私は元居宅ケアマネですが、もうケアマネをすることはありません。
理由は一言で言うと『生活の為』です。
信じる信じないは見た方の自由ですし、信じたとしても、ケアマネを続けるか続けないかはその方の自由です。
あくまでも私の推測ではありますが、自分としては間違っているとは思えないので、今回記事としました。
具体的に言うと『以下の3つ』です。
●理由1 → 今後、ケアマネの待遇が良くなるとは思えません。
ケアマネの待遇が良くなることはもう無いと考えたのが、理由の一つ目です。
【処遇改善加算の対象外】
そう考えたのはどうしてかと言うと、ケアマネは何年していても処遇改善加算の対象にならないからです。
介護福祉士として10年勤務していれば、例えその勤務が同じ施設でなくても対象となります。
元々はそうではありませんでした。
同じ施設で長い期間勤務しているかいないかで変わっていたはずです。
なのに、そうやって対象枠を広げているというのは、厚労省が、それだけ介護福祉士を確保したいという意向だからです。
介護福祉士と違い、ケアマネが対象になるとは今後も考えにくいです。
そんなに数もいらないからです。
【厚労省の誘導】
ケアマネから介護福祉士へ戻るのは、厚労省も計算してる気がします。
管理者を主任ケアマネに限定するなど居宅を廃業へ追い込むマネをしたり、その反面、ケアマネは処遇改善加算から除外したりするからです。
ケアマネは必要と厚労省が考えているなら、更新もあり管理者要件まで厳しくする反面、待遇を改善しないのは何故でしょう。
介護福祉士には更新制も取り入れず、処遇改善加算で離職を防止しようとするのは何故でしょう。
ケアマネは大半が介護福祉士出身です。
ここまであからさまだとわざとしているという可能性も十分にあります。
更に、介護福祉士にも認定介護福祉士があります。
ケアマネは、管理者を主任ケアマネに限定しようとしてるのに、デイやヘルパーの管理者を認定介護福祉士に限定しないのは何故でしょうか。
それすると、デイやヘルパーの事業所、多分減りますね。
居宅は減っても良いという事かなという想像さえできます。
「ケアマネは、それだけ高度なスキルが求められる。」
という方もおい出ますが、果たしてそうでしょうか。
高度なスキルを求めるなら、待遇を改善しないのは何故でしょうか。
本当に確保しようと考えているなら、厚労省も何かするはずです。
現に、介護福祉士は処遇改善加算を入れている訳ですから。
第一、高度なスキルが求められるのはデイやヘルパーの事業所さんも同じです。
ケアマネは介護福祉士の上級職ではありません。
単に職種が違うだけです。
●理由2 → 今後、時給換算すると給料は減っていく。
待遇は、悪くなることはあっても良くなることはまずありません。
変わらない可能性も十分にあります。
今のままでも良いと考えている方もおい出ると思います。
しかし、変わらないということは、時給換算すると給料面では減るのです。
【事務作業や負担の増加、そして残業の増加。】
次回の改正で、いよいよ自己負担が導入されると言われています。
導入されれば、ご利用様がケアマネへケアプラン作成を依頼された際、自己負担分を請求しなければなりません。
その事務作業は誰がするのでしょう。
事務がすれば良いというケアマネさんもおい出るでしょう。
気持ちは分かりますが、それはその法人が決めることでもあります。
法人や会社から、「ケアマネがやれ。」と言われたらやるしかありません。
自己負担以外の事務作業も年々増えています。
加算を取るための作業も増えています。
ケアプランも年々細かく記載することが求められるようになっています。
何から何まで事務作業が細かくなっています。
この流れはまだまだ止まりません。
むしろ、加速する可能性もあります。
コロナの影響で失業する方も増えたし、経済が悪化しました。
失業率増加、経済悪化に加え、生活保護を申請する方も増えました。
コロナ離婚も流行っています。
これらは全てケアマネジメントが困難になる遠因となります。
生活保護の方であればその方面でも支援も必要です。
コロナ離婚は家族力の低下に繋がります。
家族力の低下は、そのままケアマネの負担増に繋がります。
そして、事務作業や負担が増加するということは、残業が増加する可能性も高いということです。
【負担が増加しても、給料面が変わらないのは減るということ。】
いままで以上に、残業が増える可能性まで高い。
仕事以外でも、地域の会合、介護支援専門員協会の役員をしているケアマネさんはその仕事、かかりつけ医との連携や会合、様々な研修、時間をかけて行うことが山ほどあります。
