【機胡録(水滸伝+α)制作メモ 030】鄒潤

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※補足1:生成画像は全てDALL-E(Ver.4o)を利用している。
※補足2:メモ情報は百度百科及び中国の関連文献等を整理したものである。
※補足3:主要な固有名詞は日本訓読みと中国拼音を各箇所に当てている。

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『水滸伝(水滸伝/shuǐ hǔ zhuàn)』の概要とあらすじ:中国の明王朝の時代に編纂された、宋王朝の時代を題材とした歴史エンターテイメント物語。政治腐敗によって疲弊した社会の中で、様々な才能・良識・美徳を有する英傑たちが数奇な運命に導かれながら続々と梁山泊(りょうざんぱく/liáng shān bó:山東省西部)に結集。この集団が各地の勢力と対峙しながら、やがて宋江(そうこう/sòng jiāng)を指導者とした108名の頭目を主軸とする数万人規模の勢力へと成長。宋王朝との衝突後に招安(しょうあん/zhāo ān:罪の帳消しと王朝軍への帰属)を受けた後、国内の反乱分子や国外の異民族の制圧に繰り出す。『水滸伝』は一種の悲劇性を帯びた物語として幕を閉じる。物語が爆発的な人気を博した事から、別の作者による様々な続編も製作された。例えば、『水滸後伝(すいここうでん/shuǐ hǔ hòu zhuàn)』は梁山泊軍の生存者に焦点を当てた快刀乱麻の活劇を、『蕩寇志(とうこうし/dàng kòu zhì)』は朝廷側に焦点を当てた梁山泊軍壊滅の悲劇を描いた。
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鄒潤(すうじゅん/chú rùn)
091 邹潤.jpg

<三元論に基づく個性判定>
60番 **とても弱い生存欲求**、**弱い知的欲求**、**とても弱い存在欲求** - **「自己満足型の実行者」** - 自己満足を重視し、他者との関わりを最小限にする。

<概要>
彼は「頭にこぶがある」という外見的な特徴を持つ人物。鄒淵(すうえん/chú yuān)の甥に当たり、あだ名は「独角龍」。もともとは登雲山で活動をしていた山賊勢力の一員。後に毛太公による冤罪事件をきっかけに顧大嫂(こだいそう/gù dà sǎo)や孫立(そんりつ/sūn lì)らが実行した脱獄救出作戦に参加し、梁山泊勢力へと加わった。百八人の英傑たちが集結した際には序列第91位に定まり、歩兵将校を担当。その後も叔父と共に戦場で活躍し、最終戦となる方臘(ほうろう/fāng là)の討伐戦においても前線で激しい戦闘を繰り広げる。この乱戦の中で叔父は殉死するも、彼は生還。戦後、官職を得るも自分には見合わないとしてこれを返し、登雲山へ戻って余生を送った。

<脱獄作戦に合流するまでの経緯>
頭にこぶある鄒淵と、その叔父で極端に小柄な鄒潤。彼らは二人とも莱州の出身で、叔父・甥の関係にあるものの年齢にほとんど差はない。生い立ちは悲劇的で、何らかの理由で二人の家族は皆が短命。最終的に生き残ったのが彼らだったとされている。二人の外見的な問題点から、一族が短命だった理由は遺伝的な疾患の理由があったのではないかという見解がある。いずれにせよ、このように死と隣り合わせで生きてきた二人であるがゆえに、生死にほとんど頓着なし。いつ自分たちも死ぬか分からないので、今日さえ楽しく生きればそれで良しという享楽的な感性に偏った二人は、山賊をしながら賭博に熱を注ぐ日々を過ごす。そのような二人がある時に訪れたのが、顧大嫂(こだいそう/gù dà sǎo)と孫新(そんしん/sūn xīn)が経営している賭博場。孫新は二人が刹那的な考えで生きている事をすぐに悟り、金さえ払えばどのような危険な事にも及ぶ使い勝手の良い傭兵になりそうだと観察をしていた。こうして解兄弟が無実の罪で死刑囚になって脱獄させる計画を立てた際、この鄒淵・鄒潤を仲間にする事を決めたのである。

