難しいアプリ利用者の視点

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難しいアプリ利用者の視点

アプリの開発で、利用者の視点はとても重要です。言うまでもなく開発に際して利用者の視点で考えてアプリの仕様を決めていくのは広く行われています。 しかし、利用者の視点で考えることは、想像以上に難しい物です。この記事では、利用者の視点でみるソフトウエア開発についてまとめてみました。


利用者の要望を見つけるのは難しい!
最初に、アプリと利用者の関係を考えてみます。 利用者は、アプリから見ると、「お客様(=顧客)」です。お客様のニーズに合ったアプリの設計はとても大切だということは説明するまでもなく、誰もが考える大きな要素です。 お客様のニーズを掴むために、アンケートなどを実施して利用者に直接聞いたりして、必要な要望を見極めて開発に取り入れて行くというのは良く利用される手法です。

ところが、そのように作っても実際にアプリを完成させて、利用者に提供しても思ったような反響を得られない場合がたくさんあります。

理由は簡単で、殆どの利用者は「本当に何を求めているのかわからない」からです。

もちろん、ハッキリと欲しいものを表現できる利用者もいらっしゃいますが、全体から見ると少数派といえます。

そこで、調査を行う場合には、予め候補となるような「サンプル」を示して、「どうですか?」と聞く場合が殆どです。 それを聞いて良さそうならば「Yes」、あまり魅力を感じなければ「No」という答えになります。 この方法の方が確実に回答をもらえるので、こうしたスタイルでの調査が多くなります。

例えば、ランニングシューズを考えてみてください。

ある程度のレベルの競技者になると、特定の要望が有る程度決まっていて、靴の重さや、ソールの硬さ、衝撃の吸収性などいろいろな要求を持っている場合も多くなります。 ところが、市民ランナーで特に走り始めたばかりの場合は、どんな靴を買えば良いのか分からない場合が殆どです。

そうすると、お店に行って、店員にお勧めを聞いて買う事になります。 店員は在庫の中から、そのお客さんに合いそうな商品を勧めますが、その商品が本当にそのお客さんが求めているものかどうかには疑問が残ります。

どうやって潜在的な要望を見つけるか?
では、どうやったら利用者の本当の要望を見つけるかという事になります。

一つの方法は、その「物(商品)」を使い込んでいる人に徹底的に意見を聞く事です。 選択形の調査では、その選択肢を作る段階で、有る程度方向性が絞れていないと良い結果は得られません。 方向性が決まっていない段階では、選択型の調査は難しいので、その分野の「専門家」を中心に聞くと細かい指摘や要望を得る事ができます。

そこで集めた情報を整理して、方向性を決めた上で選択肢を用意して広く調査するというのは一つの方法です。

ハイエンドの商品やアプリはその方法で有る程度良い物を作ることは可能です。 実際に、ランニングシューズのような物ならば、一流の選手と一緒にデータを集めたり、詳しい要望を聞きながら新しいモデルを開発するのは普通のことです。

ところが、一流の選手と、一般の人では求めるものは違うという大きな問題があります。 一流の選手は、十分なトレーニングを行っていて、体力も体の強さも一般的な人とは違います。そして、競技の目的も違います。1 分 1 秒を争うのが一流のランナーが目指すものであり、勝敗も大きな要素になるので、「究極の靴」が求められます。 一方で、一般の人が求めるものは、速く走るという目的もあると思いますが、怪我をしないように足を守る機能が必要だったり、色や形など見た目も重視されるものです。

つまり「前提」が違います。

しかし、「どんな靴が欲しいの?」と聞いても殆どの場合は具体的な答えは返ってきません。

利用者の視点を得るコツとは?
では、利用者の視点を得るにはどうしたら良いでしょうか? 一つの方法は、利用者になってみることです。実際にターゲットにする利用者になってみることで、利用者の立場を理解しやすくなります。 アプリなどの場合は、実際にそのアプリを利用するような環境に入って、実際に類似のアプリを使ってみたり、作業を体験することで、利用者の視点で考えることができるようになります。

もう一つの方法は、利用者から隠れた要望を引き出すという方法です。実際の利用者でない場合、実際に使う環境に入っても直ぐに必要な機能などがわかるものではありません。やはり、一番良くわかっているのは、実際に利用している真の利用者です。しかし、シンプルに「何が欲しい?」と聞いても出てくるものではないのはすでに書いた通りです。 真の要望は、いろいろな質問をして、如何に真の利用者から引き出すかという事につきます。つまり、「聞き上手」になる事が必要です。

色々な角度からアプリを見て、使ってみて、というのを相手の話を聞きながら深掘りして行く事が必要です。

そうした、深掘りの方向性やきっかけになる「キーワード」は会話をしているとその中に含まれているものです。 それを上手く見つけて、深掘りしていく本当に欲しいもの、必要な物がわかってきます。

ポイントは「問題点」にあり!
聞き上手になるというのは、言うのは簡単ですが、実際に実践するのは相当ハードルが高くなります。 実は、「真の要望」を見つけるのにかなりの高確率でヒットするポイントがあります。

それが「問題点」です。

よく、ビジネスの商品作りのコツというか鉄則として、「問題を解決する」というのが重要と言われています。 まさにその通りで、問題を解決してくれる物ならば、「欲しい」と思う人はかなりの数に登ります。 従って、何か困っていることを見つけて、それを解決してくれる方法があれば、それが「要望」になります。 特に、アプリの開発では、「自分でやると大変なこと」「自分でやると時間(手間)がかかること」をアプリでやると、簡単にしかも短時間でできるとなると誰でも欲しくなる物です。

困っていること、作業や仕事の課題は、意外にたくさん有る物です。それを詳しく聞き出すことができると、役に立つ人気のアプリの大きなヒントになります。

まとめ
コンピュータで動作する「実用アプリ」の場合、利用者の問題点や課題をポイントに掘り下げると、本当に求められていることが見えてきます。 聞き上手になるというのは、短期間では難しい物ですが、問題点や課題を探すのは、比較的簡単にできます。自分でその作業をやれば、何が大変かもわかりますし、時間がかかる作業もわかります。それを日々やっている人にとっても、それが簡単にできるような仕組みがあれば、「欲しい!」と思う物です。

他のビジネスの商品作りと同じで、「問題を解決する方法」が利用者の一番の興味です。利用者の視点というと何だか良くわかりませんが、実際には一言で言うと、「問題や課題を解決する手段」を見つけることにかなり近いといえます。

まずは、利用者の立場に立って、問題を探すこと、それが利用者の視点に繋がります!
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