地域包括ケアから地域共生社会への変遷 その②【共生社会ってなに?】

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皆さん、こんにちは!

今回は、前回の続きです。

前回は、地域包括ケアの成り立ちから地域共生社会の概念が出てくるところまでを追ってみました。

今回は、地域共生社会の話が出てきてからの経緯についてまとめていきたいと思います。

前回の記事はこちら!

地域包括ケアから地域共生社会への変遷 その① (swhiro.blog)

他にもいろんな記事を書いているのでよかったら見てください

【仮説】ファシリテーション③【可視化】 (swhiro.blog)

よくわかる地域アセスメント【流れで解説】 (swhiro.blog)

【場合によって】ソーシャルワークの実践モデル【使い分け】 (swhiro.blog)

地域共生社会は地域包括ケアの上位概念です

地域共生社会の実現が最初に示さたは、「ニッポン一億総活躍プラン」(2016、内閣)(以下、総活躍プラン)の中です。

「ニッポン一億総活躍プラン」とは、日本の経済成長の根本にある少子高齢化の問題に真正面から取り組むもので、日本経済の更なる好循環を形成するため、これまでの三本の矢の経済政策をいっそう強化するとともに、広い意味で経済政策として、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが経済を強くする、そのような新たな経済社会システム作りに挑戦するもの

出典「一億総活躍プラン」(内閣府)

アベノミクス「三本の矢」は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、投資を喚起する成長戦略の3つ
総活躍プランでは、「働き方改革」「希望出生率1.8の実現」「介護離職ゼロの実現」「名目GDP600兆円の実現」などが盛り込まれています。


この総活躍プランの中でも「介護離職ゼロの実現」に向けた取り組みの中で、さらに「介護環境の整備」「健康寿命の延伸と介護負担の軽減」「障害者、難病患者、がん患者等の活躍支援」に続き、4つ目に「地域共生社会の実現」が挙げられています。


「地域共生社会の実現」のベースが作られた流れ
「地域づくりとしての医療・介護・福祉・子育て」(社会保障制度改革国民会議報告書.2013)

この報告書では、高度経済成長期に確立した「1970年モデル」の社会保障を超高齢化の進行、家族・地域の変容、非正規雇用労働者の増加などに対応した、全世代型の「21世紀(2025年)日本モデル」の制度へ改革することが喫緊の課題として指摘し、「地域づくりとしての医療・介護・福祉・子育て」を掲げています。

つまり「医療・介護・福祉・子育て」といった分野を「地域づくり」に連なるものとして位置付けたtということになりますね。

社会を保障を形作る「医療・介護・福祉・子育て」という福祉的要素は、これまでの介護等の社会化によって、社会システムとしての側面が強く考えられてきましたが、地域というフィールドの中で考えられるべきものだという考えに根差していると言えます!

簡単に言うと、介護が必要の人や障害があって支援が必要人の生活はもちろん社会が保障するのですが、施設等の一律の生活を押し付けるのではなく、その人が「住みたい地域、生活様式」を大切にしましょうよ!ということですね。

これには社会保障(制度施策)と地域の中で包摂されること(ソーシャルサポート)が必要です!

医療,介護,介護予防,住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制(医療介護総合促進法.2014)

上記した「社会保障制度改革国民会議報告書」の内容が、医療介護総合促進法のなかで地域の医療と介護の連携を強化、地域包括ケアシステムの法的定義がされます。

第2条

地域包括ケアシステムとは「地域の実情に応じて,高齢者が,可能な限り,住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう,医療,介護,介護予防,住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制」

「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」より抜粋

「地域包括ケアシステムの対象の拡大」(誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現-新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン.2015)

「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現-新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」は「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム会議」の報告書です。

このなかの「2.様々なニーズに対応する新しい地域包括支援体制の構築」では、

地域包括ケアシステムの対象拡大と福祉領域そのもの拡大として「全世代型・全対象型地域包括支援」「高齢者の対応する地域包括ケアシステムや生活困窮者に対する言立支援制度といった包括的な支援システムを、制度ごとではなく地域というフィールド状に、これ医者や生活困窮者以外に広げる」「新しい連携の形は、福祉分野に止まるのではなく福祉以外の分野に拡大していかなければならない」

と述べられています。

これは、つまり高齢者分野で進められてきた地域包括ケアの対象を拡大するということですが、その意図としては、先ほど「地域の中での社会保障」が制度施策とソーシャルサポートの連動に支えられていくという考えの上で、施策制度自体も縦割りではなく地域というフィールドで横軸の連携を行うあるいは一体的に提供される必要があるということです。

簡単に言うと、すべての支援を必要とする人の「住みたい地域、生活様式」を大切にするためには、いろんなサポートが一体的に行われる必要がありますよ!ということですね。もちろん、このサポートの中には地域での包摂(排除しない)を基盤としたフォーマルインフォーマルな社会資源(有形、無形など問わず)が含まれると考えられます!