<荒っぽい生活の中で身につけた喧嘩殺法>
鄒淵・鄒潤という叔侄(兄弟の子供)たちは、賭博場での争いやら山賊業の仕事やら債務の取り立てやら、いわゆる"ごろつき"として現場で起きる喧嘩経験を積み重ねていた。その結果、彼らは独特な喧嘩殺法とも言うべき特技を身に付けた。鄒潤の得意技は「無敵独龍鉄頭功」と呼ばれるもの。頭が大きく、しかもこぶがあるので、これを利用して頭突きにより相手を半殺しにするのである。他の武人としての才を持つ英傑たちに比べると幼稚にも思える体術であるが、その攻撃力は想像を超える。「鄒潤が頭突きで渓流のそばの松の木を折ったのを見て、皆が驚愕した」という逸話がある程だ。

<こぶの位置の設定がおかしい気がする>
原作では「頭の後ろに肉瘤がある」という描写があるが、上述の通り、彼の喧嘩殺法の得意技は頭突き。後ろ側にあるこぶを利用する突き方は不可能に近いので、前にあるべきだと感じる。よって、参考画像の生成は前側にこぶをつけるようDALL-Eさんにお願いをした。中国大河ドラマ『水滸伝(2011)』においても、鄒潤は額の左上あたりにこぶを設けている。

<印象>
叔父の鄒淵(すうえん/chú yuān)、甥の鄒潤(すうじゅん/chú rùn)。彼らは完全な"地元のごろつき"であって、それ以下でもそれ以上でもない。孫立(そんりつ/sūn lì)、孫新(そんしん/sūn xīn)、顧大嫂(こだいそう/gù dà sǎo)といった面々に準じて梁山泊勢力に加入したが、英傑と呼ぶには物足りない点がある。ただ、彼らが常に死を意識しながら生きているという点を掘り下げれば、そこには人間が動物として有する純然たる本能の美学があるようにも感じられる。ロシアの文豪トルストイは「人生に意義を見出さない人がいるとすれが、その者は生きながらにして死んでいるのだ」と言ったが、これは果たして本当だろうか。私は真逆の生命のあり方も存在すると考える。人生に特別な意義を見出さなくても、死ぬまで生きるという刹那の享楽を存分に楽しめるという者も、この世にはいるのである。そう考えると、この鄒家の叔侄たちには確固たる「人の生き様」の一側面があり、それもまた英傑の条件を満たす要素になるだろう。

<三元論に基づく特殊技能>
#### 無敵独龍鉄頭功(具術)
**説明**: 鄒潤は、恐ろしく硬い頭で強烈な頭突きを繰り出す能力「無敵独龍鉄頭功」を持っている。この具術は、彼の異常な頭の硬さと突進力に基づき、敵に対して圧倒的な破壊力を発揮する。
- **効果**:
  - **道具性(なし)**: この具術は、鄒潤の頭部そのものに依存し、道具を必要としない。
  - **思考性(薄い)**: 主に物理的な力に依存するため、複雑な戦術や計画は必要ない。
  - **関係性(薄い)**: 主に自身の戦闘能力に関わるため、直接的な人間関係への影響は少ない。

#### 刹那の潤沢(導術)
**説明**: 鄒潤は、複雑かつ高度な問題に悩む周囲の人々の絡まった思考を無自覚にいったん白紙の状態に引き戻す能力「刹那の潤沢」を持っている。この導術は、彼の存在そのものが周囲の精神的な負担を軽減し、冷静な思考を取り戻す力を持つ。
- **効果**:
  - **道具性(なし)**: この導術は、鄒潤の存在と精神的な力に依存し、道具を必要としない。
  - **思考性(中程度)**: 周囲の思考をリセットするためには、高い共感力と無意識の影響力が必要。
  - **関係性(とても濃い)**: 鄒潤の導術は、周囲の人々との関係を強化し、協力を促進する。

#### 具体的な使用例:
1. **強烈な頭突き**: 戦闘中、鄒潤は強烈な頭突きを繰り出し、敵を圧倒する。
2. **思考のリセット**: 鄒潤の存在によって、複雑な問題に悩む仲間たちの思考が一時的に白紙状態となり、新たな視点で問題に取り組む事ができるようになる。

※画像:DALL-E
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