コント台本 見本1 「説教」

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「なぁ。お前さぁ。取引先にガチギレするってどういうことよ?」
「いや、箸の持ち方が汚かったんで」
「そこは触れないでおこうよ。サラリーマンだよ、俺たち⁉」
「でもちゃんと箸を持てない奴は立派な大人になれないっておばあちゃんが」
「そうかもしれないけど取引相手! 相手は立派な大人!」
「そんなばかな! 俺のあこがれた大人はあんな人じゃない!」
「あぁ、うん。わかった。君のおばあちゃんの教育が素晴らしいことは理解した。確かにマイ箸もってちゃんといただきます言って食べるし、サンマはキレーに平らげるし素晴らしいよ。素晴らしいけど『衆人環視の状況下でマナーを注意して恥をかかせない』ってことも、箸の持ち方と同じくらい大事な社会人のマナーなんだよ」
「でもさすがにあの持ち方はおかしくないっすか?」
「あぁうん。握り箸ね。すごかったねー。よく持てるよなって思ったよ」
「なんであれで里芋落とさないのか不思議でした」
「そうね。なんなら豆も器用に食べてたね」
「サンマなんかキレーに骨も残さず食べてましたし」
「それは別件だね。ともかく。箸の持ち方でキレないの。いいね?」
「じゃあご飯に箸を突き刺すのは注意していいですか?」
「あー、ね。あれはねー。うん。すごかったねー。わざとなのかって思うよね。びっくりして注意するのも忘れちゃうレベルだったね」
「しかも垂直に立ててたっす」
「ねー! あれはないよねー! でもそうだなぁ、やっぱりスルーしようか」
「いやダメでしょ。そこスルーしちゃダメでしょ」
「うん。まず俺上司。もう少し言葉遣い気を付けようか」
「箸を突き刺すのは注意しないで、なんで俺の言葉遣いは注意するんですか!」
「私が君の上司だからだねー。他人にいきなり言われるのとは違うからねー」
「間違ったことはちゃんと言ってあげるのが、やさしさだって、おばあちゃん言ってました!」
「うん。素晴らしいご教育だと思います。そしてもう少し『スルーすること』の教育も受けて欲しかったな」
「世の悪は見過ごせないんで」
「悪っていうな悪って。ともかく、今後『変だなー』って思ったことがあってもむやみやたらに注意しないこと。いいね?」
「……はい」
「なにかあったら私に相談してくれればいいから。その時にやんわり注意できるようにするし、そういった配慮も教えるし」
「じゃあ、今、ちょっといいっすか?」
「何かな?」
「ズボンのチャック。開いてます」
「そういうのは早く言ってえぇぇ!」

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