「ふたたび円安について」

記事
ビジネス・マーケティング
 飽きもせず、為替に関してトレイダーや日経関係の記者がしたり顔で日米の金利差による円安基調を日々の紙面を空しく賑わせている。そして日本の景気や物価に与える悪影響をさも不幸そうに将来不安を煽っているかのようだ。確かに当面日銀は金利を上げることはなく、FRBは将来に向けて利上げの意志を明確にしてはいる。しかし、そんなことは昨年秋口からわかっていたことでその時からもし少しでも円高なら裏を返したように将来不安を煽るような記事を書くのだろうと思う。
 現今、ウクライナの関係で、というより昨年4Qあたりからであるが、原油値上がりしており、基幹物資に相当する原油であるから日本の経常収支に与える影響に鑑みて、円の実需が細るということはあるのだろうとは思う。ただこのような情勢判断は容易に逆回転し得るもので、例えば金利を言うなら実質金利を見たとき、アメリカの物価上昇に対する金利を見たときその実質金利は大幅なマイナスであり、それに比べて日本は未だデフレであり実質金利はプラスである、ということを見たとき、円高に振れても何ら可笑しくはないと言える。そんなことより、日本にとって円高が良いか、円安が良いか、と言われれば現段階でも円安の方がいいに決まっている。
 これまでバブル崩壊以来三十年、円高により雇用が外部流出したことが決定的要因となって日本の景気を冷やし続けてきたのであり、この数年の米中冷戦によってまたホン近々ではウクライナ戦争によって、重要物資、基幹物資あるいは戦略技術に関して安全保障経済法なる立法処置まで成立し、なおさら経済界の国内投資が有利な状況が生まれている中、どうして円安が悪者視されるのか、少なくともメディアの中で一方的円安悪玉論が展開されていることは全く理解に苦しむ。国民はなぜメディアや政府に対しこの状況を唯々諾々と黙っているのであろう、それこそ「これをチャンスとし、国内投資を活性化する政策の議論を活性化せよ、そして賃金を抜本的に向上せよ」等々もっともっと声を上げるべきではないか。
 私は、この円安は断然チャンスであると思う。個々の産業、企業そして上は政府、経産省、厚労省、与党並びに心ある野党はこのチャンスを生かし日本産業の再生へと導いてほしい。その手段は仄聞するところ自民党の政策案の中に十分存在している。
 繰り返すが今最も大事なことは、このウクライナを機会と捉え、水を漏らさぬ安全保障体制の構築を行い、合わせて日本産業の再構築へと導く施策をダイナミックに打っていくこと、これに尽きると思う。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す