猫目石⑧

記事
小説
このまま、大学に行っても詰まらないからウィンドウショッピングでもしようと思って六本木の街なかをブラブラと歩きだした。
色んなお店のウィンドウーを見て楽しく歩いていると、ファストフードの店員さんが何やらお客様に声高に説明している声が聞こえて来た。
お客は若い男性のようで顔を赤らめて非常に戸惑っている。
今朝、家を出て歩いていると、おはよ~と声を掛けて来たあのイケメンじゃん。
イケメンに声を掛けた。
貴方、今朝私に挨拶をしてくれた人でしょう?
イケメンはお金と言う物を持たなかった。
琴美は店員にお金を支払って二人で公園のベンチに座った。
あなた、ホームレスなの?
お金を持たないでハンバーガー買えないわよ。
俺腹が減っていたんだ。
貴方何処から来たの?
その時、琴美の鼻腔に白砂庭に漂っていた同じ匂いを嗅いだ。
朝に彼とすれ違った時の匂いと同じ。
今も同じ匂い。
高貴馥郁たる芳香この匂いは忘れない。
あっ、貴方はムー族の王様の息子マカボダラマニハンドマじゃないの?。
そうですのイメージが入って来た。
それを言葉に翻訳して会話している。
良かったわ、どうやって探そうかと悩んでいたの。
あなたは、僕の時代へ行って来たのか、父親と会ったのか?
黒猫の眼を見た瞬間に3000年も過去にタイムスリップして、葡萄の木の下で大変な目に遭ったのよ。
まあ、それは良いとして。

まさか貴方が王子様だったなんて。
あなた、3000年の向こうは大変な事になっているのよね。
陰陽師が念を封入し終わったら、黒猫ちゃんが猫目石を届けて呉れる事になっているの。
私が手に翳して貴方の瞳に猫目石から出る一条の光を見た瞬間、貴方は3000年の過去へ一瞬にして遷移するの。

僕は、敵の陰陽師から今の時代へと飛ばされた。
強力な結界を張られ、二度と戻る事は出来ないと諦めていたが、まさか戻る事が出来るなんて嬉しいよ。
黒猫ちゃんがあと半月くらいで猫目石を持って来るわ。
其れまで待つしか方法は無いようね。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す