大妖怪妲己と殺生石

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コラム
むかしむかし、中国商(殷)王朝の時代、時の紂王の后だった妲己を食い殺し、まんまと后になりすました一匹の妖狐がいました。

それが白面金毛九尾の狐です。顔は白く、身体は眩しいほどの金色の毛に覆われ、その尻尾が九本にわかれていることからこのように呼ばれたそうです。

妲己になりすました九尾の狐は紂王をたぶらかし、夫婦揃って悪さを働きました。

周の武王が商を攻め滅した時、この妲己も捕まり処刑されました。

しかし、相手は恐ろしい妖怪です、ただでやれれるわけはない。

そこで周の軍師姜子牙(太公望)が妖怪の正体を見抜く鏡(照妖鏡)を妲己に向けたとたん酷く苦しみ、ついに恐ろしき妖狐の姿を現したのです。

姜子牙は妖狐に神剣を投げつけましたが、妖狐の身体を三つに裂いたものの討つことはできず、逃げ去ってしまいました。

その後妖狐は天竺に渡り、同じことを繰り返した末、若藻とという美しい少女に化、当時中国に留学していた吉備真備をだまくらかして、一緒に遣唐船に乗り日本にやってきました。

妖狐は藻女と名乗り、宮中で仕えるようになり、それから玉藻前と名乗るようになりました。すぐに鳥羽上皇に見初められ契りを結びますが、次第に体調が悪くなって病を患ってしまいました。

訪れた陰陽師の安倍晴明がその原因は玉藻前にあると言い、さらにその正体が妖狐であると見抜いたのです。

玉藻前は逃げ出し、鳥羽上皇が討伐軍を派遣しました。その数は八万にも及んだそうです。

必死の攻防の末、妖狐は首を刎ねられ、息の根を絶たれました。

しかし、死ぬ間際に正体を現した玉藻前は人間達に恨みの言葉を残し毒石となりました。これを殺生石と呼んだのです。殺生石は終始毒を吐き出し、周辺は荒れ果て、生き物の住めない土地となりました。
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