中小企業経営のための情報発信ブログ491:本の紹介 0ベース思考

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今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
今日は、スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・ダブナー著「0ベース思考ーどんな難問もシンプルに解決できる」(ダイヤモンド社)を紹介します。スティーヴン・レヴィットは「ヤバい経済学」(東洋経済新報社)という本で有名な「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれたシカゴ大学経済学部教授で、スティーヴン・ダブナーはジャーナリストです。
0ベース思考というのは、バイアスをゼロにしてアプローチする思考法です。
「脳を鍛えなおして、大小問わずいろいろな問題を普通とは違う方法で考える。違う角度から、違う筋肉を使って、違う前提で考える。やみくもな楽観も、ひねくれた不信ももたず、すなおな心で考える」という思考法です。
各章の要点をまとめておきます。
第1章 何でもゼロベースで考える=バイアスをゼロにしてアプローチする方法
 あなたはサッカー選手、それも超一流の選手でチームをワールドカップの決勝まで導いていた。あとはPKを決めれば優勝です。PKの成功率は75%。あなたは、どこに蹴るでしょうか。利き足が右なら得意なのは左サイド、キーパーが左に飛ぶ確率は57%で、右に跳ぶ確率は41%です。ということはキーパーが真ん中から動かない確率は2%に過ぎないのです。データによれば、真ん中を蹴って成功する確率はサイドを蹴って成功する確率よりも7%も高いのです。データを見る限り真ん中を蹴るのがいいのですが、多数のキッカーはサイドを蹴ります。キッカーはゴールを決めて勝ちたいだけではないのです。格好よくゴールを決めたいのです。利他的な利益よりも利己的な利益を優先してしまうのです。ここでは、「直観」や「主義主張」を排除してデータを元に世の中の仕組みを理解し、どんなインセンティブがうまくいくのか明らかにする方法が語られています。
第2章 世界でいちばん言いづらい言葉=「知らない」を言えれば合理的に考えられる
 人は「知っている」と思い込んでいるだけです。知ったかぶりをしているのです。問題は「事実」を集めるだけではできないのです。ある問題を引き起こした原因を「知る」のはとてつもなく難しいのです。専門家の予想の的中率はチンパンジー並みといってよいでしょう。人は世の中のことだけでなく「自分のこと」も分かっていません。「知ったかぶりをする」のは、「知らない」と白状した時のダメージの方が「知ったかぶり」をして間違いが判明した時のダメージより大きいからです。「知らない」と白状して間抜けだとか負け犬だとか思われるより知ったかぶりをして自分の評判を守る方が大事というわけなのです。しかし、自分が何を知らないかがわからなければ、必要なことを学ぶことが出来ません。答えられない質問には分からないと答え、調べればいいのです。もしあなたがこれまで「分からない」と言っているとしましょう。そのあとで答えられない質問にぶつかったとき、知ったかぶりをして答えてもみんな信じてくれます。これも一つの戦略になりうるのです。
第3章 あなたが解決したい問題は何?=問題設定を変えて、すごい答えを見つける
 見当違いの「問い」を立てたら見当違いの「答え」しか得られません。どんな問題を解決しようとするときでも、たまたま目についた気になる部分だけを取り上げていないか検討するのです。問題を正しくとらえること、正しくとらえなおすことが肝心なのです。ここでは、アメリカのホットドッグ大食い競争で優勝した日本人コバヤシの話が出ています。
第4章 真実はいつもルーツにある=ここまでさかのぼって根本原因を考える
 問題の根本原因を突き止め、それを取り除けるよう、力の限りを尽くすのです。根本原因を見つめるのは不安だし怖いことでもあります。だからなるべく避けて通ろうとするのです。しかし、その「避けて通りたいところ」に鍵があるのです。徹底的にさかのぼって「要因」を見つけるのです。ここでは胃潰瘍の原因発見のために細菌をビーカー一杯ん飲んだ科学者の話が出てきます。
第5章 子供のように考える=「分かり切ったこと」にゼロベースで向き合う
 子供はどんなに無茶なアイデアだろうと臆せずに口に出します。良いアイデアと悪いアイデアを区別できさえすれば、船一杯のアイデアを思いつくのは突飛なものが混ざっていても良いことずくめです。最終的に20個のアイデアのうち、追及する価値があるのは1個だけ、でもその1個は子供みたいに頭に浮かんだことをそのまま口に出さなければ生まれてこなかったアイデアかもしれません。問題を解決しようと思ったら子供心を解き放つことは大きな成果につながることがあるのです。
第6章 赤ちゃんにお菓子を与えるように=地球はインセンティブで回っている
