「絆の証―自動車整備工が見た、命と優しさの絶妙な融合 パート12」

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かずちゃん:ただいま~ あ~つかれた~。
お母さん:おかえりー 今日は遅かったね。
かずちゃん:全国高校生水泳大会地区予選が来週に迫って来たので最後の仕上げの調整で、コーチもみんなもクタクタ。
お母さん:今年は優勝したいものだけど、かずちゃん身体を大事にしてちょうだいよ。
かずちゃん:はーい。おなかすいたー。
お母さん:手を洗って早く食べなさい、用意してあるから。
かずちゃんが食卓の前に座ると、すかさず猫のロロちゃんが膝の上に陣取り、これがいつもの光景だ。
下から、かずちゃんをいとおしく見上げるのだロロちゃんのクセかもしれない。
ロロと言うオスの猫は、かずちゃんが三歳の頃に山野家の玄関の前に捨て猫されていたのを保護してからもう15年位経つ。
猫としては結構長生きの方だろう。かずちゃんとロロちゃんは一緒に生長して来たのだ。
かずちゃんが幼稚園の時も小学生の時も中学の時もずっと一緒で今も、かずちゃんの膝の上が大好きな猫だ。
かずちゃんもロロちゃんが大好きで、幼稚園の頃からずっと話し相手だった。
寝る時も一緒に寝て、庭で一緒に遊んで、ロロちゃんは家族のみんなから愛されて、かけがえが無い存在だった。

いつものように、かずちゃんは学校から疲れて家に帰って来た。
玄関を開けた時に、お母さんが奥から飛び出して来た。
かずちゃん!大変よ!ロロが!ロロが前の道路で交通事故に遭って、今もう死んだようになっているのと言った。
かずちゃんはそれを聞いて急いでロロを寝せてある奥の部屋に走った。

変わり果てたロロの姿、かずちゃんは愕然とした。ロロ!ロロ!と大きな声で話しかけた。ロロが少し目を開けた。そしてニャ~ンと小さく一声鳴いて息を大きく吐いた。全身がぐったりと溶けたようになった。

おかあさん:もう完全に死んだと思って居たのよ、だって全然動かなかったし呼吸もしていなかったようなの。かずちゃんが声を掛けたら目を開けて鳴いたわね、不思議ね、かずちゃんが帰って来るまで一所懸命に頑張って最後のお別れを言ったのねと言って涙を流した。

かずちゃんはロロの死に拠って重いトラウマを抱えてしまった。
ロロに遇いたくて逢いたくて毎日神様にお願いする日が日常となった。
もう一度ロロと話したいもう一度ロロと遊びたい。
私がロロと再会するには私がロロが居る世界へ行くしかないのだわと思うようになった。

しかし、高校を卒業して子供の頃から成りたかった美容師になる為に美容学校に行く事になった。
ロロが居る世界へ行く行動はできなくなった。

美容学校を卒業する時に学校から就職斡旋をしてくれる。
かずちゃんは都会の美容室に行きたかったので数件ある美容室の募集の中から一軒の美容室に決めた。
スマホの地図で見ると街の真ん中で美容室の隣は自動車整備工場になっていた。

かずちゃんとロロちゃんから一言
最後まで呼んでくれて有難う
パート1から読んでね(^^♪

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