おまけに障害制度との融合がうたわれていますから、その連携も加わります。
それで給料が変わらないのは、実質減ったのと同じです。
1時間で10するべき仕事が100になれば、どう考えても減っているでしょう。
AI導入でケアマネの助けになるということですが、逆にAIを導入しようとするのは、事務作業が増えることの証左でもあります。
導入しないともうやっていけないということです。
介護保険法の改正文にICTの活用という文言は入っているのは、厚労省からの暗黙のメッセージであると私は考えています。
「ケアマネさん、もうこれからはICTを活用しないとやっていけないよ。」
厚労省がそう言っているように私には聞こえるのです。
皆さん分かっていることですが、少なくとも使うように誘導はしています。
でなければ文言に入れません。
団塊の世代が介護保険を本格的に使うようになれば尚更です。
時給に換算するとケアマネの給料は減っていくのです。
しかも、処遇改善加算はありません。
●理由3 → 給料面は変わらないのに、より高度なスキルが必要となる。
ケアマネに求められるスキルはより高度になっています。
私は正直、もうついていけません。
【介護保険の知識だけでは足りない。】
ケアマネは介護保険を利用したい方の依頼を受けて、ケアプランを作成します。
しかし、介護保険の知識だけでのケアマネジメントは、実際は難しいです。
生活保護を受けてる方、統合失調症などの精神疾患を抱えてる方、身体障碍者手帳を取得してる方など、様々な制度を利用されてる方がおい出ます。
実際に私も担当していました。
となると、生活保護の知識もいるし、精神疾患の知識もいるし、障害者制度の知識も必要となります。
もちろん、その方面の専門家、市役所の生活保護担当、精神科の医師、精神保健福祉士(PSW)、相談支援専門員(障碍者制度におけるケアマネのような存在)との連携も必要になってきます。
特に障害者制度は、「介護保険と障害者制度の融合」なんて言われてますから、同等の知識が必要となってくるかも知れません。
【傾聴、受容、共感のスキルも必要。】
私は「ケアマネは聞く仕事。」と研修で聞いたことがあります。
よく言われる「傾聴、受容、共感」「バイステックの7原則」「マズローの五大欲求」、これらはソーシャルワーカーやカウンセリングで学ぶことです。
というより、向こうが本場です。
ケアマネがそのスキルを拝借している形になります。
そもそも、ケアマネジメントはソーシャルワークの一つです。
だから、ソーシャルワーカーが高齢者福祉や介護保険に特化したのが、ケアマネとも言えます。
全国区で有名な先生でも、元はソーシャルワーカーという方がざらにおい出ます。
ケアマネはソーシャルワーカーやカウンセラーのスキルも必要なのです。
もちろん、本職には勝てませんが、その基本は必要となります。
その力もケアマネは磨かなくてはなりません。
経済が悪化すれば心を病む人も増える。
そうなれば、クライアントでも病んでいる方が増える。
だから、ケアマネには、より高度な面接技術が今後求められるでしょう。
【給料が変わらないのにそこまで出来ません。】
先ほども記載しましたが、私はもう正直ついていけません。
スキルについていけないと言っているのではありません。
勉強は良いのです。
研修も自分なりに楽しくやっていました。
でも、給料面が変わらないのに、スキルはより高度なものを求められるのがついていけないと言っているのです。
こんな言い方をすると悪いかもしれませんが、ブラック企業と同じです。
薄給でとことんこき使われる。
どこまでも安く使われ搾取される。
何かというと、「ご利用者様のため、地域のため」と大儀を掲げられる。
「ご利用者様のため、地域のため」と言われたら、もう何も言えません。
何を言っても「それは自分のためでしょ。誰のためなの。」となるからです。
●まとめ
ここまで私がケアマネをもうしない理由を記載しました。
以下にもう一度記載します。
1.今後、ケアマネの待遇が良くなることはありません。
2.今後、時給換算すると給料は減っていく。
3.給料面は変わらないのに、より高度なスキルが必要となる。
これらをまとめると、「生活の為」にケアマネをやめる選択になる訳です。
私は決して、ケアマネはしない方が良いと言っているのではありません。
何度も記載しますが、するしないはその方の自由です。
私がここで記載したのは、自分なりに今の現状を分析した結果、未来はこうなるという予測であり、その予測に基づいて、自分はケアマネをもうしないという結論に達したということです。