不安増大社会

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厚生労働省の調査によると、「生きていると良いことがある」と考える人の割合が減っています。2008年と2016年を比較すると全年代で低下しています。若者ほどその低下は顕著です。特に20代は、以前60%以上あったYES回答が、40%を切るまでに大きく下がっている。若者の生活満足度は年々上昇しているのに、将来への不安は増す一方だと言われています。この原因について研究する大学教授の記事が新聞に載っていたので取り上げます。

生まれた環境や親で人生が決まるという「親ガチャ」という言葉をよく聞きます。容姿、地域、教育、お金・・・は親次第、という考え方。親ガチャに外れれば仕方がない、という諦めとして広がっているようです。「自分の能力と努力で人生を切り開く」というエネルギーは感じられませんね。「高度成長時代からバブル崩壊までは、みんなで上を向いて山を登る生き方をしてきた。今は山を登りきった平原を歩いていて、どこを見て進めばいいのか分からない」と教授は言っています。

現代は多様性の時代。人生の選択が広がり自由な反面、何を選んだらよいのかはっきりしない。他者の評価も安定しないので、中ぶらりんの人が多い。以前新卒採用を担当していたころ、学生たちは「大人にしかられる経験がほとんどない」と言っていました。フィードバックが新鮮な様子だった。過敏に意識する人も多かった。多様性の中で、自己評価軸がぐらついている印象でした。新聞記事には、「仲間から浮くことをとても恐れ、友人に過剰に気を使う」若者の様子も書かれています。

今後、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行すると、能力、経験、専門性がますます多様化します。全員が横一線でともに前進する時代は終わりつつある。若者はどうしたらよいのか? 自分と似た価値観の仲間と固まると不安は解消されますが、社会に出てからも固まり続けるのは無理でしょう。自分の中に多様性を持つことも大事だと思います。多重人格ではありません。器を大きくして、多様な交流を持つ。緩くてかまわない。これ若者だけではありませんね。私たち「おじさん」も含めて、これらかの社会課題だと感じました。

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