中は輝くばかりの装飾が施されていた。
天井から壁、手すりに至るまでナスカの地上絵のような不思議な図形が彫刻されていた。
二人の男から両脇を抱えられて強引に中に連れ込まれた琴美は何が何だか訳が分からない。
もう一人の男が正面の蛇紋岩のような材質の扉を開けた。
両脇を抱えていた男二人は更に力を入れ琴美を扉の奥の部屋へ押し入れた。
部屋の正面を見ると大きな椅子に座っている偉そうな態度の男が居た。
琴美を強引に中に押し入れた男達よりももっと立派な服を着ている。
冠には一本の木にヘビが巻き付いている彫刻と三角形とナスカのような図形が刻みこまれて金色に輝いていた。
服は、バチカンの法王が着るような服装で豪奢で絢爛な装い。
しかし、顔を見ると何だか爬虫類に似ているような人相だった。
余はこの国の大王であると偉そうに言った。
いい加減腕を離してよ!
痛いじゃないのよ!
と琴美が言ったので二人の男達は慌てて手を離した。
琴美の迫力は凄い。
男達は琴美の言葉は理解できないが、怒っている事は十分に分かる。
暫く琴美を、凝っと見ていた大王が、こいつはムーの連中に違いない。
レムリアの波動を感じると言った。
しかし、何故この城郭内にムーが居るのだと訝しがった。
ムーの間諜かもしれないがどっち道、囚われの身だからどうする事もできないだろう。
今、殆どのムーのやつらは殲滅状態だ。
我らの戦況は極めて有利でムーの残党は残り僅かだ。
これから一気に超強力なプラズマ砲で、とどめを刺す。
と言いながら豪奢な椅子から立ち上がって琴美の方へ近づいて来た。
琴美は直観的にこの爬虫類みたいなヤツから食べられると分かってノルアドレナリンが最大限に分泌された。
この大王が1メートル位まで近づいて来た時に、大王のボディに体重を掛けボディブローを叩き込んだ。
琴美は大学クラブで空手をやって黒帯だから。
大王は強烈なボディブローを食らって一瞬ひるんだが、次の瞬間、大王はその刺激でシェイプシフトした。
物凄い形相で興奮し天を仰ぎ体全体に力を、みなぎらせて雄叫びを叫び凄まじい熱気を口から吐いて琴美に迫って来た。