ネットカフェ難民と自己責任論

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Amazon Primeの番組を見ていると、会社をクビになり、奥さんに家を追い出された男性が「ネットカフェ難民」になってしまうという話をやっていました。

なるほどねえ、この「ネットカフェ難民」という言葉も、最初に聞いたときは、本当にそんな人たちがいるのかなあと懐疑的でしたが、今ではかなり浸透したみたいですね。

ところで、ネットカフェ難民のほとんどは20〜30代の若い人で(女性も結構いる)、彼らは、日雇い派遣労働などで生活を維持しているとのことです。

言ってみれば、新しいホームレスの形ですね。

ただ、働く意思を持っているところが違う。

また、見た目も普通の人と変わらないようです(下にも書きますが、シャワーを浴びることができるからです)。

ある程度以上の年齢の人には想像できないでしょうが、最近のネットカフェや漫画喫茶は24時間営業の個室制になっていて、リクライニング椅子が備え付けられているのです。

その他の設備もかなり充実しています。

もともとマンガは豊富にありますし、置いてあるPCでTV、DVD、ゲームを楽しむこともできます。

また、食事も取れ(頼むこともできますし、持ち込みもOKです)、シャワーもあります(別料金)。

勿論、あまり大量の荷物を持って入ることはできず(コインロッカーに預ける人も多い)、洗濯なんかも無理ですが、ある程度の不便を我慢すれば十分に暮らしていけるようです。

そこでPCや携帯電話を通じて、登録してある派遣会社から仕事を紹介してもらって、出かけるわけです。

そして、1日働いた後、夜間料金の開始時間になるとネットカフェに戻ります。

ただ、最近は利用者が多いので、あまりぎりぎりに行くと場所が取れない恐れがありますが。

料金は当然ながらカプセルホテルよりも安く、1000円程度との話です。

そして、これに食費で大体1日2000円あればやっていけるとのことでした。

しかし、ネットカフェ難民と言うと新しいみたいですが、似たようなことは昔からありました。

東京だと山谷、大阪だと釜ガ崎といったいわゆるドヤ街の旅館に泊まり、日雇い労働で口に糊する人が結構いたんです。

仕事は、毎朝、手配師が集まった労働者に割り振り、トラックに乗せて現場に送り込む形だったようです。

今では、こうした労働形態はなくなったと言われていますが、実際には形を変えて生き残っているんですね。

ところで、実はネットカフェででも寝られるだけまだましなのです。

派遣労働の求人がなく、仕事を得られなかった場合には、ファーストフード店で夜を明かしたり、公園で寝る人もいるようですから。

ただ、当然ながら健康保険証を持たない彼らは病気に罹ったらどうしようもありません(調子が悪くてもネットカフェでは寝ていることもできません)。

また、若いうちは無理がききますから、いいかも知れませんが、年を取ればどうなるのでしょうか。

ところが、なんらかの事情でこうした境遇に落ちた場合、再び這い上がることが極めて難しいのです。

結局、彼らは、バブルの崩壊後に多くの企業ではコスト削減・価格競争力を維持するために派遣労働者の比重を高めたとの日本経済の雇用実態の犠牲者だと言えるでしょう。

しかし、こうしたネットカフェ難民の増加に対して、テレビ番組である政治家が「近頃の若者は辛抱が足りない」、「そうした暮らしを案外楽しんでいるのかも知れない」と放言していました。

この発言が政治家たちの考えを代表しているとは思いたくありませんが、一般的に問題意識が低いようです。

こうした明らかな現象を目の当たりにしても、政府与党は日本は格差が少ない国だと強弁しているのですから。

どうも、彼らは社会的弱者をちょっと前に流行ったで見捨てようとしているのではと思えてなりません。

では。
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