地域共生社会の成立要件について

このような流れの中で「地域共生社会」という概念が語られているということでした。ここから、地域共生社会っていうのはどんな社会を指すのか?ということを考えてみました。

地域共生社会では、どんな人でも「住みたい地域、生活様式」が実現できる(自己実現)ができることを目指す
地域共生社会の、その対象は全世代であり、すべての人であると言えます。そのため、ここで書いている「どんな人でも」というのは、その地域に住むあらゆる人、いろんな人種、年齢、世代、ハンディのあるなし、支援が必要かどうかなど、関わらないということを指します。


そして「住みたい地域」というは、施設でも、自宅でも、その人が望む場所という意味になります。誰にも強制されない(措置されない)ということが強調されます


最後に、「生活様式」についても、犯罪を犯したりしてはダメですが、誰かに迷惑をかけたり、自らをないがしろにしない等、地域の中での協調性を大切にできる限りにおいては、一人暮らしでも、家族生活するなどももちろん、働きたい、楽しみたいなど、誰にも強制されないということがいえると思います。


こういった社会であることが「当たり前」になった時に、地域共生社会が実現されたと言えるのではないでしょうか?
下記のそのために必要なことについて書いていきます
「医療・介護・福祉・子育て」等の社会保障
上でも書きましたが、介護が必要の人や障害があって支援が必要な人の生活はもちろん「医療・介護・福祉・子育て」等の社会保障が機能することは必要です。施設等の一律の生活を押し付けるのではなく、その人が「住みたい地域、生活様式」を大切にできる社会保障である必要があります。


つまり、我が国の社会保障システムはある程度制度として成り立つたっめに画一的な側面は有しながらも、一人一人が望む生活を送る為の努力をサポートできる仕組みを内包する必要があるということだと私は考えます。


このサポート体制こそが、社会福祉法に新たに規定された「包括的支援体制」と言われるものであるのかなーと思っています。
地域の中で包摂されること(ソーシャルサポート)

「住みたい地域、生活様式」を大切にするためには、地域社会の中で包摂される必要があります。包摂とは、排除しないということですが、それだけはなく「役割を持つ」「社会に関わる(社会参加)」ということも含まれると考えます。

ここのところがよく言われる「支え手側と支えられる側の垣根を越えて」という部分ですね。

これには、このような博愛と言っていいのか、ノーマライゼーションと言っていいのかはわかりませんが、「老い、何かハンディある、困窮している、などなどの支援が必要という現状」は、その人の「自己責任ではない」という考えが当たり前になるということです。

例えば、老いや障害などは「自己責任ではない」と意識しやすいですが「離婚して困窮した」のは自己責任だと思いますか?犯罪を犯した人が適正に就労できず困窮するのは、どうでしょうか?

実は私にもわかりません。ケースバイケースと言ってしまうのは簡単ですが、実は根深い社会システムや社会通念が影響を及ぼしているということもめっちゃ思います。

もし、社会通念、社会システムが影響して、構造上「選択肢がなかった」のであれば、それはやはり「自己責任ではない」と判断するべきだと私は思います。

そして、この構造上の問題、特定の状況下での「自己責任」の考え方、サポートが必要な人の社会的役割などについて、考える福祉教育が広く展開さえる必要があると考えます

最後に
いかがだったでしょうか?
今回は、地域共生社会の概念が出来上がってきた経緯から、地域共生社会ってどんな社会なの?ということを考えてみました。
途中、かなり私の私見が入っているので分かりにくいかもしれませんが、今後市町村ごとに体制づくりをしていくことになる「包括的支援体制」とそれを実現するための「重層的支援体制整備事業」を考えてくいうえで、一体どこに向かうのか?ゴールを共通認識する必要があるのではないかと思っています。


また、ゴールを見据えたうえで、これらの体制は市町村ごとに作られるものなので、現状はどうなっているのか?というところを評価して分析してから、重層的体制整備事業を始めないとまた迷走するだけなんじゃないかと懸念しています。
この辺について、「地域マネジメント」の概念を参考に考えたことなので、また次回以降でご紹介したいと思います。


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