 ただインセンティブを設けさえすれば、どんな問題も解決できます。ある特定の状況に関わる全当事者のインセンティブを理解することが問題解決の基本なのです。しかし、インセンティブはいつも分かりやすいわけではありません。インセンティブの種類(金銭的・快適・道徳的・法的など)が違えば、インセンティブの働く方向や強さも変わるのです。ある状況で効果があるのに、違う状況では逆効果を生むこともありうるのです。今回の新型コロナの自粛も、「金銭的インセンティブ」(給付金・休業協力金)、「道徳的インセンティブ」(社会的ルールを守る)、「社会的インセンティブ」(社会のためになる)、「群集心理インセンティブ」(多くの他の人がやっている)で説明できるのです。
第7章 ソロモン王とデイビッド・リー・ロスの共通点=庭に雑草を引っこ抜かせる方法
 ・ソロモン王の元に2人の女性が争いの裁きを求めやってきました。2人は数日違いで男の子を生みました。1人目の女は「2人目の女は自分の子を死なせてしまい真夜中にわたしのそばに寝ていた息子を盗み、代わりに死んだ赤ちゃんを置いていった」と言います。2人目の女は「生きているのが自分の息子だ」と言います。どちらかが嘘をついているのは明らかです。ソロモン王は、「生きている子を真っ2つに切って、半分を1人に、ほかの半分をもう1人に与えよう」と言いました。1人目の女は「どうか赤ん坊を殺さないでください。赤ちゃんをその女にあげてください」と懇願しましたが、2人目の女は「そうすれば、その子は私のものでもあなたのものでもなくなるでしょう。どうぞ切って下さい」と言ったのです。ソロモン王は1人目の女の赤ん坊と判断しました。ソロモン王は罠を仕掛けて罪を犯したものと罪なき者がわかるように仕向けたのです。
 ・ヴァン・ヘイレンは1980年代の最強のロックバンドの1つでデイヴィッドはそのメンバーです。彼らのバンドのツアーに関する契約書は53ページもの付帯条件があって、技術や安全面の細かい指示のほか、食べ物や飲み物に関する要求事項までが事細かに指示されていました。このヴァン・ヘイレン付帯条項の40ページの「スナック」に関するところに、ポテトチップやナッツのほか「m&m‘s(警告:茶色のものがあってはいけない)」とありました。デイヴィッドによれば、悪ふざけや我儘によるのではありません。付帯条項は各会場で十分な物理的空間と荷重に対する剛性、必要な電圧を確保するために指示を与えているのです。ステージが機材の重さに耐えかねて崩壊したり、照明がショートしたりして不慮の事故での生命に危険が及ばないようにするためです。デイヴィッドは会場に着くと「m&m‘s」の入ったボウルを調べました。茶色が混じっていたら、相手が契約書の条項を真面目に読んでいないことがわかるからです。
 ・ソロモン王もデイヴィッドも、ゲーム理論を有意義に実践していた。
第8章 聞く耳を持たない人を説得するのは=その話し方では100年かけても人は動かない
 ・人を説得することがどんなに難しいことなのか、なぜそうなのかを理解することが重要です。相手の考えは事実や論理よりもイデオロギーや群集心理に根差している場合が多いからです。面と向かって言っても相手に否定されるだけです。さりげない後押しや新しい初期設定によって相手を肘でそっと突くように誘導した方がいいのです。例えばトイレを綺麗に使ってもらいたいなら、「綺麗に使いましょう」と書くより小便器の真ん中に的を書いて、あとは的に命中させようとする男性に本能に任せればいいのです。
 ・相手の意見を変えさせるには、①主役は自分ではなく相手(お客様がすべて) ➁自分の主張が完璧だというふりはしない ③相手の主張の良い点を求める ④罵詈雑言は胸にしまっておく ⑤物語を語る のです。
第9章 やめる=人生を「コイン投げ」で決める正確なやり方
 ・あなたは「やめるべきこと」を続けています。辞めるのをためらわせる力は3つあります。①やめるのは失敗を意味する。②サンクコスト(埋没費用)=今更やめるのはもったいないという心理 ③目に見えるコストに囚われ「機会費用」(逸失利益)のことまで頭が回らない という3つです。失敗は別段悪いことではありません。つかの間の挫折でしかありませんし、場合によっては「勝利」になるのです。
 ・「コイン投げで人生を決める実験」の結果、みじめになるようなデータも得られませんでした。コイン投げという全くランダムな結果の出る方法を元に生活を変えることに抵抗があるかもしれません。それに決断の責任を放棄するのにもっと抵抗があるかもしれません。しかし、ちょっとした決断でいいなら、コイン投げに任せてみれば「やめるのはタブーだ」という思い込みを捨て去れるとが出来るはずです。
この本の中で、最も大事なのは、子供の感性を持ち続けることではないかと思います。どのような問題でも好奇心をもって子供のように色々なアイデアを出して、その中から答えを導き出すのです。イノベーションの芽を探しアイデアを出すためには子供のような発想が必要かもしれません。また、➀一般通念を捨て去る。②自分を引き留めている人為的なバリアを捨て去る。③自分が知らないということを恐れる気持ちを捨て去る。④真ん中を狙う方が成功率が高いと知りながら、ついゴールの隅を狙ってしまう癖を捨て去る。このように「捨て去る」「やめる」ことができるならば新しい発想が生まれてくるはずです。
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