オープンイノベーションの時代は既にきている?私が安易にOIを薦めない理由

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ビジネス・マーケティング
「これからは、オープンイノベーションの時代です」
といわれて、あなたはどう考えますか?

トヨタ自動車、富士フイルムホールディングス、通信キャリア企業など、実際に、オープンイノベーションの活用が上手くいっている事例はあります。

一方、個人的には、「”オープンイノベーション”という言葉が一人歩きしていないかな?」
と思うタイミングが多々あります。今回は、研究•開発分野ではなく、ビジネス創出の観点ですが、”オープンイノベーション”について考えていきたいと思います。

目次
そもそもオープンイノベーションとは?
なぜオープンイノベーションが流行り始めた?その背景にあること
結局、オープンイノベーションによって何をしたいのかが重要
オープンイノベーションは、自前の新規事業より難しい?

そもそもオープンイノベーションとは?
Webサイトで調べた際、BizHintによると

『2000年代の始め頃に米ハーバードビジネススールのヘンリー・チェスブロウ博士により提唱されたイノベーションに関する概念のひとつです』
『オープン・イノベーションとは、企業や大学・研究機関、起業家など、社外から新たな技術やアイデアを募集・集約し、革新的な新製品(商品)・サービス、またはビジネスモデルを開発するイノベーションです』
とあります。そういった”オープンイノベーション”の概念から、以下のような取り組みも出てきていると理解しています。

・コーポレートベンチャーキャピタル (CVC)
・事業会社がベンチャー企業を支援するインキュベーション施設
・アクセラレータープログラム
個人的には、上記の取り組みは”オープンイノベーション”の一環だと捉えています。

そこで、「新規事業創出が必要なのはわかるけど、何故”オープンイノベーション”が必要なのか?」といった疑問が出てくると思います。




なぜオープンイノベーションが流行り始めた?その背景にあること
オープンイノベーションが必要な理由は、以下2点が主要の理由といわれています。

・プロダクトライフサイクルの短期化
・顧客ニーズの多様化

「プロダクトライフサイクルの短期化」に関しては、実は多くの人々は気づいており、事業課題として捉えている人は、少なくはないと思います。

漫画・本が電子書籍になり、周りの書店がつぶれてる
音楽・動画がストリーミングになっており、CD/DVDが売れなくなった
スマホにより、デジカメが必要なくなった
こういった“GAFA”によるプロダクトが私たちの生活に浸透していることからも明らかです。

「顧客ニーズの多様化」に関して

世の中の枠組み(パラダイム)が、20世紀の「大量生産・大量消費」の商品中心の考え方から、21世紀初頭の「顧客起点」と呼ばれる、顧客ニーズ中心の考え方に変化している
といった考えに関して、皆さんどのようにお考えでしょうか?

個人的に、それによって顧客ニーズは多様化していると思っています。

そして、これからは、

顧客自身が、その商品が環境に良いか、商品を提供している企業が持続可能性に配慮しているか、情報を開示しているかといった「ESG(環境・社会・ガバナンス)」を気にする
社会中心の考え方に移行していくと考えています。(『マーケティング3.0』の考え方ですね)

話をまとめると、
・プロダクトライフサイクルの短期化
・顧客ニーズの多様化
に対応していくには、企業は外部の力を活用しなければいけない局面にきているというのが
「なぜオープンイノベーションに取り組むのか?」に対する回答といえるでしょう。

個人的にも新規事業に関して、自前主義(クローズドイノベーション)であれば、

・特許などにより競争優位性の高い技術の独占や秘匿が可能になる
・利益が全て自社に還元され、高い利益率になる
といったメリットがあると思います。

しかし、商品、お客様のニーズが複雑化している現在、自前主義(クローズドイノベーション)にこだわり続けて、

・研究開発から商品提供までに莫大な時間的・人的コストがかかる
・自分達の専門外の企画は、そもそもヒットしない可能性が大いにある
といったデメリットを考慮すると、オープンイノベーションという概念自体には、非常に賛成しています。




結局、オープンイノベーションによって何をしたいのかが重要
私は、オープンイノベーションによる狙いは大きく3つあると考えています。
①新規事業を創出する(例:新たなビジネスモデルをつくる、革新的な技術を生み出す)
③既存事業を強化する(例:新たなスキームをつくる、必要な技術を補う)
②新規/既存事業に関わらず、将来への布石としてコーポレートVC(ベンチャーキャピタル)を通じた投資を検討している

具体的な例でいうと、以下です。

①インテル、クアルコムといった米国メーカー
②トヨタ、富士フイルム
③ソフトバンクを筆頭とした通信キャリア企業
そうした中で、トップからオープンイノベーションの目的を落とされていないというケースもあると聞いています。
そうなると、推進者も目的がわからないまま、「ただ情報共有しましょう」で終わってしまいますよね。




オープンイノベーションは、自前の新規事業より難しい?
私自身が昔そうであり、多くの失敗をしてきているので偉そうなことはいえませんが、経験をもとに考えると、新規事業を実施する推進者で以下の状態の場合はすぐに見直すべきだと思います。

①「業界で知名度のあるこの企業と組めば何か起こせるかもしれない」といった他人任せで考えている
②「自分たち(企業)の強み」を理解していない
③「(簡単でも)どういうことをやりたいのか」さえイメージできていない
私の持論ですが、新規事業創出には”思いをもったヒト”が重要だと考えます。まずは、目の前の課題解決なくして"オープンイノベーション"を成功させることはできないと考えています。

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