「御嶽海」と「正代」

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コラム
2022年の初場所はご存知の通り「御嶽海」が13勝2敗で優勝した。
今回で3度目の優勝という事に成るようだ。
関脇の地位での三度目の優勝であるのだから当然のことの様に大関への昇進に対する世間の期待は高まっている。とりわけ地元の長野県ではそうであるという。

その御嶽海であるが今回は直近3場所の戦績が好調であるのと、取り口が安定しているので審判部なども大関昇進を理事会に諮ったのである。
横綱が照ノ富士一人であることや今の大関陣がイマイチ安定していないこともあって、相撲ファンたちもまた「御嶽海」の大関昇進は大いに期待しているのだと想う。
かくいう私自身もそう想っているのであるが、「御嶽海」についてはトラウマがあるので仮に順調に大関に成ったとしても、その後の安定感が維持されるかどうかに一抹の不安を抱いているのが率直なところだ。

というのもこれまでの二度の優勝の後にも、大関昇進への期待感が大いに高まったのであるが、残念なことにその後の彼は安定感が足りず、平幕相手にあっさり負けてしまうといった場面が少なくなく、そのせっかくの期待感が簡単に消滅してしまったからである。
実力的には大きな問題はないようなので、平幕力士たちにアッサリ負けるのはたぶん心の問題なのではないかと、私は推察してるところである。
御嶽海優勝.jpg

同じように実力はあるのに心の問題でイマイチ安定感が無い、と思われるのが「逸ノ城」と「正代」とである。
「逸ノ城」はあの恵まれた身体であるにも拘らず、平幕上位と三役とを行ったり来たりしているのは、やはり心の問題を抱えているからではないか、とそう想っている。

残念なことに彼にもまた「闘志」や「気迫」といったものが、あまり感じられないのである。
「朝青龍」や「白鳳」の様に闘志むき出し、というのもちょっとどうかと思うがアッサリし過ぎというのも、格闘技なのだからやはり物足りないのである。

このことは大関「正代」も全く同じで、彼の相撲にもやはり「闘志」や「気迫」が感じられないのである。今場所の結果はご存知の通り6勝9敗であった。
その正代もかつては「闘志」や「気迫」がかなり前に出た時期があった。二年ほど前の正月場所で「徳勝龍」と優勝を最後まで争った時の事である。

前にもどこかのコラムで書いておいたが、その頃の彼には観ていて「ふてぶてしさ」が感じられたのであった。その時私は昭和の大横綱「北の湖」と重ね合わせて「正代」の事を観ていた。
そうしてその年の秋場所で、ついに彼は見事優勝を果たしたのであった。
その戦績を評価されて、彼は大関昇進も成し遂げたのである。

ところが残念な事にその時の優勝後の彼はすっかり「ふてぶてしさ」が見られなくなり、平幕時代同様に気迫が失せてしまい、好成績とは殆ど縁がなくなってしまってから久しい。
後から上がってきた照ノ富士の様に、横綱に向かってまっしぐらという期待感は、その後の正代には起きてこなかったのであった。
そして今回優勝を決めた「御嶽海」に関しても、過去の二度の優勝のトラウマもあって、その「正代」と同様の懸念が感じられるのである。

とはいえ今場所の彼の面構えはだいぶ落ち着いているように見受けられることから、一皮むけてきているのかもしれない、という期待もある。
若者というのは伸びしろを常に持っているし、成長の余地が十分あるからである。
「御嶽海」には私達が抱いている過去のトラウマを払拭してくれるような、しっかりした力士に育ってほしいものである。

それさえ乗り越えられれば彼は大関の更なる上の、横綱に成る器をも有していると想われるから、その先を期待するのである。
せっかく有している資質や才能を開花させないのは、もったいない話である。

彼が優勝インタビューで「今年は30に成るから・・」と言ったらしいのだが、その言葉に隠れた「想い」や「覚悟」があるとすれば、ぜひとも本物であってほしいものだ、と私は期待しているのである。

そんな想いを抱きながらこれから先の彼の相撲を、期待も込めて観て行きたいと思っているのである。
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