ホームランボールへの対応に思うこと

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コラム

5月2日、東京ドームで行われたヤクルト対ジャイアンツ戦。

この試合中に放たれたホームランボールが観客席に入り、最終的にとある男性がそれを手にすることになりました。

しかし、このときの一連の振る舞いがネットで物議を醸すことに。

映像で見る限り、客席に落ちたボールに最初に手を触れたのは男性です。

しかしキャッチできずに取りこぼしてしまい、転がったボールは左隣にいる少年と、その父親の方へ。

男性と少年がボールを求め、最後は男性が、その腕力で少年を振り切るような形で手にすることになりました。

このことについてネット・SNSではいろんな意見が飛び交っています。

なかには男性に誹謗中傷を行ったり、氏の家族も含めた個人情報をバラまいている者も。

これに対し男性の担当弁護士は、

・あくまでホームランボールは男性がキャッチしたもの

・男性が少年からボールを奪い取った事実はないこと

・男性やその家族の個人情報の拡散、誹謗中傷はただちに止めること。度が過ぎているものに対しては法的措置を検討している

という声明を発表しています。

ただ私はこの弁護士さんの対応に、ちょっと引っかかるところがありまして。

私自身は法律に関してズブの素人なんですけどね……!



一番の問題は"大人の力"で解決してしまったこと

法的には、ホームランボールは開催する球団の所有物です。

そしてそれをどのように扱うかについては、各球団ごとの規約によって異なります。

しかし観客席に入ったものを誰が持ち帰るかについては、客同士の解決に委ねられているのが現状です。

だから最初に誰かが触れたけれど、その手からこぼれ落ち、飛んだり転がったりした結果、別の人が持ち帰った例は山ほどあります。

または自分がしっかりキャッチしたけれど、そばにいた人に譲っただとか、逆に誰かから譲ってもらったということも珍しくありません。

だから最後に誰が手にするかは、法律や規約ではなく、客同士の良心ということ。

今回の件でも映像で見る限り、ボールに最初に手が触れたのは男性でしたが、直後に取りそこねて転がってしまっています。

つまりこの時点ではまだ誰のものでもありません。

そのあとで男性と少年がほぼ同じタイミングでボールを掴んだように見えます。

もしかしたら男性がボールを手の中にしっかり収めており、少年はその上に手を乗せていただけの可能性もあります。

しかし映像で判別できない以上、客観的には「ほぼ同時に二人が手にした」と見られてしまいます。

実際のところがどうかはわかりませんが、あくまで外から見る限りは、この時点ではまだボールは二人のもの。

しかし最後は男性が、少年の手を腕力で振り切ってしまった。

つまり実際のところがどうだったかは置いておいて、客観的には、「膠着状態を大人の腕力で解決した」と認識されてしまっています。

そう考えるとこの問題が炎上している最大の原因は、ボールをどちらが先に取ったかという話ではなく、少年に対して力で解決する振る舞いをしてしまったという、感情的なものだということがわかります。

だから弁護士さんの「ボールはあくまで男性がキャッチしたものなので、男性は悪くない(要約)」という主張は、世間一般の認識と噛み合っていないと思うのです。

少し前に回転寿司店の備品や品物にイタズラして大炎上する事例が話題になりましたが、あのときの原因も感情からきています。

健康被害がどうこう、という理屈の話ではなく、「こんな身勝手なことをするヤツは許せない!」という、ルールや道徳を無視する行為に対しての怒りの感情です。

今回のことも同様に、「子供に対してこんなことをするのは許せない」と怒っている相手に、「ルール上は問題ないから」と説明しても、怒りの火は収まりません。

つまり「正しいか、正しくないか」という理屈の話ではなく、「許せるか、許せないか」という気持ちの問題ということ。



すべての要望を通すのは難しい

弁護士はあくまで、

1.男性の行為に批判される点はないこと

2.男性やその家族に対する誹謗中傷・個人情報の拡散をやめること

の2点を主張しています。

つまり男性にとって、最良の形での解決を目指しています。

しかし上でお話ししたように、感情的になっているネットの人たちに理屈で正当性を主張しても、納得してもらうことは難しい。

そうであるならば、ボールの所有権の主張はいったん取り下げ、「少年に対しての振る舞いに、男性はしっかり反省している」ということを周囲にアピールする。

そのうえで「彼も反省しているから、これ以上の誹謗中傷や個人情報の拡散はやめてください」という主張に切り替える。

それでも拡散を止めない相手に対しては、一人ひとり法的措置で対処していく。

現実的に難しい"二兎を得る"完全勝利ではなく、より優先すべき方を定め、一つは捨ててでも、残りの一つは確実に取れるように動いていく。

こっちのほうがより現実的じゃないかなと思うんだけど、どうじゃろ……!



実際のところ私の考えも、結局は素人の浅知恵なのかもしれません。

しかし「自分だったらどうするか」ということを考え、アウトプットすることは悪くないかなって。

それが正解のない問題に、自分なりの答えを出す訓練になりますしね。

そんな感じでした!

おしまい!


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