メール送受信の仕組み

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IT・テクノロジー
この記事では、メールの送受信の仕組みを簡単に説明します。
この記事は主に独自メールを使用する方の、メールの仕組みへの理解を深めるために記述いたします。

独自メールとは、独自ドメインで設定したメールアドレスを使用したメールのことです。

独自ドメインについては、過去の記事をご覧ください。


●メールサーバーとメールアカウントの作成
独自メールには、独自ドメインの取得とメールアカウントの設定が必要となります。
レンタルサーバーを契約すれば、メールアカウントが設定できますので、ご利用のレンタルサーバーの方法に従ってアカウントを設定してください。
メールアカウントを設定すれば、メールサーバーが作成されます。


●メールサーバーとメールアプリ
メールの送受信を行うには、メールサーバーとメールアプリが必要となります。
設定したメールアカウント情報をもとに、メールサーバーとメールアプリの連携を行います。
メールサーバーとメールアプリを連携すれば、メールの送受信が行えるようになります。


●メールの送受信
ここで一旦、メールサーバーとメールアプリの役割を説明いたします。

メールアプリは、受信したメールの閲覧や削除・メールの作成などを行います。

実際にメールの送受信を行うのは、メールサーバーです。
メールサーバーは、受信したメールを保管し、それをメールアプリに表示します。また、作成されたメールを宛先のメールサーバーに送ります。

メールの送受信.png



●送信サーバーと受信サーバー
メールの送受信は、実際にはメールサーバーが行うと説明しましたが、メールサーバーの中には、送信用のサーバーと受信用のサーバーが組み込まれています。
アカウントごとに、この送信用サーバーと受信用サーバーの情報をメールアプリに設定することで、サーバーとアプリが連携します。
その送信用サーバーと受信用サーバーについて説明します。


●受信サーバー

メールの受信には、POPもしくはIMAPという方式を使用します。
これは、サーバーとメールアプリの連携時に選択して設定します。


●メールの受信方式

・IMAP
IMAP方式は、IMAPサーバーというものを通して、サーバーにあるメールデータをメールアプリを通して直接閲覧します。

 特徴
- メールデータはサーバーに保存。
- 複数の端末での閲覧が可能。
- オンライン状態でないとメールが閲覧・削除できない。
- メールアプリでメールを削除すると、サーバーのデータも削除される。
IMAP方式.png


・POP
POP方式は、POPサーバーというものを通して、メールデータを自分のパソコンにダウンロード保存して閲覧します。

 特徴
- メールデータは自身のパソコンに保存。パソコンの容量を消費する。
- サーバー内にデータは残らない。
- ある端末でダウンロードしたメールは、その端末でしか閲覧できない。
- 一度ダウンロードすれば、オフラインでもメールが閲覧できる。
POP方式.png


●メールアプリの設定(余談)

メールアプリの設定次第では、IMAP方式でもオフラインでもメールを閲覧できるようにしたり、POP方式で受信してもサーバーにもデータを残したりすることが可能です。
メールアプリによってはその機能が初めからオンになっている場合もあります。

※Windowsメール(outlookではない)では、受信サーバーがIMAP方式でもPOP方式でもIMAP方式の挙動をします。設定の変更はできないようです。
また、IMAP方式でもオフラインでメールの閲覧ができますが、ローカルでメールデータを確認することはできないようです。
※Thunderbirdでは、IMAP方式でもパソコンにメールデータの複製が残ります。設定で、○日経過したら削除する、という設定ができます。

ただし、設定で変えられるなら最初はどっちでもいいや、とはしないようにしましょう。
ソフトウェアのアップデートなどで万が一設定がリセットされた場合に、今までの挙動と変わってしまった、ということもあり得ます。

例えば、
POP方式でサーバーにデータを残すように設定していたが、気が付いたら設定がリセットされており、サーバー内のデータが無くなっていた。
IMAP方式で、サーバーストレージの容量が少ないので○日経ったらデータを削除するように設定していたが、設定がリセットされ、サーバーストレージがいっぱいになっており、メールが受信できない状態になっていた。
などです。

メールアプリの設定や受信方式は目的に合った方式で設定しておきましょう。


●送信サーバー(SMTPサーバー)
送信サーバーは、SMTPという通信プロトコル(通信規格)でメールデータを送信しています。
そのため、SMTPサーバーと呼ばれています。

メールアプリで作成したメールは、連携しているSMTPサーバーにアップロードされ、SMTPという通信規格で宛先のサーバーに送信されます。
送信サーバー.png


●MTAとMDA

SMTPサーバーの中にはメールの送信を担うプログラム(MTA)と受け取ったメールの仕分けを担うプログラム(MDA)が存在します。
似た言葉でメールソフトのことをMUAとも言います。

・MTA
メールの送受信はメールサーバーが、メールの送信はSMTPサーバーが、と言ってきましたが、本当に送信を行っているのはMTAです。
送信の他にもメールの転送(フォルダの移動など)や、エラー時の送信の再試行やエラーコードの通知、ログの記録、メールのフィルタリングなどを行います。

・MDA
MDAはMTAのフィルタリング結果に従ってメールの仕分けを行います。
MTA・MDA.png

簡単にまとめると、MTAがメールをSMTP方式で相手のMTAに送り、受け取られたメールはMDAに渡されメールボックスに配られる、といった形になります。


●まとめ
・メールの送受信は、メールサーバーとメールアプリを連携することで行える。
・メールの受信方式は、IMAPとPOPの2つの方式がある。
・IMAP方式では、サーバー内のメールをオンラインで直接閲覧する。複数の端末で閲覧できるが、オフラインでは閲覧できない。
・POP方式では、サーバーからデータをダウンロードして閲覧する。パソコンの容量を消費する。サーバーにデータは残らない。オフラインでも閲覧できるが、1つの端末でしか閲覧できない。
・受信方式はどちらでも同じように設定できるが、目的に合った方式で設定しよう。
・使用するメールアプリによって一部挙動が変わる場合がある。
・メールの送信はSMTPサーバーが行う。
・SMTPサーバーには、MTA・MDAというプログラムが存在する。
・MTAは、メールの送信、転送、エラー処理、フィルタリングなどを行う。
・MDAは、MTAでのフィルタリングに従って、メールを振り分ける。


●ごあいさつ
この記事では、メールの送受信の仕組みを簡単に説明いたしました。
独自メールアドレスを作ろうと考えている人のお役に立てればと思います。

分かりにくい箇所や誤植がありましたら、ご教示いただけますと幸いです。

ご閲覧ありがとうございました。
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