モテる女A子

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 A子は営業部配属された社会人3年生、遊ぶことが大好きだ。
一年前に友人の紹介で彼氏Jができた。
彼氏Jから付き合ってくださいと言われてからのお付き合いで、自分からは「はい」とも「好き」とも答えてはいなかった。
Jは性格も良く、仕事もできて、背も高く、普通にイケメンだった。
A子は営業で仕事の付き合いは断らなかった。
一年先輩のTが毎日、部内の飲み会に誘う。
JはA子の誕生日を祝おうと、横浜の海が見えるレストランを予約して誘いをかけた。
「ごめんなさい、その日は仕事なの」
Jは「わかった。仕事忙しいんだね。またつぎね」
Jは用意をしていたプロポーズの為のダイヤの指輪をポケットにしまい、仕事に戻った。
一日の仕事を終えて、車を走らせた。
家までは、夕日が沈む海岸線をひた走る。
横には並行して電車が走っている。電車の車窓には先週あったときの赤いワンピースを着ていたA子が見えた、車窓は一瞬のシーンを映し出す鏡だ。目の前の男性と寄り添うような姿が見えた。
Jはまさかと思った。
それでも、毎週末Jの家にA子は訪ねてきた。
そして日曜の朝には家に帰った。
Jは電車で見たA子の姿が目に焼き付いていた。
それでもA子であると確証はない。
聞くことも無かった。
3か月後のクリスマス、Jは今度こそプロポーズしようと赤坂のホテルとレストランを予約した。
「わあ、嬉しい。楽しみにしている」
それから、毎週末会うたびにクリスマス楽しみという言葉を耳にした。
12/24 Jは仕事を早めに切り上げ、スーツに着替え赤坂のホテルに向かった。フロントでチェックインを済ませて、ロビーで待っていた。
ホテルの前にリムジンが止まり、A子が降りてきた。続けて一人の男も降りてきた。
2人がJの前に訪れると、男はA子さんは今日から私のものです。
というと封筒を差し出した。
中身は100万円の振り出し小切手だった。
Jはポケットからプロポーズの為に用意していた指輪を取り出すと小指に嵌めてA子を
思い切り殴った。
振り出し小切手はライターで燃やしてしまった。
お正月Jは仕事の同僚に誘われて、鶴ケ丘八幡宮に初詣でに出かけた。
八幡宮は大混雑、入場制限もあり行列ができていた。
賽銭はこの前に10人くらい並んだ一番端を覗くと、晴れ着姿のA子が立っていた。
横にはTもいた。A子の左頬はまだ腫れて青墨になっていた。

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