても翌日にもう一度読み返して訂正してから返信することです。
⑶ 怒りを覚えている自分に気づく
 怒りの感情が沸き起こった時には完全に自分を見失っています。「怒りを覚えている自分に気づく」ということが重要です。そのカギを握るのが、「メタ認知能力」です。
 メタ認知とは、自らの発言、行動、態度、試行、状態などを客観的にとらえることを言います。「今、自分は怒りを覚えている」とメタ認知し、発言や行動の前に施行の時間を持たせることができて初めて、⑴⑵の方法をやろうという意識が生まれるのです。
 しかし、これがなかなか難しいものです。怒りの感情の度合いにもよりますが、怒りが最高値に達しているときに、冷静にメタ認知できるとは思えません。しかし、怒りの感情だけでなくほかの感情が沸き起こった時も、「第三者の視点で客観的にその感情をとらえ、冷静に判断すること」を繰り返すことで、メタ認知能力を磨くことはできます。怒りを覚えたときに、「いま、自分は怒りを覚えている」と客観的に認識し、怒りに任せた行動をとることが果たしてこの状況において最適な行動なのか、そうでないならこの場にふさわしい行動は何かを考えるのです。
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