こんにちは、ヒサシです。
今日は前回のストーリーの続きです。
魅せられた歌舞伎町の世界
入店したホストクラブでは、それまで自分の生きてきた世界とはかけ離れた世界が広がっていました。
きらびやかな内装、いかにもホストという出で立ちの従業員、そして独特の雰囲気をまとう女性客、次々と高額なシャンパンが開けられていく光景。
本当に「なんじゃこりゃ!?」という感じでした。
しかし、そんな光景よりも一番驚いたのが先輩方の接客でした。
最初からバンバン盛り上げて、数分もすればその場のテンションはMAXになります。
初めて会ったお客さんでも最初から笑わせまくっているんですよね。
「え、もう笑てるやん、ホスト半端ねえ」
それまで目の前でトークで女の子を盛り上げる現場を見たことが無かったので、私は唖然としました。
「俺もああなってやる、このホストクラブで一番いい接客ができるようになってやる」
先輩方を見て私も感化され、ナンバー1になると決心しました。
暗黒時代の始まり
しかし、童貞大学生がすぐに結果を出せるほど、ホストの世界は甘くありません。
最初の内はお客さんとまともに喋ることすらできず、当初は先輩にサポートしてもらいながら接客していました。しかし、段々とお客さんからもつまんないと言われるようになってしまい、仕事はドリンクづくりや片付けなど裏方業務ばかりになってしまいました。
モテるためにホストを始めたのに、これじゃトークがうまくなるはずがありません。
私は黒豆さんに「トークを上達させるにはどうしたらいいでしょうか?」と相談しました。
すると、黒豆さんはこうアドバイスしてくれました。
「まず見た目をホストらしくしろ、そうすれば女の子も同族だとみなしてくれて親近感を与えられる。あと、トークの上達は経験しかない。最初の内は相手がどんなことを考えてるかを想像すること、そしてリアクションをひたすら大きくとることを意識しろ」
翌日からそれを常に意識し続けて接客しました。
すると、それまでとお客さんの反応が変わり、笑ってくれるようになったり、「あの子面白い」と言ってもらえるようになりました。
「これはいけるぞ!」
私は意気込んで、大学との両立できついながらも毎日出勤し続けました。
しかし、全く指名がもらえるようにはなりませんでした。もうなぜ指名を貰えないのかもわかりません。
先輩にどうやったら指名を貰えるかアドバイスをいただいたこともありましたが、「ヒサシはもっと強気に行った方がいいよ」「真面目さが前面に出てるからもっとチャラくいこう」というような抽象的なアドバイスしかいただけませんでした。
どういうことなのかさっぱりです。益々混乱しました。
毎日葛藤し、訳が分からなくて涙が出てきたり、焦りで3日間ぐらいご飯がのどを通らない時もありました。
そしてその指名ゼロの暗黒時代は半年間も続きました。本当に地獄です。ホストでいるのを辞めたいと思っていました。
しかし、そんな私にもついに暗黒時代が終わる時がやってくるのです。
続く…