AI時代のWEB開発の新常識

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こんにちは、AIマニアです。ChatGPTの衝撃から早くも一年半が経過し、止まることを知らないAIの進化により、インターネットの根本的な変化の可能性が出てきました。AI時代で生き残れるために、これから訪れる未来を想像し、そこにマッチしたWEBとはなんなのか、を考えてみたいと思います。

まずは結論

・小さくリリースが必須。
・AIと協動なしのウェブ開発は負け確。
・SEOだけでは不十分。
・Wordpressは不利。
・完全オリジナルデザインはリスク。

読んだ方がいい人

・これからWEB制作を頼もうと思っている人
・WEB制作スキルをこれから身に着けようと思っている人

高速かつ段階的リリースの推進

これまでのウェブ開発では、計画された一大リリースが一般的でしたが、AIの時代には、その手法はリスクでしかありません。ビジネスの環境はAIの導入により急速に変化しており、市場と消費者のニーズはますます多様化しています。

ビジネスの正解が見えづらいAI時代には、「時間かけてめっちゃこだわって作ったウェブが、世に出してみたら見向きもされないゴミだった」ってことがかなりの確率でおきてしまうのです。

それを避けるためは、正解が見つかるまで小さく実験を繰り返すことが必要です。小さくリリースし反応をみる、細かくPDCAを回し、当たりを探す。当たりを見つけてから段階的に大きく育てる、という開発のサイクルが理想です。

このアプローチは、生成AIの影響や消費者行動の変化に柔軟に対応するため、とても有効です。継続的なフィードバックをもとに進行中の開発に反映させることで、市場とのミスマッチを防ぎ、よりフレキシブルに改善を加えることが可能になります。

AIと人間の協働

生成AIを積極的に活用してウェブ開発を行うところと、そうでないところでは圧倒的な差が生じます。実際に私が生成AIを取り入れたケースでは、およそ3割の作業時間が短縮されました。他にも生成AIによる開発効率向上のニュースは山ほど出てますからぜひ検索されてみてください。

AIと人間が協働することで、開発者はルーチンや繰り返しの作業から解放され、もっと複雑で創造的な課題に集中できるようになります。このような協働により、AIが基本的な処理を担い、人間がその上で付加価値を生み出す役割を果たすことができます。

ユーザーとの接点においてもAIは力を発揮します。AIチャットボットの実装などは最たる例ですね。自社データを学習させ、最適化されたAIチャットボットは、かつてないユーザー体験をもたらします。

もはやマンパワーのみのWEB開発では、質が悪いものしかできない、と言い切ってよいと思います。それだけAIと協働するWEB開発の質が上がっています。

AIに最適化されたコンテンツの設計

これまでのウェブは、人間が主な読者であることを想定してキーワードを中心にコンテンツが設計されていました。しかし、AI時代にはAIエージェントがウェブを読んで、要約し、ユーザーが望む回答に加工し提供します。ウェブコンテンツは「AIが読む」ことを考慮して構築される必要があります。

AIに最適化されたコンテンツ設計を行うことで、コンテンツの見つけやすさとアクセス性が格段に向上します。これは、AIがコンテンツを解析し、関連情報をユーザーに迅速かつ正確に提供するためです。また、情報の効率的な抽出と活用が可能になることで、ユーザー体験も大きく改善されます。

この新しい形のコンテンツ設計は、従来のSEO(検索エンジン最適化)の考え方を進化させるものであり、これからのスタンダードとして定着するはずです。

米国に本社を置くテクノロジー調査およびアドバイザリー企業のGartnerが2024年2月19日に発表したレポートによると、バーチャルアシスタントやAIチャットボットの台頭によって、検索エンジンの利用回数が今後2年間で25%減少するだろうといわれています。

SEOのみを意識したWEB構築では不十分なのです。

データの効果的な活用

かつてのウェブは、人が見やすくデータを集めて保存することで十分な機能を果たせていました。しかし現在は大きく異なります。データの利用は生成AIが台頭する前から注目が高まっており、その潮流を生成AIは強烈に加速させました。

ただ蓄積しただけのデータは、AIが効率よく活用できる構造で整理し、保存されたデータに比べ、活用の有効性に差がでます。ウェブは日々情報が蓄積されていく場所です。そのデータがAIによって活用がしやすいものになっていれば、それだけAIのポテンシャルを引き出すことにつながりますし、それはAI利用にかかるコストダウンにも直結します。

