暴動に揺れるフランスはオリンピックを無事開催できるのだろうか?

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現在、フランスでは暴動が続き、放火や略奪が広がっています。

この暴動は、警官が検問中に17歳のアラブ系少年を射殺した事件を機に始まったものです。

暴動は、特に移民層の多いパリ郊外や南仏マルセイユなど都市部で頻発し、打ち上げ花火での役場の攻撃、商店への襲撃・略奪など、行動が大胆になっており、町のあちこちには「警察に死を」、「警察は人種差別主義者」などの憎悪の言葉が赤ペンキで書かれているとのことです。

警察によれば、現在までに一時拘束されたのは延べ2000人以上、その多くはアラブ・アフリカ系移民出身で平均年齢は17歳。

マクロン大統領も当初は警察官による少年射殺は「許しがたい」と述べ、抗議運動に一定の理解を示していたものの、役所や警察への襲撃、略奪の横行へと事態が悪化するにつれ、強硬姿勢に転じています。

パリ郊外では約10自治体が夜間外出禁止令を発令、仏東部ストラスブールでは、自治体が1日午後に営業自粛を呼びかけ、バスや路面電車は運行が停止されました。

パリのシャンゼリゼ通りでは商店の多くが鉄板やベニヤ板を張って自衛し、警察車両が警戒にあたっています。

日本ではほとんど知られていませんが、フランスは人種差別の国であり、社会階層間の断絶が顕著な国なのです。

フランスでは2005年にも、警察に追われたアフリカ系の少年2人が変電所に逃げ込み、感電死する事件が発生し、怒った若者の暴動がパリ郊外に広がり、約1カ月間続いた経緯があります。

ところで、フランスにおけるこうしたデモの暴動化の背景には、近年の極右政党である国民連合の躍進があります。

「純粋な」フランス人(そんなものがいるとして)たちは、移民やイスラム教への不信感、欧州連合やグローバリゼーションへの反発心などを抱えており、国民連合はこれに乗じて、ナショナリズムや主権回復、伝統的な価値観の擁護などを訴えているわけです。

しかし、このような社会情勢が続くと人権や民主主義などの普遍的な価値を脅かされる可能性も考えられます。

さらに、フランスは来年にオリンピックを控えていますが、このような状況の中で無事に開催できるのか、仮に開催はできても選手や観客の安全を保証できるかが懸念されます。

では


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