コーポレートブランド

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ビジネス・マーケティング
東芝が、主要事業ごとに会社を3分割する案を検討しています。インフラ事業、デバイス事業などに分けるようです。実現すれば、日本の主要企業で初の試みになります。持ち株会社の下での分社ではない。例えば、三菱重工と三菱自動車に分かれるような感じでしょうか。別会社になるということで、それぞれ上場を目指します。分割の狙いは、経営効率化によって企業価値を高めたい、というものです。一方で、「もの言う株主」とのゴタゴタもあって、現在経営が混乱しているため、そこをなんとかしたいという思いもあるのでしょう。

一般に巨大企業グループは事業が多岐にわたり、「コングロマリットディスカウント」という現象が起きて、企業価値(株価)が上がりにくいと言われています。投資のポートフォリオ(事業分散)やリスクヘッジは、投資家が自分でやるので、一企業体が複合的に多角化している必要はないという発想です。食堂のセット定食の値段が安いのと同じ。株価がなかなか上がりません。ではなぜ一般的には分割しないのか? シナジーがあるというのが大きな理由です。同じ会社なら、技術シナジー、経営シナジー、人材シナジーなどが活かせる。異動登用も簡単なわけです。資金調達もしやすいし、成熟利益部門から将来成長部門に投資も回せる。分割すると完全独立なので、シナジー効果は喪失します。逆に意思決定は速くなるので、機動力は高まります。身軽になって効率性も向上するでしょう。

シナジーも大切ですが、私は「コーポレートブランド」の効力がポイントだと思います。本来ブランド力が高いのであれば、一体経営でその果実をたっぷりと享受できるはずです。しかし、ブランドを毀損するとその価値は一気に下がります。過去、雪印などは不祥事であっという間に企業ブランド価値を失ってしまった。東芝も不正会計や巨額損失、その後の経営の混乱でブランド力を喪失しつつあります。家電領域も縮小傾向のようなので、一般生活者にもブランドが浸透しづらくなっている。現在の「東芝ブランド」をどう評価するか、今後どう期待するか。そのあたりがポイントだと思います。企業をブランド化するということは、規模の大小に限らず大切な経営課題ですね。

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