現在ウェブ開発で多く用いられるWordPressは、AIフレンドリーなデータ構造を実現するのにやや不向きです。以下にヘッドレスCMSとの比較についてClaudと会話した一部を引用します。

ヘッドレスCMSとWordPressを比較する場合、AIがコンテンツを理解しやすいのはヘッドレスCMSのほうが優れていると言えます。その理由は以下の通りです。

■構造化データ
ヘッドレスCMSはコンテンツをJSON、XML、GraphQLなどの構造化データとして出力します。このデータ構造はAIが理解しやすい形式です。一方、WordPressはHTMLで出力されるため、構造化は限定的です。

■フロントエンドとの分離
ヘッドレスCMSはコンテンツとプレゼンテーションを分離しているため、コンテンツ自体に意味論的な構造を持たせやすくなっています。WordPressはフロントエンドとバックエンドが統合されているので、コンテンツにプレゼンテーションの要素が混在しがちです。

■メタデータ管理
ヘッドレスCMSではメタデータをコンテンツとは別に管理できるので、AIにとって理解しやすいメタデータ設計が可能です。WordPressはメタデータ管理に制約があります。

■マルチメディアデータ
画像、動画などのマルチメディアデータは、ヘッドレスCMSでは構造化された形で提供されることが多く、AIにとって扱いやすくなっています。

総じて、ヘッドレスCMSはコンテンツをAIフレンドリーな形で提供することを設計の理念としているため、WordPressよりもAIにとって理解しやすいコンテンツ構造を実現できます。ただし、ヘッドレスCMSを適切に構築・運用できるかどうかが重要になります。

このようなことからも、これまでのウェブ開発の常識を書き換える必要がでてきています。

効率的なデザインの取り組み

これまでのウェブ開発の常識を書き換えるという点において、「完全オリジナルデザイン」を求める風潮も再考したい点です。

現状ではデザインを一からオリジナルで作成することは、より価値の高いウェブ制作サービスとみられています。しかし、完全オリジナルで生み出すには当然その分の時間がかかり、コストも高くつきます。そして先にも書いたようにせっかく作ったものが正解とは限りません。

金と時間をたっぷり使って「完全オリジナルの美しいゴミ」を作ってしまっては、目も当てられません。

道楽でウェブを作るでもない限りは、初期段階は既成テンプレートを活用することが最善です。自分なりのウェブの答えが見つかってから、段階的にオリジナルデザイン化していけば、開発初期におけるリスクを最小限に抑えつつ、ユーザーのニーズに基づいたデザインの改善を進めることが可能になります。

AI時代には完全オリジナルデザインよりも、テンプレートの方が価値がある、という常識の転換ができるかどうか、とても重要なポイントです。

モジュラー設計とAPIファースト

従来のウェブ開発のように、独立したシステムや機能を0から開発していては、ユーザーや市場の新しい要求に柔軟に対応することが困難です。そのためモジュラー設計とAPIファーストのアプローチが必要になります。

モジュラー設計では、各機能を独立したモジュールとして設計し、必要に応じて組み合わせることができます。これにより、特定の機能の更新や追加が他の部分に影響を与えることなく行えるため、開発の柔軟性が大幅に向上します。また、APIファーストのアプローチでは、初期段階からAPIを中心にシステムを構築することで、外部のサービスやアプリケーションとのシームレスな連携が実現できます。

この手法を採用することで、企業は新しい機能をタイムリーに市場に投入し、ユーザーの要求に迅速かつ柔軟に対応することが可能になります。多様なサービスとの容易な連携は、競争力の強化にもつながります。AI時代のウェブ開発において、モジュラー設計とAPIファーストは新しい標準となりつつあり、その重要性は高まり続けています。

この観点からも、WordPressのようなカップルドCMSより、ヘッドレスCMSが有利になっていくとみられます。

まとめ

これまで業界の常識やスタンダードとして考えられていたことが、大きく変化しようとしています。いち早くこの流れをつかむ人には大チャンス、現状維持の人には大ピンチがくる、結構重要な分岐点なのが2024年だと思います。
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