紡ぐべき思い 完

記事
小説

※(16) 過去に掲載したものを、改正して再投稿。

【短編集(シリーズ)より】




[本文] 
膝の、湿った土を払い、父親は立ち上がる。 
妻に手を貸し、ベン チに腰を降ろした。


深い溜息の後



「ここには、よく三人で来ました。
あの滑り台やブランコで遊ぶ孝輔を思い出します。
休日には、このベンチでお弁当を食べたりも 」





妻が声をあげて泣き、
父親はその度、妻の肩を抱き寄せ背をさすった。



「あの日も 母の葬儀の後、ここの公園に来ました。
季節外れの雪にはしゃぐ孝輔を
妻が諌める為に、その話しをしてたんです」


男は黙って聞いていた。





傍らには少年

その小さな手は強く握りられ
哀しみに耐えている様だった。



ママ…

パパ…

ごめんね。


少年は、大声をあげて泣いた。



しかし
その声は両親には届かない。


男が静かに
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