患者さんに100倍量のモルヒネを誤投与した事件に関して【薬剤師の目線】

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はじめに

※あくまでこの記事は、事件に関わった医師および薬剤師を批判するために書いたものではありません。そこを念頭に置いてお読み下さい。

40代の医師と調剤薬局の60代の薬剤師は93歳の男性に誤って必要な量のおよそ100倍のモルヒネを処方して死亡させた疑いで23日に書類送検されました。患者の男性は息苦しさを訴えてクリニックを受診しモルヒネの内服薬を処方されましたが、その後容体が急変し1週間後にモルヒネ中毒で死亡しました。医師の女性は、電子カルテの入力を誤って大量のモルヒネを処方していて薬剤師も、その処方箋(せん)に従って薬の調剤をしていました。
(引用:yahoo!JAPANニュース テレビ朝日)

まずはじめに、亡くなられた男性のご冥福をお祈り申し上げます。

かなりセンセーショナルでショッキングなニュースである。
調剤薬局で薬剤師として働いている身としては、事件に一切関係ないのに心臓がキュッとなる。

このニュースを見た一般の方と思われる人たちのコメントを見ると「100倍量なんて間違うわけがない」「モルヒネなんて大事な薬、間違えるわけがない」という意見が多かった。一般の方はそう思うだろう。しかし、薬剤師として働いている私は、正直に言うと「明日は我が身だ」と感じた。実際にモルヒネ散を取り扱った経験や調剤薬局で勤務する薬剤師としての見解を、書いていこうと思う(実際のミスはどういったものか公表されていないため、あくまで可能性の話になります。そしてモルヒネは塩酸塩水和物と仮定します)。

100倍量なんて、間違うわけがない

まず前提として、医師が処方を決めて処方箋を発行する。患者さんはそれをもって薬局に行く。そして薬剤師はその処方箋をもとに薬を準備して患者さんに説明の上で渡す。これが大まかな外来処方の流れだ。
国民皆保険制度によって病院にかかりやすいこの世の中では、ほとんどの人が病院で処方箋をもらった経験があるだろう。

そこでいきなりだが、下の2つのうちどちらが薬の有効成分が多いと思うだろうか。
①モルヒネ散【原末】 1g
②モルヒネ散1%    1g
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