求婚パンダ

記事
エンタメ・趣味
朝によく立ち寄る会社近くのコンビニで買い物をし、立ち去ろうとする時、目に入った雑誌コーナー。

かわいい付録の雑誌があるな〜

と、通り抜けようとした瞬間、

「すーちゃーん。

僕だよ〜。

お仕事の時も一緒にいたいから、

連れてって〜。」

ん?と思いながらコンビニを出て歩くこと10メートルほど。

今のはぱんだちゃん?

仕事場にいたいって言ってるなー。

帰りに寄ろう。時間余裕ないし。

と少し歩いてクリーニング。

•••売り切れてるかも、買おう。

踵をかえして走って購入。

この記事を書き起こそうとした時点でオムニセブンのサイトでは、もう売り切れでした。

ぱんだちゃんは、元はIKEAのくたっとしたぬいぐるみでした。

すーちゃん(ウニヒピリ)が欲しがったので年柄もなく買って帰ったのですが、

「自分はすーちゃんのナイトだ」と、主張するいじらしい子なんです。

残念ながら、その家からは身を守るためカバン1つで逃げ出してきたので、

ぱんだちゃんは置いてきぼりにしてしまったのです。

いつかまた、僕だよ!とどこからか声をかけてくれるかもしれない、と泣く泣く諦めました。

それからIKEAにまたいるかもと思って何度か足を運びましたが、

同じパンダのぬいぐるみを手に取ると

「浮気はダメだよ〜〜」

という声は聞こえて来るのです。

同じ型のパンダのぬいぐるみだらけなのに、何故か目が合う子はいませんでした。

しかし浮気はダメだなんて、一体どこから声をかけてきているんだろう?

ぱんだちゃんと離れ離れになった私の悲しい妄想かしら?

と、思っていたのがある日

ここだよー!

と聞こえてきて

会社の近くの雑貨屋さんに、コロンとしたパンダのぬいぐるみが大小並んでいて。

折しも上野動物園で無事パンダの赤ちゃんが誕生し、雑貨界は空前のパンダブームの頃でした。

数日様子を見ました。

だって妄想かもしれないから。

しかし、

なんで連れて帰ってくれないの〜?

と毎日聞こえる気がするし、

その時、クリーニング仲間のモコモコさんが、

同じようにとあるぬいぐるみと目があって悩んでる、という話題になり、

目が合って悩んでるという話を聞いて、

(しかも後で判明したが、価格も一緒だった!)

もうこれは連れて帰ろう!

と思い思い切って店に入りました。

IKEAの時のように

浮気はダメだよ〜〜〜

という声は聞こえないので、連れて帰りました。

会社にいたいぱんだちゃんのことをクリーニングしながら歩いていると、

「僕、言ったよね?

会社にも小さい僕を連れてって欲しいって。」

ぱんだちゃんの文句が聞こえる。

そういえば、雑貨屋さんからぱんだちゃんを連れて帰って翌日以降、

サイズ違いの小さい子もやたら気になって、買うか散々迷ったんだった。

二体もいらないだろうという、思い込みがぱんだちゃんの声を聞き取りづらくしてしまった様子。

ごめんねぇ、ぱんだちゃん。

そのぱんだちゃん、

当時小学生だった息子に張り合うようなことを言っていた時期がありました。

ぱんだちゃんが来て一夜明けた朝。

息子がへこんだ様子で

「僕、ぱんだちゃんと喧嘩したんだよ。

それでプロレスして負けたんだよ。」

という夢を見たそうな。

恐るべしぱんだちゃんの自己主張。

そして負けてどうする息子よ。

と思ったのでした。

またある日、

家に遠方から初めて来たお客様に、

なんだか話しかけてるなぁと思ったら、

「はじめまして。

僕はぱんだです。

このたびすーちゃんと婚約しました。

よろしくお願いします。」

と、挨拶をしてました。。。

婚約なんていつしたんでしたっけ。

さて、ウチにはぱんだちゃんの他に古株の、意志が宿るぬいぐるみ、

精神体の「ボス」がいるが、

「まぁ言っとけ。」

と若輩者には優しくおおらかな様子です。

そんなわけで、今仕事場のデスクにいるぱんだちゃん、とても嬉しそうです。

業務が終わりデスクを去る時にいつも、頭をナデナデして、

今日もありがとう~。

とお礼を言って帰るのが習慣です。

今日もいじらしく、張り切った様子でデスクの警備をしてくれています。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す