細かすぎて伝わらないInstagramアカウント解説【Photoli】(3.3万フォロワー)

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今回は、【Photoli(フォトリ)】のインスタグラムアカウントの運用について、細かすぎるぐらいに解説していきます。

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現存している(アーカイブされていない)最古のフィード投稿は2019年1月20日のものですが、PhotoliというWebメディア自体は2017年7月から運用されています。
フォロワー数は3.3万人と目立って多くはないですが、Instagramアカウントの中でも屈指の投稿デザインで、昔からいろんな場で引き合いに出される有名なアカウントです。

さて、本アカウントについて
・プロフィール
・フィード投稿
・ストーリーズ投稿
という3つのトピックについて、順番に解説していきます。


プロフィール

まずはアカウントのトップ画面・プロフィールから確認していきましょう。

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左が「続きを読む」クリック前、右が「続きを読む」クリック後です。

「続きを読む」をクリックしなくとも最初の3行でどんなアカウントか分かるように配慮されています。アカウントによっては変なところで文章が切れてしまっている場合もあり、地味ですが要チェックなポイントです。

「#photospot_collection」という独自ハッシュタグも持っています。

このハッシュタグ、「photoli」という名前が入っているわけではないので、意味も分からず使っているカメラマンの方も多そうですが、11.1万件の投稿があるミドルハッシュタグです。

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趣味や仕事で写真を撮るようなフォトグラファーが使うようなハッシュタグですから、UGCのクオリティも非常に高いです。
リポストする際にUGCの質の低さに悩むことはなさそうですね。こういった独自ハッシュタグを持っているのは強みになります。

プロフィールURLのリンク先はAmazonの書籍販売ページです。
ハイライトの最左部にも書籍紹介が配置されています。

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お手本のようなストーリーズ投稿のデザイン...!

ストーリーズはスキップしながら読まれるので、1投稿にあまり多くの情報を詰め込まないほうが直感的に内容を理解してもらえます。
Amazonページへのリンクもすべての投稿にではなく、発売日と価格が表示された投稿にのみ設置されており、LPのようなUXになっていますね。

以上、プロフィールの解説でした。

長年、コツコツと運用する中でチューニングされてきた、プロフィールの細かい工夫が見どころでした。

フィード投稿

Photoliのフィード投稿はとにかく素晴らしいです。
気合が入りすぎてめちゃくちゃ長くなると思いますがご容赦ください。

下の3枚の画像は、「2019年」「2020年」「2021年」の1月のフィード投稿の1枚目の画像なのですが、どれが各年のものか分かりますか?

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正解は、左から2019年・2020年・2021年、でした。
ほとんどデザインが変わっていないですよね。

これ、実はInstagram業界では驚異的な事例です。
たいていの投稿デザインは古くなってしまうので、数ヶ月か、長くても1年ぐらいで見直すケースが多いです。

下の画像は、僕の大好きなアカウントの1つであるmaguさんというファッション系インスタグラマーの投稿デザインの変遷です。

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文字なしのシンプルな投稿から、徐々にはっきりとした文字入りの投稿に変化していますよね。Instagramのトレンドの移り変わりをよく表していると思います。

Photoliはアカウント開設当初から投稿デザインの世界観が完成されていたので、プラットフォーム内での流行り廃りに左右されず、独自のスタイルを貫き通している稀有なアカウントです。

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また、地味にすごいのが、プロフィールグリッドで正方形にトリミングされることを計算したうえでフィード投稿がデザインされていること。

左が正方形、右が本来のサイズです。

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どちらで見てもまったく違和感がありませんよね。
まさに、Instagramに最適化された投稿デザイン。

投稿内容は時期によって移り変わりがあるのですが、現在は主に下記の6カテゴリです。

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最も数の多い【PHOTO SET】は、あるテーマに沿った、写真を主役にしたコラム、といった内容。
テーマは「紫陽花」「キャンプ」「崖っぷち」「チェキ」など幅広く、「いいね数」も500〜1,200ほどと波があります。取り上げるテーマやフォトグラファーの方によるんでしょうね。

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次いで投稿数が多い【TECHNIQUE】は撮影や機材についての具体的なノウハウをシェアする投稿。
「いいね数」は600〜1,600ほど。【PHOTO SET】に比べると実用性が高い分、カメラマンからのいいね・保存が伸びやすいコンテンツです。

