私の母は、某有名新興宗教の信者だ
私がこの世に生を受けた瞬間から今に至るまで
母はその身を全て信仰に捧げてきた。
父の会社が倒産し、夜逃げし、債権者に追い回され
高級住宅街の一軒家から、ぼろアパートに引っ越したときも
父がアル中になり、精神科に入院した時も
父が何年も不倫をしていて、その相手が家まで乗り込んできた時も
足を難病で悪くし、一生車椅子だと言われた時も
母は毎日お題目をあげていた。
「絶対にご本尊様が助けてくれる」と願って・・
母は私にも毎日のように「お題目をあげなさい」と叱咤した
幸せになれるから「お題目をあげなさい」と。
私は毎日お題目を唱えた。
毎日毎日お題目を唱えた。
「幸せになれますようにと」
母が「幸せになれますように」と・・
社会人になった私は、お題目を唱えなくなった。
守護霊様のお導きに気付けたからだ。
ただ、その事は母に言えないでいる。
母にとっての幸せというのは
「自らの信心によって、周りが幸せになる事」だからだ
母の体内に宿る魂は、輪廻転生という次元を超越し
【新たな魂を作り上げてしまった】
母は死ぬまで自らの信心を貫いていくことだろう
偽の信仰は、真の信仰へと進化を遂げたのだ
母の信心を達成するために、私は幸せにならなけばならない
偽の信仰ではなく、守護霊様のお導きによって・・