霊聴 1

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 40年前にCWリードビーター僧正の書を読み、五力の修業をした。小学4年の時に42度の高熱を出しその時にうなされながら見た変な物が何かわからなかったが時々見るようになった。だがそこまで病弱だった私は、そのあと健康になり、病弱から脱してスポーツマンの体になっていった。
 そのうなされながら見た変な物は、CWリードビーター僧正の書「チャクラ」の中のムラダーラ・チャクラと同じだと高校になってから書店での立ち読みで知った。そしてチャクラは連鎖して覚醒していく。アナハタまで上げれば霊聴の能力が得られるということで、まずはそこを試した。
 学生を終えて、自由になってその年に、修行を開始した。学生の時に夏休み中に求聞持聡明法や大髄求法をやっていた。体育会系だったので合宿も割り込んでいたので短期集中でやっていた。
 霊聴は夜中の静かな時に行っていた。集中すると、わじゃわじゃうにゃうにゃと声のようなものが聞こえてくる。耳からではなく脳の中に直接くる声だ。最近気づいたのは都市部の電波の多いところではキーンといつも鳴りやまないが、怨霊のいない田舎に行くと何も聞こえなくなる。ま、それは後に回して、うにゃうにゃわじゃわじゃの声を突き止めようと、ついに春のある夜更けに、鉈と鉄パイプで武装して声の方に進んでいった。神社を西に寺を東に、南の方から聞こえてきたのでどんどん山に入っていった。熊が出る危険があったので武装はしてきたが、さすがに心細い。だがその霊聴の正体を突き止めねばと、恐怖も何も感じないくらい集中して進んでいった。
 そちらの方向には家もなく人の暮らしていた痕跡もない。もちろん縄文時代の遺跡も石器もない。
 言葉の内容は聞こえるが意味が分からない。呪いなのか、予言なのか、今の人の心の中なのか、とにかくその声の方向に歩いていく。というよりは山登りをさせられている。それも夜の闇の中、藪をかき分け、真っ暗な杉の林を懐中電灯もなく進んだ。
 声のする方に進んでいくと声は大きくなるが、何言ってるかわからないのは変わらない。アメリカ人の幽霊は英語で話す、ロシア人の幽霊はロシア語で話すからかな、と考える。
 結局、2キロほど里山を上って峰に立った。峰に立つと急激にわじゃわじゃうにゃうにゃと声のようなものは消えて行った。そして東の空は黎明に青くなっていた。
 喉は渇くし、腹は減るし、鉈とか鉄パイプとか食えねーもの持ってこないで水とおにぎり持ってくればよかったと思ったが、まあ仕方がない。修験者も錫杖持っているし、熊には対抗せねばならない。
 朝日が出る前に下山して、前日の残りがないか飯櫃を覗いて、記憶には何度か飯櫃が空だったことを覚えている。そんな時は水飲んで寝た。
 結局、このごにゃごにゃとしたうにゃうにゃは心のチャンネルを切り替えて聞き分けなければいけないことが後でわかった。その話はまた続きにしよう。
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