中国ビジネスの最新動向と今後の展望

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2024年に入り、中国経済はコロナ禍からの回復を続けているが、同時に構造的な課題や外部環境の変化にも直面している。 中国は世界最大級の市場であり、日本企業にとって重要なビジネスパートナーであることに変わりはないが、対中ビジネスの戦略や対応も時代に合わせてアップデートする必要がある。 本記事では、中国ビジネスに関する最新の情報や分析をもとに、現在の中国経済・情勢、現地進出日系企業の動向、米中対立や経済安全保障強化によるビジネスへの影響と対策、対中ビジネスにおける今後の対応と留意点などについて解説する。
中国経済の現状と課題
中国経済は、2023年第2四半期(4~6月)に前年同期比6.3%と高い成長率を記録した1。 しかし、消費の力強さが欠け、民間投資が不振といった指摘もある。 また、財政赤字の拡大や不動産市場の低迷、人口減少、債務拡大などの構造問題がより顕在化しつつある。 米中対立や経済安保などの外部要因もあり、中国を取り巻く環境は大きく変化している。
中国政府にとっては、安定成長をいかに維持していくかが大きな政策課題となっている。 経済成長を決めるのは労働、資本、全要素生産性だが、人口や労働力を増やすのはすぐには無理なことで、資本についても民間セクターが債務を抱えており、これまでのような投資は難しい。 残るは全要素生産性だが、中国はイノベーションと生産性向上を目指すしかない。 国有企業改革や製造業の自動化、省力化などをいかに進めていけるかが課題となる。
日本企業の中国ビジネスの動向と戦略
日本企業の中国ビジネスに関して、サプライチェーンについて3つのキーワードでみることができる。 それは国内回帰、地産地消、選択と分散だ。
1.国内回帰
国内回帰については、最先端技術を国内に置くという企業自身の方針のほか、円安の影響や、中国の人件費などコスト上昇が行動の背景にある。 ただ、日本の労働力が減少していることから、国内回帰が可能なのはあくまで先端分野で、かつ自動化や省力化が可能な分野に限られている。
2.地産地消
地産地消については、多くの日本企業が行っている。 現地で調達し現地で販売するというもので、このマーケットインの流れは今後もさらに進んでいくとみられる。
3.選択と分散
選択と分散については、中国の人件費などのコスト上昇や地政学リスクの高まりなどで、中国で製造したものを世界に販売していくのが既に難しくなっている。 米中貿易摩擦で一部製品に対して双方で引き上げられた関税がまだ引き下げられていない中で、企業は中国で製造するものと製造しないものを選択し、対応を変えることで最適化してきている。
日本企業の中国ビジネスは、以前と比べて競争力が低下しているとの見方もあるが、これは一概には言えない。 例えば、自動車市場では、日系企業の苦戦が指摘されているが、これは中国の消費者が車に求めるものがスマホに求めるものと同じになってきており、スマホ的なサービスがあるEVが売れているからだ。 中国の自動車市場が世界に先駆けてスマート化している事実にもっと注目すべきで、他の地域で売れたものをモディファイして中国に持ってきても売れない。
日本企業は、中国市場の変化に対応するために、事業ポートフォリオの転換やイノベーションの加速を図る必要がある。 また、米国の対中規制が強まる中、日本企業の中国ビジネスにも影響が及ぶ可能性がある。 その場合、日本企業は、自社の事業や製品がどのような規制の対象となるかを把握し、適切な対策を講じる必要がある。
まとめ
中国ビジネスは、変化の激しい時代に入っている。 日本企業は、中国経済の現状と課題、現地進出日系企業の動向、米中対立や経済安全保障強化によるビジネスへの影響と対策などを把握し、対中ビジネスの戦略や対応を時代に合わせてアップデートする必要がある。 中国は世界最大級の市場であり、日本企業にとって重要なビジネスパートナーであることに変わりはないが、その関係性は変化している。 日本企業は、中国ビジネスの新潮流に対応するために、柔軟な発想と行動力が求められているのだ。
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