土地建物の査定など

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所有者は、自分の土地建物の評価額を早く知りたい、と思うはずです。
そのため、特に素人さんの場合、「まず現地に、現地で会う」のような
要望を強く求める場合があります。

法令上の制限が少なかった昭和初期であれば、これでも大丈夫でした。
しかし、今は令和です。
まず現地、ではありません。
色々と先に調べないといけない、調べたほうが良いことがあります。

特殊な能力を持っていて、現地を見ただけで全ての制限まで瞬時に把握
できる人であれば、現地に行くべきと思います。
少なくとも私は、そこまでの能力は有していません。
ある程度までは、現地で把握することができます。
勘も働かせます。
怪しい、と思うことを調べることになります。

ですが、これは手順が逆です。
無駄です。
また、現地に行かないといけなくなることが常です。

令和なので、令和の不動産調査があります。
CMのように10秒で査定、ができる案件は殆どありません。
10秒査定ができるとするれば、どんなアホでも売却できる物件で、
取引事例が多数あり、すでに調査済みの場合と思います。

地方の場合、事例が激減します。
しかも、近接地であっても条件が異なることがあります。
まず、道路です。
旗竿になっている場合、私有地なのか、公道部分なのか調べないと
いけません。地域によっては道路台帳を公開してくれています。
先に市道認定があるかどうか、有効幅員は何mなのか、を調べることが
できます。

今回の事例も、所有者は「やたら現地に」と言われました。
ですが、先に「軽く」調査をしました。
これが正解でした。
家のことばかり話す人は、土地のことを全く考えないことがあります。
家がどうか、しか視点がないためです。

市道認定がありませんでした。
なぜか、と考えました。
しかも軽自動車は通れるが、他は通れない道、と所有者は簡単に言っていました。すると、幅員が怪しい、となってきます。

市道認定がない、これは私道の可能性が高い、となってきます。
また、私道であれば、再建築可能かどうか重要になる、位置指定があるかどうか、が大切になってきます。

まだ、査定段階です。
本格的には調査はしませんし、できません。
費用と労力がムダになる可能性があるからです。
この点を依頼者に伝えました。
すると、私道であることを言われました。
1軒であっても接道義務を満たすかどうか怪しい土地でした。
それなのに、この私道の先に4件ほど家があります。

どうやって新築したのか、疑問でした。
ですが、現存する住宅は60年以上は軽く経過しています。
そうすると、都市計画区域で用途地域が指定される「前」に建築
されていた可能性もあります。
既存不適格として、現状は適法になる可能性があります。
しかし、本腰を入れて調査をするかどうか、これは依頼内容で検討します。

大きな勘違いをする依頼者もいます。
依頼して「やってる」という考えの人です。

先ほどの10秒査定ができる物件であれば可能でしょう。
しかし、すでにややこしい条件が色々と出てくる物件の場合、業者から
「断られる」ことを知るべき、と思います。
何でも受託するわけではありません。
責任だけ負わされる危険性の高い物件を、進んで受託する業者は限られます。

今回の物件は、道路だけが問題ではありません。
高低差があるので、擁壁部分もあります。
現在の擁壁基準を満たしているかどうか、も重要になります。
地盤の調査も必要です。
私道部分の埋設管も重要になります。

これらがクリアできて、初めて家に取り掛かれます。
そのため、まず「家」を見る、ということはしません。
家にたどり着けない物件も多々あるからです。

自分の物件を客観的に分析することは、いつか処分しないといけない
時に役に立つと思います。
学校では習いませんが、実社会では有用になります。
全てを学ぶ必要はありませんが、少なくとも自分に関係していると
思われる部分については、知識を得るべきと思います。
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