そこで食事をとるがおかずを見た途端、
「ミトミ犬のくせに この煮物好きだったナ。もっと食べさせれば良かったかな。イチゴケーキもあげる。私の分食べていいから・・・」
TVをつけても
「この番組一緒に見てたナ・・もうホラー見なくていいから。意地悪しないから、戻ってきて!」
何をしてもミトミを思い出し、辛くてさらに涙が溢れ出た。
そしてミトミに触れようものなら、どんどん冷たく硬くなり死を実感して嗚咽した。
父と母は最初はつられていたが、あまりの私の号泣っぷりに呆れ始め、もらい泣きしていた母が嫌味っぽく
「私達が死んでもこれほど 泣かないんじゃないの?」
なぜか思わず「うん」と頷いていた私。
食べながら話しながらも3日3晩泣き続け、目と顔はパンパンになり、
「そろそろ会社に行かなきゃ・・・」
少し冷静になり考えられるようになったのか、それが切っ掛けで泣き止んだ。
私にとってはかけがいの無いものでも、社会では『犬の死ぐらいで何日も休むな』となるだろう。
うなずいた事は現実となり、大好きな祖母が死んだ時や父が亡くなった時、体に触れ生温かさで”生きてない”のを感じる瞬間悲しむが、あれほど号泣することはなかったので、やっぱりミトミの死で一生分泣き、涙を使い果たしたのだと思う。
これ程、悲嘆させたミトミっていったい何だったのか?妹?それ以上だったのか?・・・
最後に私が帰るまで待ってて出迎えてくれたンだ。今でもあの時のことを思い出すと熱いものが込み上げてくる。
あるドラマの中で犬や猫、飼われていたもの達が亡くなると、天国の前の虹の橋のところで、愛する人達を待っていると言っていた。
父が今年逝ったから、天国の前でミトミと落ち合えたかな?
母は分からないけど、私が逝くまでは待っててくれないだろう。
笑いながら父とミトミが、天国の門をくぐる姿を思う。
さよなら お父さんとミトミ。一緒にいてくれてありがとう。
◇追記 悲しいから・・・?
ミトミの時の私の悲しみを見た母は
「二度と犬は飼わない! (拾ってきたのはあなたですけどね)」
その代わりに猫を拾ってきた。
それは また、次の話・・・ (了)