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3番目に多いのが【RETOUCH】。こちらは写真の編集BEFORE/AFTERと、具体的な編集方法を紹介しています。
「いいね数」は400〜900ぐらいの、専門性が高いコンテンツです。ただ、Photoshopでの具体的な数値設定なども公開しているので、実践用に保存する人も多そう。

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次は【GALERRY】です。【PHOTO SET】のようにテーマに沿った写真が集められた投稿ですが、テキストはほとんどなく写真のみが並びます。
「いいね数」は400〜900。写真の芸術性のみで勝負する潔いコンテンツで、刺さる人には刺さる!という感じ(余談ですが、この「スケボー×女の子」特集、いいですね。。)

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そろそろ読み疲れる方もいらっしゃるでしょうが、あと2種類です。

【FEATURE】はプロフィールにあった「#photospot_collection」のハッシュタグ付き投稿を紹介するコンテンツ。
「いいね数」は500〜700で安定しています。こういったリポスト系のアカウントはInstagramに山ほどあるので、大きく伸びることはなさそう。しかし、ここにピックアップされたい!というフォロワーもたくさんいることでしょう。

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最後は【INTERVIEW】。まだ2投稿しかありませんが、編集長の横尾さんがPhotoli関係者にインタビューした内容の書き起こしです。
「いいね数」は600前後。ファン向けのコンテンツなので、投稿頻度は低めにされているようです。僕のいちファンとしての感想ですが、裏話が満載で面白い。もっと読みたい。

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というわけで、6カテゴリについて振り返ってみます。

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こうやって見ると、とてもバランスの良いカテゴリ設計になっていますね。

フォロワーを増やしたい時期にはなるべく【TECHNIQUE】や【PHOTO SET】の数を増やし、フォロワーとのエンゲージメントを深めたい時期には【GALLERY】や【INTERVIEW】の割合を上げる、というのが運用戦略としては良いでしょう。

では、もう少し細かいところをチェックしていきましょう。

各投稿カテゴリには、それに対応するハッシュタグが付けられており、このハッシュタグをタップすると、そのカテゴリの過去の投稿一覧が閲覧できるようになっています。

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このUX、僕はすごく好きで、Instagramにおける連載形式のコンテンツについてご相談された際には必ずご紹介しています。

Instagramにおいては、フォロワーの方と長期的に関係性を築いていくことがとても重要で、連携形式のコンテンツはそのための手段の一つです。しかし、通常のWebメディアとは異なり、過去のコンテンツへの動線を独自にカスタマイズすることができません。
Instagramのメディア運用では、限られたInstagramの機能を活用して「過去のコンテンツを殺さない」ようにすることが大切です。

下記は、カルーセル投稿の工夫として一時期よく見かけた、スワイプすると画像がつながるようなデザインです。主に【GALLERY】で使われています。

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これ、スワイプしたときに気持ちが良いのはもちろんなのですが、実は「前の投稿と繋がってるじゃん!」と気付き、前に戻ってスワイプすることで、ユーザーの投稿滞在時間が伸びるという効果があります。

地味〜な改善ポイントではありますが、「滞在時間」がInstagramアルゴリズムにおいて重要な指標であるとの公式発表もありましたし、余裕があれば取り組んでみたい施策ですね。

次は、僕が大好きな投稿デザイン、通称「ムービングフォト」です。
(僕が勝手にそう呼んでいます)

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これ、画像だと伝わりづらいのですが、実は静止画の中に動画が埋め込まれているんです。
つまり、動画の一部のみを動かすことによって、あたかも枠の中で静止画が動いているように見せるテクニックです。

フィード投稿の動画は、フィードに流れてくると自動再生されます。そのときに枠の中で静止画が動いていたら「?!」とアテンションを取れますよね。
多数の投稿が流れてくるフィードの中で目立つこと間違いなし。

続いては、さらに細かい話です。
投稿へのアカウントタグ付け機能の活用について。

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Photoliの投稿には、カメラマン、編集者、コラムニストなど、たくさんの方が関わっていますが、様々な投稿でそのタグ付けを欠かしません(しかも、ちゃんとお名前の箇所にタグ付けする気配り...!)。

以前、Photoliの編集長である横尾さんとお話した際に「クリエイターを大事にしている」「関係者をもっと前面に押し出していきたい」といった旨のお話をされていました。
このタグ経由で、Photoliのフォロワーが様々なアカウントを知り、フォローすることになりますよね。横尾さんの思想がしっかりと反映されていて素敵です。

