大企業の新規事業創出に向けた ヒト 仕組み 組織の話

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ビジネス・マーケティング
こんにちは、mamekaです。4/7に、コロナによる緊急事態宣言が発表されましたね
先行きが見えない今だからこそ、1人1人が全体最適な視点をもって生活していくことがより一層求められると思います。
今回は、全体最適が求められる新規事業創出について考えていきたいと思います。

1.はじめに

『1989年(平成元年)には、時価総額トップ10のうち日系企業が7社を占めていたのにも関わらず、2018年(平成30年)には、トヨタ自動車1社のみ、35位となっています。』
もう知っているという方もいるかと思いますが、これを聞いたときに、あなたはどう感じましたか?私は、「時代の変化は常に起こり、変化に対して常に準備しないといけない」と改めて感じました。

現在、GAFA*やBAT*といったデジタルネイティブな企業が世界の時価総額ランキングトップを占めているように、
PC、スマートフォンを始め、インターネットが前提の社会になっています。
世界のIT最先端では、ブロックチェーン技術を活用した中心のないインターネットや、深層学習を組み込んだ人工知能の研究が進められており、更なる変化が待ち受けています。

これから、日本は、今回のコロナの影響もあり、大幅な周回遅れで、インターネット社会に突入していくと考えられます。

日系大手企業でも、そうしたインターネット社会に備えて、デジタルを前提とした新規事業を創出していく必要があります。
その先には、いずれかの分野でこうしたITの巨人たちが待ち構えているかと思いますが、まずは、世の中の変化を捉えて、
新規事業創出を成功させることが必要です。今回は、そのための組織、仕組み、ヒトの点でお話していきたいと思います。

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2.大企業における新規事業創出プロセスについて**

まず、前提として、既存事業と全く関わりのない新しいビジネスは、経営企画部や新規技術の研究開発が行われるR&Dなどで検討されます。
そこで、有望だと判断された企画案は、予算が組まれ、社長はじめ、役員がオーナーとなり、進められます。
このように組織から切り離された状態を、新規事業のための出島とも呼ばれています。それらは、子会社、関連会社で検討されることもあります。
条件を満たし、事業化できそうなビジネスは、その後、事業本部や事業部へ移管されていきます。

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3.事業部での新規事業開発について**

既存事業の延長上で事業部でも新規事業創出が求められます。以下は、私の経験に基づいた分析です。

事業部で新規事業を検討していくメリットは以下、
・経営企画部やR&Dなどと比較してノウハウが既にたまっており、かつ、お客様との接点がもちやすい
・はじめから事業本部や事業部で企画をすると、将来的なビジネスの据付がしやすい
・既存のリソース(ヒト・モノ・カネ)を活用できる
・事業の売上/利益に責任をもっているので、社内各部署からの批判を受けにくい
一般的に私たちが普段触れている新しいサービスは既存事業の延長上から出てきているものが多いですね。

しかし、事業部で新規事業を進めていく上でも以下のように課題はいくつか存在します。
・ボトムアップ型では、大企業が求めているビジネスのスケールアップに限界がある、時間がかかる
・組織役割(例:営業、開発、生産、品質管理、運用、サポートなど)が事業部と別の場合、活動の据付が必要になる
・事業部では、半期(四半期)の売上粗利の結果が求められる
・人事異動が発生する(1つの事業に腰を据えて取り組む体制ができていない場合がある)
・KPIを設定する側(担当者レベルの人間)とKPIを評価する側(部長以上レベル)が別々で、活動が止まる可能性が高い

特に、大企業では、新規事業ができる人材が不足しており、
・企画案を作れるスキルと、プロダクトの作り込みができるセンスは全く別物(それぞれ身に付けるのに最低3年はかかる)
・本業との兼ね合いで、キープレーヤーが新規事業に割く時間が限定されてしまう、事業部の数字を上げる業務に引っ張られる
・俯瞰的なビジネスの判断ができる人が検討段階にいないと、取捨選択ができない、あらゆる要望に応え続けて、ビジネスが立ち上がったとしても結局採算性が悪くなる

こうした理由が複合的に絡まって、新規事業が頓挫してしまうと考えます。

新規事業に成功している企業は、組織、仕組みが整備されているとともに、
上記の課題を強烈な当事者意識をもって解決できるヒトがいるというのが私の持論です。

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4.大企業が取り組むべきこと**

事業部での新規事業を成功させるには、上記の課題をクリアしていくとともに、以下のようなヒトをどれだけ確保できるかが肝になるのではないでしょうか?
足りない分は、外部のリソースでも構わないと思います。しかし、「これがやりたい」という強い意志をもったヒトがいることが前提です。

①新規事業のプロセスを理解しており、ボトムアップを許容できる事業責任者
②企画案を作れる・まとめられる人材
③企画案の意図を汲み、プロダクトの作り込みができる技術力のある人材
④UIやUXに精通しており、デザインができる人材

大企業は、一般的に、上記のような人材に特化したリクルーティングにあまり重きをおいていないように感じます。
人事制度や組織文化など、失うものを気にしているのかもしれません。
最近ですと、データサイエンティストを始め、リクルーティングの動きがちょっとずつ出てきてますね。

5.おわりに
まとめると、大企業で新規事業を成功させるには、
「組織・仕組み・ヒト」が重要です。

そして、特定の領域で、小さな規模でも良いので、成功事例をつくっていく必要があると思います。
新規事業創出のプロセスは体系化されつつあるので、今、新規事業を生み出す土壌は整ってきています。

ただ、やはり、数百億以上の市場を狙うにはトップダウンは必要不可欠だと思います。社内の士気を高めてから、M&Aなどファイナンスを活用して、一気に事業規模を押し上げていくことも必要です。そのためには、組織をまたいだ人事制度の整備も必要だと思います。

こういったことに対して、外部を活用しながら進めていける経営者は日本に今後どのくらい出てくるのでしょうか?
私は、ポジティブに捉えています。1人1人が個人技を磨いていく時代に突入ですね。

(注)
GAFA* Google,Amazon,Facebook,Appleの総称
BAT* Baidu, Alibaba, Tencentの総称
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