劣化した空き家の処分、など。

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地域に関係なく、空き家の処分が問題になる場合が増えています。
まだ都市部の場合は、接道などの最低限の条件さえ満たしていれば、
売却等の「出口」が見つかるケースがあります。

これが地方の場合は、簡単ではありません。
接道などの再建築が可能な場合でも、片付かないことがあります。
需要がない、これが大きな要因の一つです。

需要が無ければ、更地にしてもムダです。
誰も新築しようとしないので、ただの空き地になるだけです。
空き地になると、固定資産税が「元に戻る」ことになります。
建物が課税外のときは、その建物があることで、土地の課税評価額が
下がり、維持費が低くなることがあります。

しかし、建物が無くなると、土地の評価額は元に戻ります。
感覚的には、税金が上がった、という表現を使う人が多いです。
減税されていた土地の税額が、元に戻っただけです。

それでも需要のない土地の場合、負債でしかありません。
売ることができない、そこで「贈与」しようと考える人がでてきます。
贈与という言葉ではなく、「寄付」、それも行政に寄付する、という
趣旨を言う人がでてきます。

行政に寄付、これは聞こえが良いです。
ですが行政は甘くありません。
売れない土地の寄付は、キッパリと「断られます」。
これを知って愕然とする人もいます。
いかにも良さそうなことをしていると「錯覚」に陥った人に
多く見られます。

普通に考えれば分かることです。
価値のない物を「寄付する」、受け取るはずがありません。
処分費用や維持費が発生する「悲惨なゴミ」と変わりません。
所有者が維持しろ、となってきます。

今回の相談者は、この悲惨なゴミを「進んで買おう」としている人です。
なぜ、そんなことをするのか。
理由は、「自宅の隣地」だからです。
狙いすまして蹴りでも入れれば、崩れるようなボロ家がついています。
このボロ家から、色々なゴミが隣地に落ちてきたり、飛んできています。

この依頼者は、かなり法律を学んでいる人です。
知人にも多くの法曹関係者がいます。
きちんと手続きを把握しています。

把握しているせいで、かなり面倒な道を進むことになりました。
この隣地とボロ家を、買い取ろうと努力しています。
通常であれば、隣地の所有者に交渉し、売買すればよいだけ、です。
これが簡単にできません。
簡単どころか、おそろしく面倒になりました。

原因は、相続です。
その相続が一次相続ではなく、二次、三次まで発生しています。
隣地の所有者と思われる人の一人から、相続人について確認しました。
当初は数人でした。
それが、次々と新たに増えてきました。

連絡できる人が殆どですが、都市部にいる推定相続人の一人は、非協力的です。そのため、通常の売買ができません。

この依頼者は、仕方がないので法的な手続きに出ました。
まず、相続人全員を把握すること、からです。
司法書士の力も借り、8人までは見つかりました。

これで全員と思い、裁判所経由の方法を取りました。
ボロ家で被害を受けているから、何とかしろ、という趣旨です。
大多数は、「ご自由になさってください」という回答でした。
代わりに、解体費用は出しません、「出せません」という条件です。
全く構いません。
解体できるのであれば、すぐにでも行いたいです。

自分の所有権がある家でないと、解体することができません。
または、共有扱いであれば、共有者全員の合意が必要になります。

裁判所で最初に行うのは、調停です。
裁判所は、いきなり裁判、は民事ではあまりしません。
できれば調停で和解、としたがります。
和解=確定判決と同じ効果です。
それでも十分に良いのです。

ただし、調停の場合は、関係者が全員、出てくることが肝要です。
来なかったら、成立しません。
そこで初めて通常訴訟の始まりです。
しかも裁判所は、「やたら時間がかかる」役所です。
毎月でも審理が進むと良いのですが、2か月ごと、くらいの速度が
多いです。

今回の依頼者は、裁判所が調べてくれた結果、相続人が10人と判明しました。
増えました。
遺産分割協議で、全員が「いりません」としてくれれば解決します。
ですが、「知るか」という人がいるので、できません。

債権を確定させ、差し押さえをし、競売にかけることになりました。
競売で別の人が落札する可能性も「ゼロ」ではありません。

よほど奇特な人でない限り、入札はしない案件です。
それを関係者で落札し、債務名義を取得します。
強制執行をかけることで、やっと解体可能な状態になります。

この競売になるまでの期間も必要です。
執行官のスケジュールによります。
1年コースと思います。
気長にすることになります。

もし、隣地が相続発生時に相続登記を「単独名義」で行っていれば、
かなり簡単に解決できました。
ほったらかしにしたせいで、ややこしくなっています。

しかも自分の所有地ではなく、隣地です。
面倒な手続きをして、費用も発生したうえで、処分可能になります。

地方の不動産を所有している場合、処分可能かどうか、事前に知っておく
ことが大切です。面倒な物件と分かった場合、可能な限り早く手を打つべき
です。

相続人に多大な迷惑をかけることは、すべきではないと思います。
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