一方で、タグ付けされたアカウントはどこかでPhotoliと繋がっていますから、いつかそのアカウント経由で逆にPhotoliの活動に気づく機会も生まれるはずです。
これこそ、Instagramのコミュニティ文化を活かした取り組みだと思います。

最後に、カルーセル投稿の「CTA」について。

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「CTA」というのは、「Call To Action」の略で、投稿を見たユーザーに何らかのアクションを喚起するようなデザインのことを指します。
Photoliで言うと「Follow Me」や「photospot_collectionの投稿お待ちしております!」といったテキストがそれに当たりますね。

YouTuberの方も動画内で「チャンネル登録お願いします!」とうるさいぐらいに伝えられますが、やはり効果的な施策だと思います。

CTAに関しては様々な投稿デザインがありますが、同じ写真業界だと「Lovegraphアカデミー」のアカウントは非常に参考になります。

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InstagramのUIを上手く活かしていますね、お見事...!

以上、非常に長くなりましたが...フィード投稿について解説しました。

Instagramの特徴や機能を徹底的に研究し、Instagramに特化した投稿デザインを開発し続けているPhotoliのひたむきさには驚くばかりです。
もちろん投稿の内容も素晴らしく、メディアとしての編集力の高さはすべてのInstagramメディアが見習うべきだと考えます。

ストーリーズ投稿

ここからはなるべくサクッとお伝えしていきます。
今回もハイライトのご紹介にとどめますね。

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ハイライトの全体像はこんな感じ。
過去のコンテンツへの導線と、ユーザーのリポスト投稿がメインです。

【おすすめ記事2020】
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過去のおすすめコンテンツへの導線ですね。
投稿をタップすると各フィード投稿へのリンクが表示されます。Instagramの定番機能ですが、「TAP HERE!」とタップできることを明示している点に注目。

「ユーザーはみんな、『タップしてね』なんて書かなくてもタップしてくれるだろう」と思いがちですが、ストーリーズ投稿は情報量が多くなりがちですし、短時間しか見られないので、タップ可能なことに意外と気づけません。
個人的には、分かりやすいかたちで書いたほうが絶対にいいと考えています。

【MY BEST SHOT 2020】
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こちらは2020年のベストショットをユーザーにシェアしてもらう取り組み。
紹介シートの丁寧な説明は必見です。ここまで分かりやすい解説は見たことがありません。

使い方が分からないと、投稿数は確実に伸びません。ぜひ参考にしましょう。

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投稿用のフォーマットを複数種類で用意してくれるのも粋な計らい。

【RANKING 2020.11】
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続いては「保存数 RANKING」です。これも過去のおすすめコンテンツへの導線。
「TAP HERE!」が先ほどの【おすすめ記事2020】よりも分かりやすくていいですね!

【stayhome】
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こちらは、STAY HOME期間中のおうち時間の過ごし方を写真でシェアしてもらう企画です。
またまたシートのフォーマット説明が分かりやすすぎる。

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おそらくハイライトの登録上限である100件分が追加されています。
これだけの投稿があったこと、それらをすべてリポストしていること、いずれもすごいです。

ストーリーズ投稿を自社だけで作ろうとすると、どうしても無理が生じます。ユーザー参加型の企画を立てて、リポスト形式で投稿数を増やしていくことが必要ですが、自分のアカウントに合った企画かつ、ユーザーが楽しめる企画でなければ意味がありませんよね。

【photospot】
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こちらの企画も非常に参考になります。
全国のフォトスポットをシェアしてもらうもので、こちらも100件を超える投稿が集まっています。

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このハイライトを眺めながら「次はここに撮影に行こうかな〜」と考えているユーザーの顔が浮かびます。
地域別でハイライトを分けられると、よりユーザーにとって使いやすいコンテンツになりそうですね。


細かすぎる解説を読んでくださり、ありがとうございました。

以上、【Photoli(フォトリ)】のInstagramアカウント解説でした。

実は編集長の横尾さんとは親交があり、何度か本アカウントについてもお話をさせていただく機会がありました。
そのたびに「本当に素敵なアカウントですよね...!」と伝え続けているのですが、愛が溢れすぎてついにnoteにしてしまいました。

なお、Photoliさんはつい先日、本を出版されました!
おめでとうございます。

Photoliさんの素晴らしいコンテンツがまとめて読めるのに1,650円、たいへんお買い得となっておりますので、写真を仕事・趣味にしている方はぜひお買い求めください。

ちなみに私、ワタラユウも写真家として活動していたりします。最近はめっきり投稿できていないですが、Instagramアカウントの方も、もしよければフォローしてください。

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