猫目石②

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さっき、画廊で花桃の絵を見ていた記憶が有る。
私は画廊に居たのに何故こんな所にいるの。
どうなっちゃったんだろう。
でも息ができているから死んではいないようね。
一体ここは何処よ。
時計を見たら午前11時を示していた。
画廊でエスプレッソのブラックコーヒーを飲んだのが10時頃でそれから絵を見て回ったから時間的には合ってるのよね。
でも場所が合ってないような気がする。
う~ん、こまったな~。
と思って大きな葡萄の木の下に座った。
紫色の葡萄が、たわわに実を付けている。
さっきまで霞が薄くかかっていたので世界が良く見えなかったが次第に視界が晴れて来た。
木々の向こうには高い塀が連なっている。
360度周りを高い塀で囲んでいる中に私はいるようだ。
これは、城郭じゃない?
たしかにそうだわ。
学校の社会の時間に習った事が有るわ。
そう思っていると琴美の耳に人が話すような声が微かに聞こえて来た。
琴美は、葡萄の木の蔭に身を隠した。
やがて声の主は4~5人くらいの男達でこっちに歩いて来る。
琴美の眼の前を通過する時に姿が良く見えた。
まるで、中国4000年を彷彿とさせる出で立ちだった。
何、この服装は仮装行列でもあっているのかしら。
ハロウィンにはまだ早いし。
頭には装飾の冠を被り服は流れるような一枚の布をまとっている。
服には金糸銀糸で不思議な図形の刺繍があり昇り龍が一匹大きく描かれている
話している言葉は日本語のように聞こえるが理解できない。
琴美はさっきから、くしゃみを我慢していたが我慢の限界に達し、とうとう大きなくしゃみをしてしまった。
流石に男達に気が付かれた。
だれだ。誰かいるぞと言って琴美に近づいて来た。
怪しいヤツめ。
みんなで琴美を木の下から引っ張り出した。
琴美をジロジロとまるで不思議な生物でも見ているような目で見ている。
なんだ、この女は。
女と言う事は分かるようだ。
と一人の男が言った。
町にすむ連中ではないのか。
しかしこんな服装初めて見たと言って更に琴美をジロジロ見るのだった。
ジーンズ姿の琴美はスタイルが良いので様になっている。
琴美が嵌めている時計に気が付いた。
これは何だろうと言って琴美の腕から取り上げた。
全員が不思議そうな表情をしていたが、やがて怪しいヤツだから帝の所に連れて行こうと言う事らしい。
言葉は分からないが様子からしてそのようだ。
でも、みかどと言う言葉は分かった。
みかど!?なにそれ。
琴美の頭は混乱していたが、強引にさっきの豪奢な建物よりも更に大きな豪奢な御殿に連れ込まれた。







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