ソーシャルワークの展開過程と面接技術について【たった一つの重要なポイント】】

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皆さんこんにちは!

突然ですが、クライエントさんとの面接ってどんな風にされていますか?困りごとをきいて解決するのが、相談援助職の仕事ですが、その業務の中心にあるのが面接だと思います。

そういったことで、これまでにたくさん面接に関する研究がされてきて、ある程度大切なことというが明らかになっています。

このブログで、そのすべてを網羅することはできませんが少しでも、知っておくことで劇的に対応が上手くいくことがあるのでご紹介したいと思い立ちました。

それでは、相談援助における面接について考えていきたいと思います!

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面接の構造と三種の実施方法
面接の構造

面接における構造とは、インテーク、アセスメントなどソーシャルワークプロセスの進行によってクライエントの理解、情報収集、信頼関係の構築、具体的な支援計画の合意形成、モニタリングなどが組み合わされることになると考える。このような面接内容は、一般に以下の三種の実地方法が想定される、

構造化面接

構造化面接では事前に質問内容や面接の順序などを明確に決め、そのとおりに面接する形である。

非構造化面接

非構造化面接は、事前に面接の内容を全く決めず、面接場面で臨機応変に面接する形である。

半構造化面接

最後に、半構造化面接では構造化面接と非構造化面接の中間的な形であり、ある程度事前に面接内容を決め、面接中の必要性に応じて臨機応変に対応を行う形である。

面接の技術
面接ではカウンセリングの基本的態度も重要です

次にソーシャルワークにおける面接の技術としては来談者中心アプローチの提唱者であるロジャース(Rogers.C.R.)は、

カウンセリングの基本的態度として示している率直な気持ちと態度で話し手に向き合う純粋性、批判や非難の目を向けることなく、受容的な態度で話し手に接する受容的態度、話し手の「ものの見方・考え方」にそって理解しようとする共感的理解が挙げられる

「ロジャーズ クライエント中心療法」(佐治 守夫、 飯長 喜一郎)有斐閣 2011

と言っています。つまり、ロジャースさんはクライエントの持っている世界に援助者である自分を置いて、クライエントの理解や考えに沿うことが、カウンセリング(面談)の基本的な態度ですよ、そうしないとうまくクライエントを理解できないですよと述べているということですね。

傾聴と共感的理解が基本にして最重要です

さらに、アレン・E・アイビイさんは面接技法を統合したマイクロ技法があり、これまで提唱された面接技法をヒエラルキーとして階層構造で示しています。

傾聴を基本としつつ、その上に、積極技法(解釈、自己開示、指示、助言、情報提供など)や対決(直面化)などの技法を上位としている。

「マイクロカウンセリング―“学ぶー使うー教える”技法の統合:その理論と実際」(アレン E.アイビイ  (著), 福原 真知子 (翻訳))川島書店 1985

傾聴を体現し、クライエントに伝えるためには解釈、自己開示、指示、助言、情報提供などのやり方がありますよ!時には問題を直面させるというちょっと豪快な方法もありますよ!ということですね。

このような様々な技法のなかでも窪田さんは

ソーシャルワーカーの「基本技能は面接」であり、面接において効果的な結果を導くものが共感であるとしている。

「傾聴面接の意義と可能性」(窪田暁子)生活と福祉 (533), 11-15, 2000-08全国社会福祉協議会

また、窪田さんは「自分の話を共感を持って聴いている相手がいるとき、「語る側」は相手の態度のなかに自分への共感を感じとるとともに、その相手が、その共感のなかで同時に他者であること、自分の話を共感を持って聴きながらも彼は彼自身の立場を持ち、自分なりの考えをもっている存在だと感じてもいる」という理解の重要性を指摘している。

「福祉援助の臨床 共感する他者として」(窪田暁子)誠信書房 2013

つまり、面接において有効性を担保するものは傾聴と共感的理解であり、ソーシャルワーカーは相互に行われる共感の中でもクライエントが固有の考えをもつ存在であるという理解こそが重要であるということですね!




