事実を正しくとらえる

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今回は「FACTFULNESS」(ファクトフルネス)を取り上げます。ビジネス本だと思っていましたが、作者代表のハンス・ロスリング氏は医師で、内容は社会的啓発本という印象です。著者の問題意識が高く、「事実と思い込み」に対して真っ直ぐに向き合っている。ロスリング氏は以下の5つをグローバルリスクとしてあげています。①感染症、②金融危機、③世界大戦、④地球温暖化、⑤極度の貧困。驚いたのは、感染症を最初にあげていること。この本の原書が出版されたのは2018年です(日本語訳は19年)。代表作者のロスリング氏は、本が完成する前の2017年に亡くなっています。余命宣告される中で書き続け、世の中に感染症の警鐘を鳴らした。現在の世界的な感染症被害を見ると、そのリスク感度の鋭さに脱帽します。

では、私たちが陥りやすい10の思い込みを紹介します。①分断(両極端)、②ネガティブ、③直線、④恐怖、⑤過大視、⑥パターン化、⑦宿命、⑧単純化、⑨犯人捜し、⑩焦り。一つ一つは説明しないので、ご興味のある方はぜひ本を読んでみてください。そして、この思い込みは、それぞれが複雑に絡み合っている。特にネガティブ、恐怖、過大視、焦り、あたりは因果関係がありそうです。

感染症を例にとってみましょう。典型的なのが東京都の日ごとの感染者数。当初は、実数だけが独り歩きして、見えない部分が非常に多かった。検査人数、陽性率、重傷者数、曜日別増減などを見るようになったのは、統計発表を開始してかなりたってからです。具合が悪い人は週末に自宅療養し、週明けに検査を受ける。だから週の前半が少なく、後半が多い。正しい知識・情報を持って、事実を正確に捉える必要があります。それがファクトフルネス。

世の中の情報は、悪いニュースほどドラマチックに報道されやすい。マスコミが悪いわけではないですが、小さな例外が過大視され、恐怖や焦りを煽ります。「世の中全てが悪い方向に向かっているわけではない。むしろ良くなっている」という作者の事実ベースのスタンスはとても共感できます。「凄まじい経済格差だ」、「老後生活は破綻する」、「自然災害が激増している」などなど、一旦冷静になって事実ベースの解釈、判断が必要だと思います。仕事も同様です。仮説ベースでざっくり速く前進するのは超重要だし、「全て事実がないと動かない」のはダメ。その上で事実ベースの検証が大切だ、そうあらためて感じました。

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