身寄りがない方の支援 その②

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以前、同じタイトルで記事を書いたのですが今回はまた違ったアプローチを考えてみようと思い至り「その②」を作成してみました!

【悩みが深い】身寄りがない方の支援【課題】

今回は、身寄りがない方の中でも「親族から支援が得られない、得にくい方」へスポットを当ててみます!

身寄りいても支援が得られないと「身寄りがない」の一緒?いいえ、ちょっと違います。

家族がいるけど支援が得れない人と天涯孤独の人は似ているようでちょっと違います。今の日本の制度では「家族はいるんだけど支援してくれない」というのが、支援者として一番困るパターンかもしれません

天涯孤独な人

完全に全く天涯孤独な方だと、今の日本の社会の仕組み上、判断能力が落ちてしまうとほぼ100%金銭管理、手続き、入退院など家族支援が必要な場面で詰みです。行政も助けてはくれないかもしれません(生活保護世帯の方だとちょっと違います)ケアマネジャー等支援関係者が「倫理上ダメだけど、もうどうしようもない!」など、追い詰められてしまうこともあるかもしれません。

ですので、天涯孤独な方だと早期からご本人と任意後見制度、法定後見制度、日常生活自立支援事業の利用などについて「もし、判断能力が落ちた時にどうしたいか?」などを具体的に詰めておくと良いでしょう!行政や地域包括支援センターが相談に乗ってくれそうなら、相談してみるのもいいでしょう!一人で考えるよりかはマシだと思います

【相談ポイントがわかる】成年後見制度の必要について

家族はいるけど、支援をしてくれない人

こちらは法律上、家族(親族)ということが前提として考えられている我が国では、家族が(関わりが無くても)居るということが意味を持つ場合が多いです。支援してくれないからって、無視はできないのです。

これを軽視してしまうと、親族間トラブルなどに巻き込まれてしまう場合も注意が必要でしょう!

支援の第一歩としては、支援をしてくれない(関わりがない)家族が、今後関わるつもりがあるのかどうか?ということを確認することです。

この結果によって、その後の展開がちょっと違ってきます

確認の結果、「もう関わりたくない」「関わらない」

このパターンだと、連絡がつく親族をあたっていって全て関わらないということであれば、実質的に「天涯孤独」ということになり、支援の在り方も完全に天涯孤独な人と同様のものになります。

確認の結果、「関わるつもりがある」「限定的に関わる」

このパターンだと、本当にかなり具体的にどこまで何ができるかを詰めていく方がいいでしょう!

ちょっとした事例を紹介します。

完全に天涯孤独な方の支援事例

Aさんは、要介護2、独居の男性で最近認知症が出始めています。通帳キャッシュカードの紛失が相次ぎ、年金月になっても出金が上手くいかないことが続きました。担当ケアマネジャーのBさん(以下、Bケアマネ)は、これまでの情報収集で全く親類関係がいないとAさんから聞いています。頑張って定年まで会社役員をされていたAさんは年金もそれなりに潤沢にあり、生活保護世帯ではありません。しかし、銀行口座にお金があっても引き出せないのです。

Bケアマネさんは困って市役所に相談したところ、地域包括支援センター(以下、包括)へ相談するように促されました。

途中の経過は端折りますが、この後、Aさんは包括から成年後見制度の利用を促され、認知症の進行がそれほどでもなかったAさんもある程度、制度は理解したうえで、専門医受診(鑑別診断+後見用診断書の作成)→司法書士さんなどに申し立て支援を依頼→保佐類型だったため、家庭裁判所へ本人による申し立て→審判→申し立て支援をしていた司法書士さんが保佐人として就任という経過となりました。後見制度の手続きが終わった後はAさんには、お金や手続きのことは保佐人(司法書士)、生活支援はBケアマネさんと支援者が増えて、当面在宅での生活は安定し、もしかしたら先々で必要となる「施設入所」「入院」等にも備えることができたという感じです。

※制度利用に至るまで、制度利用に至った後も様々な問題があります。成年後見制度が万能では無いということはご理解ください

家族がいるけど、関わりが数十年ない方の支援事例

Cさんは、要介護1の独居の女性です。今はまだ判断能力に不足はありませんが、息子さんとは昔に金銭トラブルがありそれ以降30年以上交流がない状態です。ただし、数年に一回は電話や手紙が届き息子さんの連絡先や住所はかろうじてわかってはいます。また、自宅であるマンションは実は息子さん名義になっており、それをどうするか?がCさんの悩みでした。

そんなCさんも、徐々に認知症の症状が出てきて外に出ると迷子になることが増えてきました。何度も、警察のお世話になってしまうので担当ケアマネジャーのDさん(以下、Dケアマネ)は後見制度の利用について、市の窓口に相談をしました。

相談窓口では、一度息子に連絡を取ってみるしかないということになりDケアマネさんから息子に相談してみました。

息子さんは、電話に出るなりCさんとのトラブルが原因で様々な苦労をしたことをDケアマネさんに話しました。Dケアマネさんは、息子さんに関わりが難しいようであれば成年後見制度の利用をしてはどうかと話します。

結果的に、息子さんとしてはCさんに対し怒りの感情が強く「一切支援はしないし、関わらない」「しかし、本人の財産を処分できなくなる」という理由で後見制度の利用には了解が得れないという結果でした。

このケースもこの後の経過は端折りますが、結果的にBケアマネさんをはじめ、包括や市の担当者、弁護士など様々な関係者から息子さんを説得し成年後見制度の利用に了解をとっていくことになりました。

そんな息子なんて無視すればいいだろうという思うと思いますが、実際そうすれば苦労もなかったのですが、その選択をとると本人と息子の関係性を決定的に断絶させてしまうということから、息子さんにへ本人の状況や後見制度のメリットデメリットなどを丁寧に説明するというアプローチを優先したという事例です。

顛末としては成年後見制度について息子さんの了解もとれ、カンファレンスに息子さん参加してくれるようにまでなりました。ただ、そうなって息子さんと本人のわだかまりがなくなると、今度は金銭管理等息子さんに依頼することができるようになり、後見制度利用の必要がなくなりました。

最後に

いかがだったでしょうか?今回は「天涯孤独な人」と「家族はいるけど関わりない人」の二種類身寄りがないケースについてご紹介してみました。

皆さんも日々の支援の中で、様々な問題に当たっておられると思います。

そんな時にちょっとでも参考になればいいなと思います。

皆さんからも、「こんなこと困ってるよ」ということがあればコメントでもなんでもいいので、教えてもらえるとうれしいです!
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