キジ子ちゃん

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コラム
このお母ちゃんの子供になりたい。
お母ちゃんは野良だけど可愛がっている人から餌も十分に貰っているし、猫の事が大好きで優しいから私もきっと幸福になれるかも。
神様と一緒にお母ちゃんを見ていた。
神様が、あのお母ちゃんが良いかと聞いたので、”うん”と言ったら、お母ちゃんの温かい、おなかの中にいたのよ。
気持ちが凄く良くて、お母ちゃんが動く度に、ゆりかごで揺られているみたいでとっても気持ちが良かった。
私より先に、お兄ちゃんが居たの。
私は二番目ってことね
暫くすると弟と妹が入って来たの。
お母ちゃんの、おなかの中で四人で楽しくおしゃべりしていたの。
身体がだんだんと大きくなって、おなかの外に出なければならなくなってきたから、お母ちゃんは私達を産んだの。
おなかの中から外に出た時は、寒かったのを思えているわ。
弟や妹も寒いと言って直ぐにお母ちゃんのおなかの毛の中に潜り込んだので私も一緒にもぐったら凄く温かかった。
それから、おっぱいを沢山飲んで眠ったりしたの。
外の様子は見えなかった。
未だ目が見えなかったし、でも鼻先に当たるお母ちゃんの、おっぱいだけは良く分かったの。
真冬の二月に生まれたから外はめちゃくちゃ寒かったけど、お母ちゃんの、おなかの毛の中に潜り込んだら温かかったわ。
段々と目が見えるようになって来たから分かった。
お兄ちゃんは黒、弟はキジ模様、妹は三毛猫、私もキジ模様だった。
生まれた場所そこは家の縁側の下の一番奥の土のくぼみの所だった。
お母ちゃんは安全な所で私たちを産んだものだわ。
だんだんと兄弟四人は大きくなって、みんなでじゃれて遊ぶようになった。
生まれてからひと月くらい経った頃にお母ちゃんが私達を一人ずつ口に咥えて少し離れた別の家の裏の大きな石の裏に連れて行ったの。
そこは、お母ちゃんを可愛がっている男の人の隣の家だった。
親子五人引っ越して来たのよ。
お母ちゃんの、おっぱいを飲みながらスクスク育って行くうちに下の弟と妹はこの家の、感じが悪い白髪ジーさんが庭を掃除の時に私達の姿を発見して俺の敷地内に猫の野郎が居やがってと口汚く罵りホウキで追いかけまわした。
必死で穴の中に逃げ込んだけど、その後、猫の駆除を保健所に頼んだから役所の人が来て捕まって連れて行かれてしまった。
私と黒のお兄ちゃんは一所懸命で逃げたから捕まらなかった。
黒の兄ちゃんと私の二人になってしまったけど、お母ちゃんに餌を遣っている人が家の中に入れて呉れて私には、キジ子と名前と付けてくれたの。
お兄ちゃんにはクロちゃんと言っていた。
餌を貰ったり家の中でお母ちゃんとお兄ちゃんと私と三人で楽しく遊んでいたけど、家の中だけではつまらなかったので、外に出て遊んでいたら車に轢かれたの。
若い夫婦が乗っている軽の自動車で一日中何度も出入りをする煩い車で、夜遅くの時間帯でもドアを大きな音で閉めて近所迷惑な自己中で横柄な運転手からやられてしまった。
意識が半分くらいしかない私をお母ちゃんに餌を上げている男の人が手のひらに乗せて家の中に運んでくれた。
そして手のひらの上で昇天したのよ。
お母ちゃんと私たちをお世話してくれている男の人は私の為に、ねんごろに弔ってくれた。
真言密教の有り難いお経を延々と誦してくれた。
私の体は沢山の花にうずめられ箱に入れられて丁寧に埋葬された。

そしたら、最初お母ちゃんを選んだ時と同じように神様が横に居て楽しかったかと聞いたから、ちゅーるが美味しかったこと、地面の感覚、兄弟でじゃれ合った事、お母ちゃんのぬくもりが楽しかったと言ったの。
お空から見たら黒のお兄ちゃんが、お世話してくれている男の人の膝の上で気持ちよさそうに寝ているのを見て私も嬉しくなったの。
その横に、お母ちゃんが丸くなって寝ていたの。
私はそのご、お世話している男の人が天界に竜宮城を作っていたので、其処に行くと神様に言ったら直ぐに運んでくれた。
竜宮城には、ずっと前に生まれて戻って来た沢山の猫達が猫観音様の膝元で元気に遊んでいた。
美しい猫観音様は見渡す限りの気持ちが良い大平原の中に居て金色の冠を被り七色の宝石をちりばめ天の羽衣を着て、それが風に棚引く度に光の小さな粒子が花びらのように舞い上がる。
えも言えぬ馥郁たる香気高き香が充満して辺り一面に漂っている。
猫観音様は赦しと優しさが最も高い観音様と言われる慈母観音様だ。
猫ちゃんたちは猫観音様の肩や膝や周りで楽しそうに遊んで真実の幸福の中に居る。
その中に弟たちと妹が居たので再会を喜び合ったの。
もっと長く現象界に居ていろいろと体験を積みたかったのに弟たちは、感じが悪い白髪ジーさんが保健所に駆除を頼んで私達の命を奪った。
車の運転手は猫を轢死させても平然としていた。
あの保健所に通報した感じが悪い白髪ジーさんに猫の怨念をプレゼントしようと兄弟で決めた様だった。
その後、軽の車の運転手は事故を起こして多額の賠償金が払えなくて交通刑務所に入ったそうだ。
感じが悪い白髪ジーさんは極端に運気が下がって痴呆症になり施設に入ったそうだ。
施設の方針としてアニマルセラピーの療法が取り入れられて庭には犬や猫やウサギなど、動物が放し飼いにされ入所者は自由に動物と触れ合って副交感神経を優位にして健康を亢進させている。
しかし、この感じが悪い白髪ジーさんには不思議に動物が絶対に近づかないらしい。
無理に近づくと動物は脱兎の如く逃げるのだ。
動物は、その人間の本質を見通しているのだろう。
それともキジ子ちゃんから事のいきさつを聞いたのだろうか。




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