面接の枠組み

ソーシャルワーカーにとって面接はクライエントを支援する中心的な場面です。そのため、面接における構造や技術はソーシャルワークプロセスの中でも重要視され研究されてきた経緯があります。

「面接は【クライエントの属性・背景】【ソーシャルワーカーと所属機関の条件】【セッティング】【目的】から構成されているという枠組みで整理」し、「目的は面接の内容に大きな影響を与え,ソーシャルワーク面接の独自性を規定している」

「精神保健福祉分野におけるソーシャルワーク面接についての一考察」(岩間文雄)社会福祉学科紀要関西福祉大学 Vol.14-2, 2011.3.101~110頁

つまり、ソーシャルワークにおける面接はこれらの構成要素によって望ましい構造、技術が選択される必要があると言えます。

近年では、超高齢化社会の到来などの人口構造の変化により、地域社会における繋がりがより希薄化しきています。このような社会では、これまで機能していた家族システム等のクライエントの人的資源も希薄となり、クライエントの地域社会生活はより困難になってきます。

そのため、ソーシャルワーカーが行う面接においてクライエントの属性や人的資源の状況、ソーシャルワーカーのポジショニング(所属や役割)などによって面接のあり方を柔軟に設定できる必要があると考えられます。

面接の展開過程

ソーシャルワークの援助実践では、さまざまな場面や局面とそれらが時系列的につながっていく展開過程とがあります。

どの場面・局面においてもクライエントの問題を明確にし、その問題状況やニーズのアセスメント、援助の目標と課題の設定、そして援助計画を立て、実施し、それを評価するといった過程があります。

ソーシャルワークには、問題を抱えている個人・家族・グループを直接支援する個別援助活動・小集団援助活動や、地域全体またはその中に住むある一定の人びとのため、サービス計画し、提供するなどの関節援助活動がある。直接援助活動・間接援助活動は、使われる援助技術が対象となるクライエントによって異なるため分けられるが、援助活動の過程はほぼ同じと言えると思います!

ソーシャルワークを主に個人や家族に向けた援助場としてとらえた場合、問題を抱えるクライエントに会い、インテーク、アセスメント、支援の計画、支援計画の実施、モニタリング、評価など、支援終了までの、流れは大きく7段階に分けることができる。

インテーク

ソーシャルワーク実践は、ワーカーがクライエントを発見あるいは依頼を受けること始まります。クライエントとの発見のパターンは以下の3つです。

クライエントが直接、相談窓口に行き、ワーカーと会う。
ソーシャルワーカーなど支援者の方から問題を抱えている人を発見する。
クライエントの周りにいる人(家族、近隣、民生委員など)から連絡を受け、発見する。

このような段階はインテークと呼ばれています。

インテークとは、クライエントが持っている問題に対する解決や支援を社会福祉施設や機関に提供できるかどうかの適格の可否を決めることです。

通常インテークは、問題が持ち込まれた時点で、面接という形をとって行われると思います。

社会福祉援助活動で行われる面接では、個人や家族、グループから情報を収集したり、問題の診断や治療、介入などを行うことが目的となります。

インテーク段階の面接は、1回もしくは数回で終わることが通例ですが、システム的にそうならない場合もあるでしょう。

インテーク面接において、以下の4つを明確にする必要があります。

クライエントが何故私の前にいるのか
どのように、または誰からこの機関のことを聞いたのか、どのように聞いたのか
クライエントの主訴は何か
クライエントがこの機関期待していることは何か

さらに、クライエントの名前、住所、生年月日、保険その他、また必要ならば家族構成や職業、勤務先など、クライエントに関わる機関が必要とする自身の属性の情報を調べる必要があります。

これが終わって、問題がなければクライエントに関する事項が終われば、次はこの機関のサービスやプログラムなどについて説明することになります。

アセスメント

次の段階として支援計画をつくるための情報を集め、分析をするアセスメントへ移ります。

アセスメントとは、情報収集と問題の明確化です。

具体的には、ソーシャルワーカーが、クライエントをはじめクライエントの問題と関わる人々と、インタビュー、家庭訪問などを通して集めたクライエントに関わる全ての情報を総合的に分析・評価することですね。

ソーシャルワーカーは、アセスメントの情報源として、クライエントの言語的・非言語的記述や表現、アセスメントのフォーマット、関係者からの情報、心理テスト、キーパーソンとの相互作用と過程訪問で得た情報、施設や機関の中でのワーカーとの関りや相互作用、生活史の調査、ジェノグラムやエコマップなどを活用し、情報を収集していきます。

このようにクライエントの課題に関する諸要因とそれらの関係性を明らかにし、ソーシャルワーカーがクライエントに対してどのような援助がどのくらい行えるのか、またその結果の予測を含めて考察しなければならない。そして、解決すべき生活上の課題やニーズを明確化するとともに、クライエントとそれを取り巻く環境のストレングスを明らかにし、それらが次の支援計画を策定するための基盤ともなるのである。

