フォックス姉妹と霊との交信

記事
占い
フォックス姉妹とは、霊と交流できると告白したことで一大交霊ブームを引き起こし、近代スピリチュアリズムのきっかけを作ったとされる19世紀アメリカの姉妹である。

彼女らは後に、超常現象・心霊現象の一つとされる、ラップ現象を起こす事が可能な、言い方を変えるなら、死者の霊といわれる目に見えない存在と、音を介して対話や交信できる霊媒師(霊能者)として有名になり、その事が一大センセーションを巻き起こした。

1848年3月31日(金曜日)の夜、姉妹がベッドに入った後に、「音が鳴る事件」が発生した。

木を叩くような小さく虚ろな音とのことであったが、この時点で、両親が毎夜の音に悩まされていたために、姉妹の寝静まった寝室の前で通りかかった母親が、最初に交信を始めた。

交信方法は、交信者側が、ある質問に対して、あらかじめ用意した答えに対応する回数の音を鳴らす(つまり、「イエス」なら1回、「ノー」なら2回、あるいは、該当する数だけ音を鳴らす)などといったシンプルなものであった。

同日の午後7時30分頃、フォックス夫人は、近所のレッドフィールド夫人を呼びに行った。

その後、近所の人達が大勢やって来て質問をして、その晩は夜通し交信を続けた。

この事件は、村を越えて噂が広がり、ひいては全米の心霊研究者や学術関係者、マスコミ、霊と通信したい人々、この傾向を信じる者などに広まったという。

また、この段階で、この現象をラップ現象と名づけられることとなった。
噂が広まってイベント化するに従い、金銭が絡み出した。

一説には、歳の離れた長女、姉レアが、「金儲けの手段として妹たちを利用することを思いついた」とも、「レアが黒幕的存在となったために、後に妹らとわだかまりができたが、当の妹たちは、姉に逆らえない状態だった」とも、伝えられている。

ニューヨークを拠点とした全米でのパフォーマンスの結果として、一家は、巨大な富を手に入れた。

好奇心や物珍しさだけとは言い切れず、ピーク時には、150万人を超える信者や支持者がいたともいわれ、彼女らはカリスマ的存在ともなっていた。

そんな中で、1851年、バッファロー薬科大学の調査結果が発表された。

それは、「音の正体は、足首や膝の関節を鳴らしていたものであった」とするものであった。

そんな中、1888年10月21日付けのニューヨークの新聞に、反スピリチュアル団体から金銭を貰ったマーガレットが、上記大学の調査結果に沿った内容の『手記』で、真実を告白する。

・すべてがバッファロー薬科大学の結論どおり、足の関節を鳴らしたもので、トリックであり詐欺。
・当初は、リンゴを紐で結び、ベッドから床に落とした音で、まず母親を信じ込ませた。
・トレーニングした結果、足首か膝の関節を無制限に鳴らすテクニックを身に付けた。
・単なる悪戯から話が大きくなり、その事実を告白できなくなった。
・金銭がからむようになった段階で、当時かなりの年上の姉・レアに脅されるような形で、真実を口止めされた。

と同時に、パフォーマンスを続けるうち、一家の金儲けも絡んできて、ますます、真実を公表できない状態になっていった。

この告白の背景には、マーガレットが良心の呵責に耐え切れなくなり、精神不安定になった事情があったからだとも、あるいは、レアの長年の支配からいさかいが生じた事への、マーガレットのレアに対する仕返しとして行われたとも、その双方の理由があったとも噂された。

また、この証言により、信じていた者は衝撃を受け、彼女らも、以前のような大金を稼げない状態とはなったが、それでも霊との交信や、この種の現象を信じる者は少なくはなかったといわれている。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す