4/10回・NEW NORMAL時代への住まいの要件

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1・住まいの基本条件/建築基準法第一条「目的」
 国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
 まずは、建築業界に携わる方々は、この目的を理解しておかなければ、建築を語る資格はないと思います。
・命を守る・・・‥ 耐震強化
・健康の維持・・ 断熱、ノンホルム、採光、通風対策、感染病対策
・財産の保護・・・長期耐久住宅、省令準耐火対応
が最低要件のようです。

2・新潮流・・・コロナショック後、住まいに求められる『モノ』
・脱炭素社会への対応/省エネ/ソーラ住宅、高断熱住宅に加えて、
ⓐ・感染病対策/玄関近くに手洗い、換気対策
ⓑ・在宅勤務、デジタル授業/ワークルーム付き型住宅・・・自宅で仕事や受講、勉強ができる環境
ⓒ・家族の巣ごもり時間が長くなる/くつろげる空間づくり、吹き抜け、広いテラス
ⓓ・女性の社会進出に伴って生活スタイルも変化/家庭内作業負担の軽減
ⓔ・子供中心の間取り/対面キッチン、リビング階段、TATAMIカーペット、LDK周辺に子供勉強コーナ、アウトドア用品が増加
・住まいのIoT、AI化・地方への転居・住まいの複数所有
ⓕ・ESG/SDGsへの参加/住宅工務店で貢献できるものは・・・
3・7つのキーワード
① 高耐震住宅
② 省エネ住宅
③ 感染病対策
④ 在宅勤務
⑤ 家庭内作業の負担を軽減
⑥ 子供中心の間取り
が求められています。

・住まい「工務店経営」の基本条件/建築基準法第1条『目的』
 建築業を経営するにあたって、法令の細かな事は、建築士にゆだねるとしても、これだけは理解したうえで、経営に取り組んでほしいと思います。
建築士を採用する時、確認してほしいことがあります。貴方は「建築基準法第1条の目的」を答えることができますか。
私の経験では、この問いに対して正確に答えられる人は10人のうち1人いればよいほうです。
建築基準法の冒頭にはこのようにあります
第1条「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資する事を目的とする。」とあります。
 日本では、試験問題を回答することが目的となっていて、建築基準法の枝葉末節のことや天空率や構造計算ができる人でも、根幹となる生命、健康、財産の保護を図るという理念や心構えを教えていません。医者でいえば、知識と施術力があっても命の大切さを理解できていない偽医者のようなものです。
 最近では、さすがに手抜きや欠陥住宅を意図的にする会社や人はいなくなりましたが、経験不足や知らなくてそうなってしまうケースや知らないうちに使ってしまっているケースがあります。それを防ぐためには、しっかりとした検査体制で補うしかありません。
 肝心なことは、そこで生活する人々の生命、健康、財産の保護を図ることのできる建築物を提供するという事です。
住宅会社を経営するものとして、このことはしっかりと理解することが大切です。
 偉そうなことを上から目線で言える立場ではありませんが、次のことは大切だと思っています。

具体的には次のようになります
① 生命=耐震性の高い建物。
そこで生活する人々や家族の生命を守れる高耐震建築物であること。
(検査を徹底し手抜きや欠陥性が絶対にあってはならない監理体制を確立することです)
② 健康=健康を害する資材を使用しない。
そこで生活する人々や家族の健康を維持する、快適性の高い住まいであること。
(健康を害するような化学物質が含まれている建築資材を使用しないよう、チェック体制を強化することです)
③ 財産の保護=耐久性の高い建物、保証、メンテナンスの責任、
永続的な経営責任と資産価値の高い建築物を作ること。
(住まいを建て替えることなく親子二代、三代にわたって住み続けられるような耐久性の高い建築物を提供することです)
 この3つの基本的なことを理解していれば、コストのために上記を無視してまで偽造した、2005年、あの姉歯建築士構造計算偽装問題は起こらなかったと思います。工事を担当する施工業者もこの理念をしっかりと理解ができていれば鉄筋の本数を誤魔化したり、コンクリートの強度の偽装をするようなことはしなかったと思います。
 建築業を営む以上、社員、施工業者にも、この第1章の目的はしっかりと理解していただいて経営することが大切です。この3つを理解していないと、いつも安い、高い、デザインが良い、悪いに左右される仕事ばかりをしていて、地に根が張っていない浮き草のようで芯のない経営になりがちです。結果、建物にも表れてきます。今一度、原点に戻って考えて見ましょう。そうすればおのずと考え方や行動も変わり信用が増し信頼度が高まってくるはずです。
つまり、建築基準法第1条にある「そこで生活する人々の生命・健康・財産の保護を図ることのできる建築物を提供する」。これを何よりも優先して実行することが、社会やお客様に対する使命だと思います。
 その上で、次の世代に相応しい間取り、デザインの住宅を提供していくことです。
(設計者は、建築物を社会の一部と捉え、時代の変化をとらえて、構造重視、住みやすい間取り、周辺環境と調和するような設計に努めることです。そのために日々、情報収集、デザイン感性を磨く努力を怠ってはならないと思います)。   

以上を具体的にし、全社員が理念の浸透を意識して行動することが大切です。
こんな経営ポリシーは如何でしょうか 
① 手抜き、欠陥住宅を造らない。
② 健康を害する住宅を造らない。
③ 寿命の短い住宅を造らない。
④ エネルギー浪費型住宅を造らない。
⑤ 地域の気候、風土を考慮しない住宅は造らない。
⑥ 住む人を考慮できない住宅は造らない。
⑦ 将来の家族構成、住宅設備、ライフスタイルの変化に対応のできない住宅は造らない。
⑧ 将来を予測した維持管理のできない住宅は造らない。
⑨ 時代の変化に対応のできないデザインの住宅は造らない。
⑩ 流通価値のない住宅は造らない。

次回は、5/10回・「新潮流/コロナショック後の住まいの変化「」をお送りします。
      ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出正廣

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