0 愚者について

大アルカナの0番目、愚者についてです。

元々、タロットの一連のつながりは「フールズジャーニー」とも言われ、一人の青年の成長物語とも言われています。

0は無、何もない最初の状態を表します。男性にも女性にも見えますが、その区別はなく、両性的存在とも言えるでしょう。それも0という始まりの数字が示していると言えます。

このカードは風のエレメントに割り当てられています。0、無の状態の、言葉になる前のより抽象的な最初の概念を示しているのです。

この青年はあと一歩で崖から落ちてしましそうです。それでいながら青年は上を見上げており、足元を見ていません。文字通りの愚者というようにも見えますが、それだけではありません。自分の知識や能力をただ頭にしまっておくだけでなく、実戦への一歩を踏み出しているとも言えます。その為には空中への一歩も必要なのです。

背景の山々は青年の今後の旅路の過酷さを示しているようです。ですが太陽は青年を照らし、希望に満ちた明るい黄色の背景色の為、先行きには幸せが待っていそうです。

足元の犬は警告をしているのでしょうか、それとも、自分も連れて行ってほしいのでしょうか。その相反する二つの気持ちは、きっと矛盾するものではないはずです。

ポジティブな意味としては新たな一歩、明日への可能性を明示します。

ネガティブな意味としては楽観的、軽率な行動とも言えます。

古くから、特別な狂人や遊び人は、えてして聖人と呼ばれるようになったり、出家して僧となったりします。しかし、そのまま当然の帰結としてはみ出し者として過ごすこともあります。

狂人と聖人は紙一重。

このカードが出たとき、あなたの道はどちらに転ぶでしょうか。