がん告知による本人、家族の心理【サイコオンコロジーを通した見解】

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このブログは、がんや余命告知による本人・家族の心理について、以下のようにまとめています。

・本人や家族に対して看護師としてどのように関わるか
・サイコオンコロジー(精神腫瘍学)についての見解

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看護師としての関わり【がん告知】

 がん告知は患者にとって大きな衝撃であり、今後の人生を動かす大きな出来事である。混乱・動揺する患者が多く、気持ちが不安定になりやすい。看護師としては、患者への声掛けを大切である。医師の診察終了後は背中をさすったり、「寒くないですか」と声掛けをしたりなど患者に寄り添ったケアを行う。次回診察日を他のスタッフとも共有するなど医療職間での連携も欠かせない。患者、家族と少しずつ信頼関係を構築し、求められる支援を行っていく必要がある。
 また、告知直後は実感がないため、気持ちの不安定さがみられない場合がある。しかし、今後は否認や絶望、怒りといった感情が出てくることが予測される。話を傾聴したり優しく声を掛け、患者の精神状態を把握・アセスメントすることが大切である。患者が治療に向き合うことができるために、患者・家族と医師の橋渡しとなるよう両者とのコミュニケーションを図っていく。

【余命告知】

 余命告知されたばかりの状態では、「なぜ自分が?信じたくない」と否認や怒りの感情を抱くことが予想される。「キューブラー・ロスの死の受容モデル」において「怒り」の段階の場合、元気な人を心の中で羨ましく思い、気に入らないことがあると周囲に対して八つ当たりしている状態にある。そういった患者に対しては、むやみに声を掛けずにそっと見守ることが重要だと考えられる。ポジティブあるいはネガティブどちらの声掛けでも、患者の混乱を招く恐れがある。そのため患者が話し始めるのを待ち、話してくれた際は傾聴や相手の目を見るといった非言語コミュニケーションを活用し、患者を受容する姿勢で関わる。ただ、患者が孤立しないように適度な関わりは必要である。怒りのせいで強く当たられる可能性はあるが、患者にとって怒りを受け止めてくれる存在は大きく、徐々に患者の怒りの感情はおさまっていくと思われる。
 そして、患者が死を受け入れられる支援、不眠や不安、落ち込みに対して精神医学的な治療を含めたサポート、最善の治療が受けられるよう医学的な支援を提供していく。

【家族の心理】

 家族の心理に関して、上記の余命告知と重なる部分が多くある。患者同様に家族も余命宣告に対し混乱・動揺がみられる。
 家族にとって患者の余命告知には、2つの苦悩がある。1つは家族である患者の死を受け入れること、もう1つは患者本人を支えていかなければいけないことである。上記のことから、家族の身体的・精神的な負担が大きくなることが考えられる。そのため看護師は患者だけでなく家族も含めたケアを行うことや、客観的かつ冷静な姿勢で関わることが大切である。余命告知直後は患者同様、むやみに声をかけずに見守ることがよいと考える。混乱が落ち着くのを待ち、いつ家族が支援を求めても対応できるよう情報収集などの準備を行う。
 また、家族との信頼関係の構築も重要である。家族から話してくれるのを焦らずに待つこと、傾聴や目をあわせるなどの非言語的コミュニケーションを活用することで、信頼関係が徐々に構築されると考える。

サイコオンコロジーについての見解

 サイコオンコロジーは、「心」の研究をおこなう精神医学・心理学(サイコロジー)と、「がん」の研究をする腫瘍学(オンコロジー)を組み合わせた造語で、「精神腫瘍学」と訳される。つまりがん医療における「心」を専門とする活動を意味している。
 サイコオンコロジーの目的は大きく2つある。1つ目は、がんが患者や家族の精神面に与える影響とその対処法を学ぶことで、患者と家族の精神的ストレスを和らげて、QOL(生命の質・生活の質)の向上を目指すことである。同時にがん医療や患者・家族のケアに携わるスタッフの精神面の問題も扱っている。2つ目は、心理的および社会的因子(家族、職場、地域、社会資源など)が、がんの発症や再発、治療経過、生存に与える影響について研究することである。
 サイコオンコロジーに取り組む専門家はサイコオンコロジストと呼ばれ、その役割としては、3つ挙げられる。1つ目は疾病や治療に関する適切な情報を提供することで、2つ目は決して孤立しないように情緒的に支えることである。そして3つ目は治療を続ける上で患者を悩ます不眠や不安、気分の落ち込みに対してサポートを用意し、最善の治療を受けられるように医学的なサポートを提供することである。いわゆる「心のケア」であり、がんと診断されたときから、患者が日常生活を可能な限り送れるよう支援すること、納得できる治療を受けられるように支援することを意味している。
 看護師として、特に「決して孤立しないように情緒的に支えること」、「患者を悩ます不眠や不安、気分の落ち込みに対してサポートすること」が大切であると考えられる。がんと診断されたことで、患者は「自分はもう死ぬかもしれない」と将来に対し絶望を抱きやすい。そのため周囲との関わりを避けたり、周囲の人に強く当たってしまうなどの行動で、孤立してしまう可能性がある。看護師は医療現場において、患者と密接に関わる職種である。患者が孤立しないよう日々のケアの中で、定期的に病室を訪室したり、他の看護師や職種からも声を掛けて「患者を気にかけている人がいる」ことを実感してもらうことが重要であると考えた。もし患者から避けられたり強く当たられたとしても、がんが患者の精神面に与える影響であると割り切り、時間をかけて患者との関係性をゆっくり築いていくことが、看護師の役割であると感じた。また家族や友人という存在がいることは、社会的孤立感を緩和させる。孤立感を緩和させることは、がんによる身体的・精神的な痛みの緩和にも繋がる。
 がんと診断されたことで、不眠や不安、気分の落ち込みが出現する患者は多い。その影響で、自律神経障害や精神疾患を抱えてしまう場合も考えられる。
少しでも精神的な負担を軽減するためには、話を傾聴すること、タッチングを行うことが効果的である。話を傾聴することは患者の心に寄り添い、話を「聴く」ことである。患者は話を聴いてもらうと、気分が楽になりマイナスな感情が緩和されやすくなる。タッチングは患者に安心感を与え、不安を和らげる効果があると言われている。また、患者と看護師間で親和感や信頼感が生まれ、患者が不安や悩みを表出しやすくなることもある。ただ、人に触られたくない患者もいるため、事前にタッチングしてよいか確認する必要がある。
 他には、がん以外のことを考える気分転換の時間を設けるのも効果的だと考える。例えばずっと同じ部屋にいるのではなく、たまには別の空間や外に出て、気分転換をすることやストレッチや体操をして体を動かすことが挙げられる。
 がん治療のサポートも大切だが、患者と密接に関わる看護師だからこそ患者の精神面に寄り添い、一緒に疾患と付き合っていけるような支援が重要だと考えられる。
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