ラグビーは格闘技ではない

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コラム
ラグビーには鍛え上げた肉体をぶつけあう格闘の側面がある。大きな魅力の一つだ。しかしラグビーは格闘技ではない。さまざまな技術を駆使し、練り上げた理論に従い、理詰めでトライを奪う。ラグビーは「球技」だ。

ラグビーは意外にフィジカルなスポーツではない。肉体の素質に恵まれた者の成功は約束されていない。見事な肉体の資質に恵まれながら、いまひとつゲームで力を発揮できないラグビー選手も多数いる。100㍍を11秒台で走れるのにボールに触れない、体重100㌔で、しかも俊敏なのにうまく絡めないなどなど。反対に、さほど格別な肉体の資質を持っていないのに、見事なタックルや的確な判断でチームに欠かせない選手をよく目にする。
当然、限度はある。しかし、最低限の資質があれば、厳しい自己管理や集中力でカバーできる。

ある著名なプレーヤーは言う。「ラグビーにはスクラムやラインアウト、バックスの抜き合いなど、小さなコンテストが連続する。だから、そのつど考える能力が試される」

ラグビーは、頻繁に試合が止まる。それは一面では退屈を呼ぶが、他方、駆け引きの妙に味わいがある。例えばサッカーやバスケットボールに比べてラグビーには中断が多い。ただし、野球やアメリカン・フットボールよりは動きが連続する。この「ほどよさ」こそラグビーのラグビーらしさである。多少、乱暴にくくれば、サッカーにおける判断力は本能と一体となっている。とっさの「直感」にも近い。しかし、ラグビーのそれは「考える力」をより要する。足は遅くとも、集中力と闘争心を欠かさず「よりよいアイデア」を考えられればチームに居場所はある。

記録を競う競技での成功には、ある肉体の優秀さは不可欠だ。しかしラグビーはそうではない。誰でもその人そのものの力、肉体を超える人間の総合的な能力と可能性を十分に発揮できる。

人類にラグビーは必要だ。

大さん


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