両親や先祖の眠る墓地の敷地内に
「故 特別攻撃隊 今野勝郎の霊」と刻まれた墓石が建立され
その裏面から左右にかけて
彼が出撃してから敵艦に体当たりするまでのことが
克明に記録されております。
その墓石にぬかずき手をあわせる彼女の心情を
私ごときが知る由もありません。
生家には
勝郎さんが両親に宛てた手紙が残されております。
彼女はそれらを読み進んでいくうちに
声をあげて泣き崩れたと言います。
彼女はこう言いました。
「あの戦争がなければこんな悲しい別れはなかった。
戦争がなかったら
私たちは出会うこともなかった。」
この実際の物語は
「特攻隊と鉛筆部隊の子供たち」
という絵本にもなり
数年前にはテレビ番組「アンビリーバボー」でも
放映されております。
昭和20年3月27日
今野勝郎軍曹
沖縄慶良間列島沖の海上にて特攻死。
享年20歳
生家の座敷には
端正な顔立ちの凜とした飛行服姿の写真が掲げられ
静かに家族の暮らしを見守っております。