リズム隊と合奏と遅延の話

記事
音声・音楽
こんにちは、ジャズギタリストのすがです

今回はリズム隊であるギターが他の楽器と合奏する際に
気を付けるべき意識の話をします

結論:ビートは乗るのではなく、作る


1.ギターの遅延速度
ギターはいわゆる電子楽器です
デジタル処理を行う為遅延が発生します
ギター→エフェクター→アンプ(ヘッドホン)
と繋いでいくと2~5msほど遅延すると言われています
エフェクターを繋いだりすると10msほどまで遅延が増えます
※シミュレータアンプだとさらに遅延します

2.デジタル入力した際の遅延速度
もしあなたが今オーディオインターフェースを繋いで
PCに音を入力している場合、さらに遅延が発生します
一例としてUR22では、入力、出力ともに6msと記載されています
さらに、パソコンのスペックによって20~60ms遅延します

3.人間の反応速度
人間の反応速度には若干の遅延があることをご存じでしょうか
一般的にですが、目や耳から入った音を手で反応を示すまでに
20~50msかかると言われています
聞こえる→脳に伝達→弾かなきゃ→手で弾く
この間に既に遅延が起きています

4.ライブ会場での音の遅延速度
音が客席に向かって飛んでいき、跳ね返ってきた時の音の遅延は
17mで50msと実験結果が出ています
音の跳ね返りはかなり遅延が大きく、遅延を無くすために
大きな会場ではモニターを使用しています

5.人間が感じる遅延の限界速度
4.1. 遅延した他者の演奏音による影響本インタビュー調査の結果,オーケストラ演奏時,ステージ上ではわずかに遅延した他者の演奏音が到来しているが,奏者たちはそれらの遅れを気にせず演奏していることが示された.先行研究において,他者の演奏音の遅延時間がおよそ 20 ms 以上になると,アンサンブルが次第に難しくなることが示されている[1][2].Gade は,異なる部屋にいる 2 人の奏者に対して,マイクロフォンとスピーカを用いたシステムを介してアンサンブル演奏させた.この際,他者の演奏音に任意の遅延を挿入して呈示し,主観的なアンサンブルのしやすさを評価させた.10 組のデュオ(ヴァイオリン‐チェロないしはヴァイオリン‐フルート)で実験を実施した結果,アンサンブルのしやすさは遅延 20 ms 以上で低下することが示されている.類似する研究[4]として,電子ヴァイオリンを用いた実験では,他者の演奏音に遅延を挿入した環境下でアンサンブル演奏を行い,「遅延を感じた程度」と「演奏への支障の程度」の主観評定を行っている.実験の結果,半数の被験者が 20 ms で遅延を感じ,30 ms 以上では全ての被験者が遅延に気付いたうえで,演奏に支障があると回答している.
上記の引用より、人間は20msまでは許容範囲で30msでは演奏に支障がある
と分かっています
これらを合わせると・・・?(;'∀')

6.まとめ
つまり、メトロノームやドラムのリズムに合わせて弾いてしまうと
余裕で20msなんか越してしまうのは分かりますね
特にオンラインセッションや、ライブ会場でのセッションは
普通に弾いていてもビートに乗り遅れています
ではどうすればいいのでしょうか

それは

常にリズムの前に弾くこと

メトロノームに合わせて手拍子の練習をしてください
リズムとピッタリ合った時、二つの音は消失します
そのタイミングがベストです

練習ならメトロノーム
合奏ならドラムのリズム、が鳴る
ほんの数ミリ前に弾く!と意識してください

リズムの波があって、その上に乗っているだけでは
リズム隊とは言えません!

ギターはリズム隊ですから

リズムは自分で作り出すものです!

世間では前ノリ、後ノリという言い方をしますが
ギターが後ノリの演奏なんか気持ち悪くて観客は聞けたものではありません
あれはリード楽器がするから許せるだけです

前ノリで弾くのは
めっっっっっちゃキツいです
ですが、意識してください

自分やバンドメンバーが弾いた音
それらが混ざり合った音楽を届ける先にいるのは誰ですか?
観客ですよね
観客に音が届くまでには遅延があると今日分かりましたから
それなら気持ち早めに弾くのが当然ですよね

今回の事を意識するだけで他人の評価がグッと上がります
ぜひ意識してみてください

それでは



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