#222 猛暑の夏、猫の熱中症対策は?

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猛暑の夏、猫の熱中症対策は? エアコンつけっ放しでいい? 
獣医師に聞く


猛暑の日は、人間だけでなく、ペットの熱中症も懸念されます。獣医師に注意点を聞きました。

猫の熱中症対策は?






 各地で記録的に早い梅雨明けとなり、この夏は猛暑の日が多いと予想されています。暑い日は、人間だけでなく、ペットの熱中症も懸念されます。

特に、1人暮らしの人が猫を室内飼いしている場合、昼間は飼い主不在になることが多いため、心配な人も多いと思います。

昼間、エアコンをつけっ放しにすべきなのでしょうか。つけておくとしたら、その際はどういう点に注意したらよいのでしょうか。獣医師の増田国充さんに聞きました。




エアコンつけたまま、出入り可能に
Q.猫の熱中症の原因と症状について教えてください。

増田さん「人間や猫の体は、外気温にかかわらず体温を一定に保つ必要があります。

そのために暑い場合は汗をかいたり、呼吸数を増やしたり、血管を拡張させるなどして、熱を逃がします。

これが暑熱(夏の暑さ)などにより十分に機能しなくなるほどの状態になると、高体温を引き起こします。

全身の臓器に影響が及び、適切な対応が遅れると、命を落とす可能性があります。これが熱中症です。





初期には、耳や四肢など体の末端が普段よりも熱く感じられ、呼吸数や飲水量の増加として、症状が現れます。

猫であっても、犬のように口を開けて呼吸するようになります。体温が39度以上になると、開口呼吸がみられるようになります。





さらに症状が進むと、食欲の低下や嘔吐(おうと)、下痢を誘発します。体温が40度以上という深刻な状態になると、けいれんや意識の低下、脱力、血尿などを生じ、体内のたんぱく質が変性して生命維持が困難になる事態に至ります」







Q.どういった状況の際、熱中症になる可能性が高いか教えてください。

増田さん「猫に限らず、熱中症になる要因には、その場の環境が大きく影響します。

体感温度が高くなると、熱中症になるリスクが上昇します。

温度以外では湿度(蒸し暑さ)による影響も無視できません。

日本の住宅は気密性が高いことから、室温がそこまで高くなくても、湿度の上昇を招くことがあります。また、同じ室温であっても、風通しの有無によって暑さの感じ方が大きく変化します。




これらを踏まえると、冷房がない状態、窓や扉が閉められている、日差しを遮るものがない、水分を取りづらい、といった条件がそろった場合、熱中症の危険性が上昇します。

また、猫を連れて移動するような場合、キャリーの中も高温で風通しが悪い環境となりやすくなるため、注意が必要です」





Q.1人暮らしで猫を室内飼いしている人が、猫に「留守番」させて昼間外出する場合、エアコンはつけたままにするのが望ましいのでしょうか。


増田さん「猛暑が予想される日など、暑さが厳しくなりそうな日は、室温を一定に保てるよう、エアコンを自動運転にするなどして、つけたままにしておくのが望ましいです。

近年、日本の夏は酷暑ともいえる状況となり、冷房なしでの生活は、時として生命に危険を及ぼす可能性を持ち合わせています。

猫は、犬に比べると暑さに強い傾向にあるとはいえ、限界があります。

一般に、猫にとって快適といえる温度は、年間平均で21~28度とされています。

つまり、省エネのために環境省が推奨しているエアコンの設定温度である28度付近であれば、猫にとっても大きな不快を与えることは考えにくいと言えます。



一般に、エアコンが稼働しているときは同時に除湿も行われていることが多いのですが、湿度が高い場合は、猫も人間同様に暑さとして認識しますので、50~60%程度の湿度に設定しましょう。

個々の猫によって、暑がりの場合や寒がりの場合もあります。

冷房の効率は多少下がりますが、エアコンをつけている部屋から出入りができるような隙間や、キャットドアがあると安心です」



Q.エアコン以外に、猫の熱中症対策として気を付けるべき点を教えてください。

増田さん「エアコンは室温を下げることができ、熱中症対策として非常に有用ですが、室内の環境にも工夫を施すことで、対策を一層確実にしておくことができます。


体感的な暑さを左右するものには、温度以外に湿度や空気の流れ、熱の照り返しなどがあります。

私たち人間が真夏に冷房の効率を上げるために、日よけや扇風機の併用などが推奨されていますが、これらは猫の高体温リスクの軽減にもつながります。



また、必要なときに水が飲めること、これも重要です。特に体が未発達な幼齢期、あるいは体力の低下がみられる老齢期では、自発的に暑さを避けることが身体的な事情で困難となることがあります。

そのため、エアコンの適切な温度管理のほか、飲み水の用意や体感温度にも気を配っていただくとよいでしょう。


また、基礎疾患を持った猫の場合は、適切な飼育環境についてかかりつけの獣医師と相談して調整をしてください」



Q.猫が熱中症になったと思われる場合、どのような対処をすべきでしょうか。

増田さん「熱中症による高体温によって急激に、内臓にダメージが及んでいきます。猫の体調に、冒頭で紹介したような変化がみられた場合は、迅速に対応すべき状況であると認識してください。

体温が高いほど危険性が増します。


体温が39度以上となっている場合は、これを下げる必要があります。

具体的には、頸部(けいぶ)や脇など、血液が多く流れる部分を、保冷剤をくるんだタオル等で冷やすとよいでしょう。

また、ぬれたタオルやアルコールスプレーなどで体表面の温度を下げ、また、その効率を上げるために、扇風機をはじめとした風の流れをつくることも有用です。

なお、アルコールスプレーは、目や口などの粘膜に触れないよう注意してください。



体温が40度近くある場合や、ぐったりしている、意識がもうろうとしている場合は、これらの初期対応を行った上で、動物病院へ連れて行ってください。

時間経過とともにリスクが上がりますので、自己判断で様子を見ることは避けた方がよいでしょう」



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