アセスメントにおいては、クライエントが抱えるハンディキャップが社会生活の中でどう影響しているか考えることが問題を発見するポイントになります。

プランニング

次に支援目標の設定し、支援計画をつくプランニングを行っていきます。

アセスメントで見えてきたクライエントの問題を解決するために、支援目標を設定していくことになります。また、支援目標はソーシャルワーカーとクライエントだけでなく、支援を行う関係機関などの間でも共有されなければなりません。

そして、目標が決まったら、具体的な支援内容を決め、支援計画をつくる。ただし、支援計画はワーカーが一方的に決めるのではなく、クライエントも積極的に関わってもらうように工夫が必要です。

計画ができると計画に基づいて支援を実行する。これをインターベンションとと呼ぶ。

インターベンション

インターベンションとは、ソーシャルワーカーによって意図的に行われる援助活動のことです。

インターベンションの範囲は、主として個人に焦点を置いた心理社会的アプローチから社会政策、社会計画および社会開発への参画にまで及びます。

この中には、人々が地域の中でサービスや社会資源を利用できるよう援助する努力だけでなく、カウンセリング、臨床ソーシャルワーク、グループワーク、社会教育活動および家族への援助や家族療法までも含まれます。

さらに、施設機関の運営、コミュニティ・オーガニゼーション、社会政策および経済開発に影響を及ぼす社会的・政治的活動に携わることも含まれる。また、インターベンションには社会的環境の中で、生活する人間に重点を置くという点で、生活モデルの考え方から強調するようになったアドボカシーやエンパワーメントなどを重視する必要がある

モニタリング

支援の実施が進むと実際に支援計画が順調に進んでいるか確認するモニタリングを行います。

モニタリングとはインターベンションが開始された後に行う現状把握のことです。

モニタリングでは、支援計画に沿って適切にサービスが実施されているか、掲げた目標の達成に近づいているか、利用者や家族の生活に変化が現れたか、新たな課題が生じていないかなどを把握していきます。

また、いくら計画通りにサービスが行われていたとしても、利用者や家族の満足度が低ければ、計画の見直しも必要となります。

サービスに対して抱いていた期待と、実際のサービスとの間にずれがないかといった点も、重要な確認事項となる。

エバリューション

モニタリング後には全体評価であるエバリューションを行います。

エバリュエーションとは、一定の基準・目標をあわせて、問題解決の側面から援助活動を客観的に捉え直すことです。エバリュエーションを行うことによって、問題解決をより合理的に進めることができます。

エバリューション、評価には、援助活動の過程で行う評価と、最後に、終結するため全体的・総合的に行う評価があります。

前者の評価は、どの過程でも一時的に立ち止まり、浮き彫りになった問題点を捉え直し、より合理的に進めていくという、見直しとなります。

後者の評価は、最初に立てた目標が達成できたかどうかの効果性と無駄なく合理的に結果を生み出したかどうかといった効率性の観点から総合的に評価を行うことです。

ターミネーション

最後は支援の終結であるターミネーション、援助の終結です。

ターミネーションは「クライエントの問題が必ずも全て解決しておかなければならない」というわけではなく、ある程度成果が見られ、後はクライエント自身で解決可能と判断された場合でも行われます。

援助関係が終結したあとも、クライエントが社会生活機能の維持、向上するための準備過程としての側面を有していることや、時として終結後にクライエントがまたいつ支援や援助を求めてくるかわからないので、クライエントとの関係をすぐに再開できるような関係づくりやアフターケアを行う必要があります。「また、いつでも相談があればご連絡ください」などや、相談窓口の案内をしておくということですね。




ソーシャルワークの展開過程のまとめ

このような援助過程を経て、ソーシャルワークは行われますが、ソーシャルワーカーによる実践すべてがこのプロセス通りに運ぶとは限りません。

そのため、プロセスの途中であっても、前の段階に戻ったり、段階間を行ったり来たりしながら螺旋状に展開することがありえません。というかそうなります。

また、何らかの理由で一連のプロセスを経る前に終結すりこともありえます。

重要なことは、援助するうえで一連のプロセスを頭に入れておき、今、自分がどのプロセスにいるのかを意識化することですね!

最後に

いかがだったでしょうか?

今日は、面談やソーシャルワークのプロセスについて思うところを書いてみました。

こういったことを中々意識してすすめるのは難しいです。しかし、意識できないと専門職としての技術や価値を持つことができません。

そんな難しいことじゃなくて、一つ一つ確認しつつ進めていくツールみたいなものがあればいいのになーと思っています。

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